暗愚楽月報
The Underground Disc Review
第67号

「梅雨だく頼む」と吉野屋で
安くあげたらCDに回す
傘はささねど,かさ増える
母さんごめんよ貯金ゼロ

Editer's Note

今月の金賞(D'OR)


★★★★★
Roy Powell "Solace" (Nagel Heyer : 2036)
@solace Aanother time another place Blove's circles Crendezvous Dthe garden's song Enymphs Flament Gabsolution Hmy beatrice
Roy Powell (p) Terje Gewelt (b) Jarle Vespestad (ds)
リーダーは1965年生まれのイギリス人。1995年以降はオスロに拠点を置いて活動している中堅です。王立音楽大学マンチェスター校でハリソン・バートウィッスルに師事したのち,アンソニー・ブラクストンのクリエイティブ・ジャズ・オーケストラに加入して名をあげました。1994年に作ったデビュー作『ビッグ・スカイ』は,電化ジャズながら玄人筋の間では結構評判だったそうな。何しろ出身がブラクストン門下。時にはぐちゃんこフリーも演っちゃったりする人で,正直それほど意識したことは無かったのですが,2003年に出た本盤を聴いてびっくり仰天。とても阿鼻叫喚ジャズの門下生とは思えない叙情派トリオです。全曲ミディアム・スロー以下の低速で,甘すぎず,ノロ過ぎず,快く1/fゆらぎの音場を醸し出す。甘美な耳あたりでいて,適度にハードボイルド。タッチはからりと歯切れ良く,それが曲想を必要以上にダレさせません。テリエ・ゲウェルトをわざわざ迎えて作ったのを見ても,狙いはクリスチャン・ジェイコブの素晴らしい二重奏盤やダグ・アルネセンの路線でしょう。作曲センスも心憎いほど良く,捨て曲ゼロ。テンポアップして自滅する愚もなし。趣味の良いプロが三人,淡々とやるべき仕事を積みあげて作った見事な満点盤。甲種推薦申し上げます。






Recommends


Joseph Jongen "Deux Pièces en Trio / Habanera / Serenata / Poème / Sonate No.2 pour Violon et Piano" (Cypres : CYP1647)
Trio César Franck: Véronique Bogaerts (vln) Marie Hallynck (vc) Jean-Claude Vanden Eyden (p)
ジョンゲン・イヤーを機に,主要作品の網羅を進めるベルギーの雄,シプレ。今度は小編成の器楽作品から数点とりあげてCDを作りました。多くは他盤で紹介済みながら,誉められた演奏の少ない秘曲です。それでいて,ラヴェルを意識した感がありありとうかがえる「ハバネラ」など,見逃せない曲が収められています。演奏は初耳の三重奏団フランク・トリオ。愛好会長が絡んでいないのが気になった貴兄は,いつものマリー女史がチェロを弾いているのを見て安心しましょう。ヴァイオリンとピアノは,ともにエリザベート妃国際入賞経験者。恐らく最も客寄せパンダな『2つの小品』に限っては,すでにクララ・ヴィーク・トリオの美演があるため,どうしても比べてしまい,第二楽章でなぜこんなにスタッカートきつめの解釈をしたのか疑問符を拭えない。それでも,優美な第一楽章はさすがフランコ=ベルギー楽壇。甘く軽やかな音色はずっとジョンゲン向きで,ヴィーク・トリオを凌駕せんばかり。ジョンゲンもそろそろ浮かばれましたかねえ。ほとんどのジャンルに,優秀録音が揃ってきました。最早,例外は歌曲くらいしか残っておりませんでしょう。★★★★☆
Cyril Scott "Piano Concerto No.1 / Symphony No.4 / Early One Morning" (Chandos : 10376)
Martyn Brabbins (cond) Howard Shelley (p) BBC Philharmonic
東洋趣味にどっぷり耽溺し,ドビュッシーにも惚れ込み,生涯フランスに焦がれたシリル・スコット。ごく近年までゴミのような録音しかなかった彼にも,救いの手が伸びてきたようで。ブラビンスとBBCフィルのコンビが再び管弦楽作品集を録音しました。やや構成力に難があり,玉石混淆なスコットさん。彼の中では比較的高名な『ピアノ協奏曲』ではそれが災い半ば。チャイ子のピアコンさながらのブロック・コードと装飾音を満載し,佇まいは壮大。良いときのグレインジャーを思わせる厚めの和声もカラフルでいいんですけど,形式は簡素な波形の装飾的反復で,展開は乏しく,何というか大味なんですよねえ。しかし,『交響曲第4番』のほうはブリッジ的な鬱々感にドビュッシー「雲」が溶け合い,なかなかに風雅。一枚にひとつは佳曲が含まれているのは,このシリーズの救いかも知れませんですねえ。要は二番煎じながら,茫洋とした形式と繊細な和声感覚がドビュッシー「海」を思わせる『ある早朝に』もまた,作曲者の被れっぷりを色濃く反映している。フランスの色香を愛して止まなかった愚直な色男の一途な想いを,素直に投影しているといえましょう。演奏は,どうやら将来の箱盤を狙っていると思われるブラビンスとBBCフィルのコンビ。指揮者はマッケンジーの管弦楽作品集を聴いて以来,イギリスの現役指揮者では一番信頼している人物の一人ですが,今回も期待を裏切りませんでした。天下のBBCフィルで双方が双方に役不足感なし。見事な美演です。★★★★☆
Gabriel Pierné "Impressions de Music-Hall / Fantaisie Basque / Izéÿl Divertissements sur un Thème Pastoral" (Timpani : 1C1096)
Bramwell Tovey (cond) Philippe Koch (vln) Orchestre Philharmonique du Luxembourg
「後期作品まるで無視かよ」。そう文句垂れたのが聞こえたのか,タンパニさんまたしてもピエルネ後期の管弦楽を録音。CD時代に入ってからまず録音をお見かけしなかった珍曲をずらりと並べ,ピエルネオタ(少なそう)の涙腺を緩める気満々。採算なんてとれんでしょうに,好事家趣味一本で頑張る彼らの企業倫理に惚れたぜ乾杯。曲想はどれも,ピエルネらしく親しみ易い簡素な構成が基調ながら,さすが和声面では色合いも豊かになり,デルヴォーとメルシエの二盤くらいしか選択肢のなかったピエルネ管弦楽に,新たな一頁を書き加えたと申せましょう。ジプシー風味のヴァイオリン奏でる主旋律がエキゾチックな『バスク狂詩曲』は,後年の作らしく近代フェチの涙腺を緩める泣きフレーズと洒落た和声の編み込まれた佳品。有名曲ながら,個人的には初耳だった『音楽堂の印象』にびっくり。サティ,ミヨーの戯けと,シュミットの異教徒趣味をわずかずつ含ませたラヴェル『ラ・ヴァルス』といった面持ちの小組曲で,ピエルネが書いたとは思えないほど軽妙です。アンゲルブレシュトなんかを聴いたときにも似たような感想を持ちましたが,器用な人だったんですねえ。初耳の『イゼイル』もやはり良い意味で軽音楽的。バランスの良いぶん強烈な個性はなくなるのでしょうが,さすが人の曲を良く聴いてるなあ・・と感心。専業作曲家の知人たちから学んだものを,巧みに溶かし込んでバランスする手管は見事です。★★★★☆
Federico Mompou "Musica Callada" (Ensayo : ENY-CD-3462)
Federico Mompou (piano)
スペインのサティ,という形容を用いて良いのかどうか。モンポウが最晩年の1974年に,自らの手で吹き込んだピアノ曲全集。唯一,買いそびれていた第5集は,『沈黙の音楽』を全曲収録しています。中世のカトリック神秘主義に傾倒した詩人にして修道僧サンフアン『聖霊の歌』の一節『沈黙の音楽〜孤独の響き』に着想した『沈黙の音楽』は,素朴で音数の少ないモンポウの作品中でも,響きの現代音楽的な緊張感において,他の作品とは一線を画する,異色作にしてある意味集大成的なピアノ曲集。1959年から1967年に掛けて,4部28曲からなる巨大な小品集としてまとめられました。旋律のほとんどを削り込み,現代音楽志向の冷たい和声の伽藍と,その間に横たわる沈黙とが生みだす巨大な音の壁。ラヴェルの『鐘の谷』や『墓』をより陰鬱に,どっぷりと落ち込ませたようなその世界には,孤高の二文字が似合います。技巧より間に対する感覚的鋭敏さが求められるこの曲において,この自作自演は,とりわけ深い共感と,虚飾を廃した見通しの良い曲解釈において傑出。あんなに退廃的で冷たい原曲の奧から,不思議なほどあどけない幼児の瞳が覗き,不思議な暖かみを与えている。シリーズ中でも,恐らく屈指の出来映えではないでしょうか。★★★★☆
Déodat De Séverac "Le Chant de la Terre / En Languedoc / Les Naïades et le Faune Indiscret / Baigneuses au Soleil / Cerdaña / EnVacances / Stances a Madame de Pompadour" (Finlandia : 8573-87181-2)
Izumi Tateno (piano)
少なくとも日本では,全集を箱盤化したチッコリーニや,欧州でセヴラック再評価のきっかけを作ったバルビエより,セヴラック弾きとして余程高く評価されている舘野さん。まとまった録音が出ているのは知っていたものの,ついつい買いそびれたまま過ごしてしまいました。南仏の屈託無い田舎情緒を満面に讃えた簡素な曲形式に立脚しながらも,随所に前期ドビュッシーの旋法表現を織り交ぜ,少年の瞳のようにあどけないリリシズムを滲ませるセヴラック。その飾らないデリカシーを,適度なテンポ揺らしと強弱表現で捉える舘野のピアノは,以前聴いたパルムグレン盤よりもずっと緊張感がとれ,良くいえば寛容かつ自由になった。しかし,かつての彼のピアノにあった,あのすらりとした気品と凛とした緊張感,そして何よりも節度ある情感表現が,別人かと見紛うほどに消えてしまっています。一体どうしたことかとあれこれ考えた挙げ句,ふと目に留まった録音年が2001年。くだんのパルムグレン録音から10年弱を経ているのを知り,思わず膝を打った次第。奏者が隻腕を余儀なくされる一年前の録音だったわけです。随所に音符の消滅がみられる重い音運び。指の筋力低下は最早隠しようがない。故国を同じくするファンが判官贔屓したくなる気持ちは良く分かるところなれど,純粋にセヴラックの推薦盤としてこれを推せるかと問われたら,私はやはりノーといわねばなりません。それでもなお,並みのピアニストは充分に凌ぐ立派な演奏。てっとり早くセヴラックの魅力に触れられる本録音の存在価値は決して貶められるべきものではないと思います。★★★★☆
Jacques Ibert "Macbeth Suite / Golgotha Suite / Chanson de Sancho / Quatre Chansons de Don Quichotte" (Marco Polo : 8.223287)
Adriano (cond) Slovak Radio Symphony Orchestra
辺境漁り御用達のアドリアーノは,芸名なんでしょうがファーストネームすら良く分からん謎指揮者。手兵スロヴァク放送やモスクワ響を振って,ひと頃はオタ泣かせの珍品を随分吹き込んでくださいました。『寄港地』くらいしか演奏機会の無かったイベールを前にしても,この人が選ぶのはやっぱり珍品。1990年に出た本盤は,イベールの映画音楽を集めたオムニバスです。イベールがパリ音楽院へ進んだのは20才と遅く,ぎりぎりまで喜劇俳優とどっちを選ぶか迷っていたことがその背景にありました。決して多くはない彼の作品リストを眺めても,舞台作品への傾倒は明らか。イベールの辺境漁りをするにあたって,指揮者が映画音楽に狙いを絞ってくるのも,あながち的外れではないというわけです。中身のほうは,なにぶん映像の背景音楽。分節化された断章のコラージュといった印象も拭えない。しかし,それが却って色濃く初期ストラヴィンスキー風味を醸し出し,なかなかに面白く聴ける。『祭典』までの変拍子バーバリストとして,フェルーの高地から見えるストラヴィンスキーの山体に趣を感じる方なら,面白く聴いていただけるのではないでしょうか。決して美演とまではいえないものの,スロヴァク菅よりもずっと性能のいいスロヴァク放送菅も好演奏。★★★★
Gianfrancesco Malipiero "Sonata a Tre / Dialogo I con Manuel de Falla / Dialogo II Fra due Pianoforti / Dialogo III Con Jacopone da Todi / Sonatina / Parafrasi / Il Canto della Lontananza / Armenia" (Stradivarius : STR 33557)
Aldo Orvieto, Marco Rapetti (p) Lucia Sciannimanico (sop) Andrea Vio (vln) Teodora Campagnaro (vc)
どういうわけか,殆ど耳馴染みのないストラディバリウスは,ミラノに本拠を置くイタリアのレーベル。実のところカタログはかなり豊富で,ブローウェルやオネゲル,バルトークなんかも入れてるようです。マリピエロの発掘にも意欲的。本盤はその福音で,1999年と2004年の二度にわたり吹き込まれた歌曲集です。室内楽についても,まとまっているのは弦楽四重奏の全集くらい。歌曲なんて,彼の名前でCD化される機会はまずないでしょう。『三重奏曲』は,時折後期ミヨー的な和声感と新古典的な蠢動が思い出したように差し挟まれるものの,基調は穏健な保守ロマン派。どっちにも進みかねたような筆致。かつてジャン・ロイに彼が一度は時代の旗手と目されながら,結局浮かび上がれなかった理由の一端が見えてしまう,何とも中途半端な仕上がり。その傾向は『マ・メール・ロワ』を一歩無調方向へ進めた『対話』以下にも引き継がれ,ひとくちに形容するならどれも“小粒”です。ラヴェルに小指,デュレに中指,ミヨーに親指,ファリャに人差し指を握られたイタリアのポスト・ロマンティストといった形容が妥当になるでしょう。チェロは音色的にくすみとキコ臭多くやや田舎っぽいものの,まずまず好演。ピアノも細かい音符の消滅が見られるものの,確かな技巧で奮闘しています。★★★★
"Cantate Nupiale / Xhansons de Ronsard / Les Quatre Eléments / Bolivar (Air de Manuela, Berceuse) / Fontaines et Sources (Milhaud) Shéhérazade (Ravel) Le Roi David (Honegger)" (EMI : 0946 351846 2 4)
Janine Micheau (sop) Jeannine Collard (alto) Pierre Mollet (btn) Jean Hervé (recit) Maurice Duruflé (org) Chorale Elisabeth Brasseur : Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire (dir: Milhaud) Orchestre de l'Association des Concerts Lamoureux (dir: E.Bigot) Orchestre National de la Radiodiffusion Française (dir: Honegger)
著作権切れ再発でウハウハなEMIから出た本盤は,1914年トゥルーズに生まれ,1976年にパリで亡くなった前世紀前半のフランスを代表するソプラノ歌手,ジャニーヌ・ミショーが絡む,3作曲家の音源をカップリングしたもの。本盤は1943年から1956年に掛けての吹き込みを集成,彼女が脂の乗っていた時代です。個人的に最も愉しみだったラヴェルは1946年の吹き込み。ビゴーの取る,前世紀特有のセカセカ乗りや,細部の不揃いなオケ,そして何よりモノラル録音のハンデを超えて,どことなくロス=アンヘレスに似た張りのある声はなるほど見事で感心しました。余所の録音であらかた聴いた気がするミヨーは置いといて,意外にも良演で嬉しい誤算だったのがオネゲルの自作自演。半世紀以上前のものとは思えぬほどのナチュラルな情感表現はさすが作者。ボーイソプラノの音痴っぷりが酷いとか,オケの性能がいまいちとか,それ以前にモノラルやんケとかいう細かい難点を超えて,高い説得力で迫ります。★★★★
Lodewijk Mortelmans "T Avondt / T Is de Mandel / Nachtmijmering / T Groeit een Blomken / Meidag / Fra Angelico's Dansende Engelen / Intermezzo / De Vlaamsche Tale / Wiegeliedje / Moederken Herfststemming / Saïdjah's Lied / Avond in den Herfst / Humoresk / Maagdeke Mei / Doomroosje et al." (Phaedra : 92019)
Werner Van Mechelen (b-btn) Jozef De Beenhouwer (piano)
マルコが管弦楽曲に若干の肩入れをしたくらいで,ほとんど無視状態のモルテルマンス。ものの本によるとその本領はピアノ曲で聴けるとか。どこかに落ちてないかと探しましたら,痒いところに手の届くフェードラから歌曲との折半ものが出ていました。シューベルト歌曲の流れを汲みつつも,フォーレやショーソンらの仏歌曲に通じる甘美さな転調と分散和音が好ましい。保守的な書法ですが筆運びは堅実で,管弦楽よりもなるほど,ずっとしっくり来ています。ドビュッシーぽいとの噂はデマだったようで,数曲入ったピアノ曲は,どう贔屓目に見積もってもシューマンやフォーレの『ドリー』がいいところ。それでも,時折近代の微かな香りを讃えつつ小さく瀟洒にまとめていく仕事ぶりはなるほど堅実で,ドビュッシー前夜の秘曲を探す方には小さな鉱脈のひとつとして興じ入っていただけるんじゃないでしょうか。嬉しいことに本盤,無名作家漁りにしては演奏も良好。1996年からマーストリヒト音楽院で教鞭を執るバスバリトンは,レーメンス音楽院の卒業生。1988年にエリザベス妃杯でファイナリストになったくらいで受賞歴は乏しいものの,歌唱は意外に達者。もう少し声が伸び,跳躍で正確な音程が取れたらフシェクールと肩を並べても遜色ないでしょう。1975年に王立フランドル音楽院でクム・ラウデ賞を得たのち,現在は王立フランドル音楽院アントワープ校で教員をしているらしいピアノもシュアな伴奏です。★★★★
Dave Brubeck "Chromatic Fantasy Sonata / Five Pieces from Two Part Adventures / Tritonis / The Salmon Strikes / Rising Sun" (Naxos : 8.559212)
John Salmon (piano)
近年,米国の近現代作曲家を掘り起こすことに御執心のナクソスから出た本盤は,ジャズ・ピアニストとしては高名でありながら,作曲家としてはまずジャズ・ファンの9割以上からまともに認知されていないデイヴ・ブルーベックの作品集。彼の作品が好きなファンですら,これらの作品を聴いた経験がある人はほとんどいないでしょう。ブルーベックがクラシックの訓練を受けたのは,第二次大戦中に西海岸へ亡命してきたダリウス・ミヨーから。そのためでしょうか,ここに収められた作品はどれも模範的なくらい擬古典的(ないしは新古典的)。輪郭線の非常に明瞭な拍動に乗って,ブルーノートを織り交ぜたパラパラフレーズが繰り広げられる。トルコ風ブルーロンドを一人でやってる感じというのでしょうか。ミヨー的な多調性を秘めつつも,全体に骨張った色合いの乏しい和声で,それほどミヨーらしさは感じられませんでした。構築的な割にはスカスカで素人臭いしなあ。そんな中,拾いものだったのはJの「サーモン・ストライクス」ですか。奏者への献呈曲で気でも緩んだか,ここだけは彼も素直に,紛う方無きミヨー和音。元々,ミヨーと彼の関係を説明する際のネタ目的で買ったあっしは,これを聴いただけで満足しました。また掉尾の「ライジング・サン」は,およそクラシックとは思えぬ和声進行ですが,中間派的ジャズ・ピアノの独奏ものとして聴く分にはなかなか良い曲だと思います。ピアノを弾くのは北カリフォルニア大学グリーンズボロ校の教員さん。少し音が荒いですけど,テクニックはかなりのものです。本人もジャズとの両刀使いだそうで。即興と見紛うほど原曲と溶け合った情感表現の妙は,なるほどクラシック専業の人には無理だったでしょう。★★★☆



Other Discs

"Daphnis et Chloé Suite No.2 (Ravel) Symphonie No.3 'Liturgique' (Honegger) Petite Suite (Debussy) Méditation (Massenet)" (Olympia : OCD 318)
Robert Satanowski (cond) Maria Brylanka (vln)* Iva Slechtowa (hrp)* Warsaw National Opera Orchestra
非フランスのオーケストラによる,仏近代の寄せ集めCD。しかも版元はオリンピア。おまけにジャケットがコレもん。状況証拠がこれだけ揃って,退歩しない警察ならいらん!・・すでに聴く前からそんなダメダメ感が溢れている本盤。選外落ちだと分かっちゃいるのに,ついつい逮捕だこれ病気。録音は1987年から翌年,国立ワルシャワ歌劇場でなされたらしく,同卿人らしいソリストの人選からも,元は半分自主制作に近い音源だったんでしょう。管部を中心に細かいアーティキュレーションは不揃いですし,弦の目もやや粗い。ソロのおっとっと感もところどころに垣間見えます。それでも掉尾の死にかけたタイス以外は演奏もそこまで酷くなく,聴いて笑ってを期待していたあっしとしては意外。東欧人にしては曲解釈もバランス良く,イジって愉しむようなお笑い録音ではありませんでした。指揮を執るのは,1981年からこのオケの音楽監督をしているサタノフスキさんと仰る人物。1969年から1976年までドイツのニーダーライン響および歌劇場の音楽監督だったくらいで知名度は高くなく,新たな切り口で聴き手を刮目させるようなタイプではありませんけれど,どの曲もオーソドックスかつバランス良く振っていく。意外に聴けるのも,オールラウンダーな指揮者のお陰でしょう。それでも,出来が最良なのはやはりオネゲル。ストラヴィンスキー風の強靱な蠢動が溢れる第一楽章は,軍靴に蹂躙されたポーランド人の憤怒が憑依し,なかなかの迫力です。もう少し録音と演奏がよければ,大穴盤としてお薦めしても良いんですがねえ・・。★★★☆
Maurice Ravel "String Quartet in F / Violin Sonata in G / Piano Trio in A Minor" (Philips : 454 134-2)
Arthur Grumiaux (vln) Istvan Hajdu (p) Quartetto Italiano : Beaux Arts Trio
廉価化著しいのは由緒ある大手の常。フィリップスから出た本コンピ盤もその一例で,1960年代後半の音源をラヴェルの名の下に三種盛り。グリュミオーのは聴いたことのあるあっしは,イタリア四重奏団のラヴェルを目的に買ってみた次第です。イタリー四重奏団といえば,1945年にマリピエロの肝煎りで創設されたとの触れ込みで知られる大御所ユニット。御大二人の四重奏を語るとき,必ず隅の方に名前が出てくるので気にはしておりました。一聴,明るい音色でややねっとりと直線的に伸ばしていく語尾の語り口と,やや前のめりの硬い乗りがイタリア人らしいといえばイタリア人らしいのか。技術的には確かで,第四楽章の熱っぽい歌い回しを聴くに,曲想とアンサンブルのラテン乗りが噛み合ったときは素晴らしいレコードが出来るであろうことがすぐさま了解されるところです。ただ,その個性は諸刃の剣。やたらねっとり粘りながら強めの強弱を加えてくる第一楽章はかなり癖が強く,作りすぎの感も拭えません。グリュミオーの鋭角的な演奏は悪くないんですけど,時折リズムの波形が乱れてるのが気になりますし,さらにがっかりなのは芸術トリオの三重奏。軽く鳴らそうとして音符が消えちゃったみたいな第一楽章では,ピッチの甘さも同時に露呈。フロレスタン・トリオの艶っぽい演奏を聴いた耳には,どうにも聴き映えのしない演奏で,お薦めするのは難しそうです。まあ安いといえば安いですからねえ。そこまで酷い演奏ではありませんし,あまり聴き比べなんかしない方には,こういうCDは有り難いのかも知れない。間違っても各々が昔日にそうであったような,正規盤で倍額出すような録音ではないと思いますけれど。★★★☆








Recommends


Pierre De Bethmann "Oui" (Nocturne : NYCD 404)
@shema Asingulier Bair courbe Csilnes Doui Ela lenteur Fexo Geffet tatillon Haltération
Pierre De Bethmann (rhodes) Jeanne Added (vo) Stéphane Guillaume (as) David El-Malek (ts) Michael Felberbaum (g) Vincent Artaud (b) Franck Agulhon (ds)
元プリズムのピアニスト,ピエール・ド・ベトマンが2007年に発表したリーダー第三作を入手。第二作が入手至難のため,彼のユニットを聴くのは『イリウム・クインテット』以来となります。本盤を聴いて,プリズムが空中分解した理由の少なくとも三分の一は,ベトマンの音楽的志向にあったのではないかとほぼ確信。プリズムでも彼のピアノは,キーボード弾きのようにアブストラクトでパラパラとしたモード奏法でした。あの幾何学的な変拍子群と,パラパラ・フレーズの洪水,にも拘わらずハービー然とした粘りのあるフレージングとフェイク。ソロへ転じ,ローズを前面に押し出したのみならず,とうとう女声まで導入した彼の音楽的理想像が,1970年代のクロスオーヴァー音楽,それもプログレにあることは,もはや誰の目にも明らかでしょう。プリズムに留まることが,ローズ使いとしての才能を十全に華開かせないままにおくとしたら,やはり休止はやむを得なかったのかも知れない。前々作からさらに踏み込み,徹底して1970年代のロックとジャズの境界線に拘り抜いた本盤の音は,各々のプレイとその相互交歓のみならず,グループ表現の上でも芸術の域に達している。浮遊感たっぷりな転調の洪水の中を,緻密に編まれた女声,2管が浮遊し,それをギターとローズの繊細な和声が支える。ターナー〜ローゼンウィンケル経由でスモールズ一派の音を充分に吸収しながらも,マグマやナショヘルを上手にとりこんで更にクロスオーヴァー・テイストを増した,近未来的なロック・ジャズ作。輝かしいまでに熟成しています。文句なしです。★★★★★
Cassandra Wilson "New Moon Daughter" (Blue Note : CDP 7243 8 37183 2 0)
@strange fruit Alove is blindness Bsolomon sang Cdeath letter Dskylark Efind him FI'm so lovesome I could fly Glast train to Clarksville Huntil Ia little warm death JMenphis Kharvest moon L32-30
Cassandra Wilson (vo) Chris Whitley, Brandon Ross, Keith Breit, Gib Wharton (g) Lonnie Plaxico, Mark Anthony Peterson (b) Graham Haynes, Lawrence Morris (cor) Charlie Burnham (vln) Dougie Bowne (ds, perc) Cyro Baptista (perc)
日本盤が出るような,それもヴォーカルものなんぞ滅多に聴かない自分が,久々に刮目。これは素晴らしいヴォーカル・アルバムです。M-BASE派の中心人物から出発した彼女が,1995年に発表したブルーノート第2作。某誌でヴォーカル部門の最高賞をもらったんだそうな。全体は大きく,5曲の自作と,スタンダードの案配。しかし,U2,サン・ハウス,ハンク・ウィリアムス,ニール・ヤング,モンキーズと,オーソドックスなジャズ・スタンダードは殆ど含まれておりません。バック・バンドの編成もスチールギターやバンジョーなどの弦楽器が和声の中心で,明確にブルースやフォーク・ロックを志向している。ドスの利いた低音と,どこか琵琶や三味線にも似た恨み節満載のギターが,まさしく絶妙にマッチ。削り込まれた音と,ドスの利いた掠れ声が,音の隙間に無限の含みを与えて緊張感を持続。ひとつの世界観がアルバムを貫いている。移籍後の彼女を担当したクレイグ・ストリートの,プロデュース力の勝利ということになるでしょう。それでいて泥臭くなり過ぎないのは,和声進行に充分な趣向が凝らされているから。涼しげなアコースティック・ツイン・ギターのAは,ジョニ・ミッチェル辺りお好きな方なら,間違いなく頬が緩むでしょう。またビリー・ホリデイの名唱であまりにも有名な@は,本盤のクライマックス。蓋し,本家のバージョンを超えている。脱帽。★★★★★
The Kennedy Brothers "I'll Remember April" (Max Productions : MM-34327-2)
@I'll remember April Atenderly Bsecret love CLaura Dpennies from heaven Emidnight mood Fsoft winds Gyou don't know what love is Hall of you
Ray Kennedy (p) Tom Kennedy (b) Todd Strait (ds)
セントルイス(メイプルウッド)出身のご兄弟に,カンサスシティ出身の太鼓が絡む本盤は,1997年に発表された,実に小粋なトリオ作。確かな技巧でレイ・ブラウン系の野太いベースを弾くトムさん,シンプルな構成の太鼓で軽快にスイングする太鼓も見事ながら,ピアノの軽妙さに参りました。ジョージ・シアリングとオスピーを足して二で割り,そこにビリー・テイラーの薬味を利かせたような,小粋で洒落たピアノを弾くレイ・ケネディは,1957年生まれ。ミュージシャンだった父の影響でピアノを始め,北テキサス大学でジャズを専攻。その後ニューヨークへ進出し,ジェフ・ハミルトンやレイ・ブラウンら中間派スウィンガーの下で実績を積みました。器用さを買われ,ビッグ・バンドのピアノ弾きのほか,クリスティーナ・アギレラの歌伴までやったことがあるんだそうです。どこかで聞いた名前だと思ったら,なんとジョン・ピツァレリ・トリオの一員で,かのハリー・アレンとも懇意にしていた腕利きさんでした。曲解釈も趣味が良く,小粒ながら背伸びをせず小粋に徹する演奏も好感度大。これで録音が良ければ文句なしに金賞を挙げるところだったんですが・・。このご時世になんとモノラル録音!信じられん・・。確かにどことなくビリー・テイラーっぽさが誇張されて良いのかもしれんが,モノラル録音はないでしょう。器用さを買われ,他にクラシックのアレンジものを数枚作らされてるようですが,オーソドックスなジャズであれば,他盤も聴いてみたいですねえ。★★★★★
Andrew Rathbun "True Stories" (Fresh Sound : FSNT 099CD)
@vignette I Atrue stories part I Btrue stories II Ctrue stories III Dvignette II Eanother aspect Fcards Gbluejays Hmajority Ishe who chose Jvignette III
Andrew Rathbun (reeds) Luciana Souza (vo) Taylor Haskins (tp) George Colligan (rhodes, p) John Herbert (b) Jeff Hirshfield (ds)
ジャケット最悪,中身は最上を地で行く小傑作『ジェイド』で,その秀抜な作編曲力に感心させられたトロントのマルチリード奏者アンドリュー・ラトブンさん。今度は同盤に続き2000年に出た,リーダー第三作を入手。くだんの小傑作でも,詩集に題材をとっていた彼は,本盤でも『侍女の物語』で知られるカナダの女流作家マーガレット・アトウッドの詩に曲を載せ,ルシアナ女史に歌わせている。一見してお分かりのように,少しばかりアンサンブルが小さくなった他は組曲風の構成といい,全曲自作の意匠といい『ジェイド』とうり二つ。彼自身,前作で築き上げた世界観がしっくり来たのでしょう。ということで,二匹目のドジョウが潜んでいることは充分に予想可能です。音楽性も含めて昔日のジョーヘンあたりが好きそうなリーダーは,本盤でもアンサンブル緻密。ポスト新主流派時代に多く作られた電化呪術系ファンク・フュージョンのディープな影響を感じさせるオリジナルの出来の良さに,何をおいてもまず快哉。演奏家としては地味めながら,プレイも堅実です。心配の種だったコリガンの硬いタッチも,エレピでは無問題ですし,緩めの太鼓で「合うんかいな?」と心配だったハーシュフィールドも意外なほどモタモタ感は希薄で,充分アンサンブルに溶け込んでいると思います。素晴らしい才能の持ち主ですがねえ。もう少し話題になっても良いんじゃないでしょうか,ってことで,ちょっと贔屓目ながら5つ星を。★★★★★
Jesse Stacken "That That" (Fresh Sound : FSNT 308)
@humidity Ashady oak Bdistractions Csad sidewalk Dnorth shore Einventor Fbulge in tire Gignored Hbirds in slow motion (from above) Iclimb a tree Jthat that Kcurrent
Jesse Stacken (p) Elvind Opsvik (b) Jeff Davis (ds)
1978年生まれのリーダーは,2002年にジョージ・マクドナルド奨学金を得てニューヨークのマンハッタン・スクール・オブ・ミュージックの修士課程へ進み,2004年にピアノ演奏科の修士号を獲得したばかりの新人さん。しかし,ウィスコンシン大学イオ・クレール校の在籍中はクラシック・ピアノ科のペネロペ・チェッチーニに師事し,本格的にクラシックを学んでいた筋金入りの知性派。2003年,まだ院生の分際で,一介のアメリカ人がコローニュ楽壇かと見紛う知性派フリー・ジャズ作品を作ってしまった背景には,クラシックの豊富な鍛錬で培った鋭敏な耳と並外れた技巧があるでしょう。フリーとはいえ,クラシックを肯定的に昇華した彼の音楽性は,コローニュでいえば特にアヒーム・カウフマンのそれに近い。定常リズムに立脚せず,モード奏法を無調寸前まで敷衍した鋭角的な旋律線を,凝った非機能和声で下差さえして緊張感を持続する。どの曲でもリフやリズム,和声のどこかできっちりと近代に踏みとどまり,崩壊寸前で理性の欠片を残す。鞭の利かせ方を実に良く心得たトリオです。晦渋さゆえに聴き手はかなり選ぶと思いますが,北欧のピアノ弾きかと見紛うほど綺麗な打鍵と,精緻な和声感覚,ヨーロッパの知性を極めて肯定的に昇華した作編曲力が幸福に和合。レベルは非常に高いのではないでしょうか。お薦めです。★★★★☆
"The Jazztimes Superband" (Concord : CCD-4889-2)
@dirty dogs Asilverado BJones street Coleo Dfriday night at the Cadillac club ESoHo sole Fthe Ada strut Gblue goo Hseven A.M. special Ifreedom jazz dance
Bob Berg (ts) Randy Brecker (tp, flh) Joey DeFrancesco (org) Dennis Chambers (ds) Paul Bollenback (g)
ブレッカー御三家の一角を占めていたボブ・バーグ。2002年に交通事故で惜しくも亡くなってしまった彼にとり,恐らく自分の名前を冠した最後のアルバムではないかと思われる本盤は,2000年の発表。ジャズタイムス誌の創刊30周年を記念してコンコードが企画したオールスター・セッションです。本家をよりゴツゴツと骨っぽくした彼のブロウは,これが50のおっさんとは信じられないほどやくざで素晴らしい。いつもながらに安定したブレッカーはスイスイと歌っており,好調だった様子が良く分かります。好演のゆえんは,フロントへ心地良いリズムを提供する後ろ二人の屈強さにあるでしょう。低奏部が異様にグルーヴするオルガンのデフランチェスコ,そしてデニス・チェンバースの肉感的なドラミング。いずれ劣らず素晴らしい。特にデニチェンの太鼓は重量級ながら抜群に切れが良く,前へ出るべき所ではきっちりと手数を詰め込み,いちいちその音型に破綻がない。4拍刻みも屈強でバンドを力強く牽引します。デニチェンはフュージョンのイメージが強かったんですが,上手いですねえ。ゴージャスな面々が個人技をいかんなく披瀝する中,ちょっと可哀相なのはポール・ボレンバック。添え物役とはいえ出ずっぱり。かかわらず,ご覧の通り,表ジャケットのどこにもお姿を載せてもらえません。師匠つながりで駆り出されちゃったのかな?ご無体な・・。★★★★☆
Steffen Kuehn Nonet "Now... or Later" (Stef : SK2923)
@now or later AJuno's eyes Bfreedomland Cnot in Austria Drest revised Eso far away Foleo Gforced FN HRuby, my dear Itry to C#
Steffen Kuehn (tp, flh) Dave Scott, Tim Hagens (tp) Terry Russell (tb) Alex Budman (as, ss, bcl, fl) Alex Murzyn (ts, cl, fl) Pete Cornell (bs, ss, fl) Jonathan Alford (p) Mike Bacile (b) Andrew Eberhard (ds)
2002年に,自主制作の本盤でデビューを果たしたリーダーはドイツ出身の中堅で,ティム・ヘイゲンズのお弟子さん。1993年に北テキサス大で学士号を得ています。正直なところ寡聞にして初耳の人物ながら,西海岸では割と有名らしく,北テキサス大の在学中には,学生バンド『2時の研究室』の一員として1991年と1993年の二度,ダウンビート賞を受賞した経験もあるそうな。主な活動範囲は楽友のアレックス・ブドマンとの双頭でサンフランシスコを拠点に活動するコンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ団員。しかし,プラターズやダム・ヤンキーズとも仕事するなど器用な全天候型で,本盤に続く2枚目『トランポップ』では,打ち込みフュージョンに行っちゃいました。もともとティム・ヘイゲンズに感心した記憶のないあっしは,Bがイエロージャケッツだと思った以外に何一つ期待することもなしに購入したんですけど,蓋を開けてみますと意外にもこれが好内容。欲をいえばやはり場末の血は争えず,急速調の楽曲ではリズム隊を中心にバタつきが散見されますし,凝った楽曲もあと一歩捻りきれないもどかしさも漂います。しかし,作編曲の腕前はかなりのもの。スタン・ケントンやビル・ホルマンらの西海岸モダン・ビッグ・バンドの流れを汲みつつ,コンテンポラリーな味付けを上手にとり入れて,呪術的な響きの音場を作り上げることに成功しています。技量面での至らなさからくる僅かな乗り切れなさに目を瞑れば,丁寧に作られたビッグ・バンド作として充分お薦めできると思います。★★★★☆
George Adams and Don Pullen "Melodic Excursions" (Timeless : SJP 166)
@the calling Agod has smiled on me Bkahji Cplayground uptown and downtown Ddecisions Ereflections inward Fresolution of conflicts
George Adams (tenor saxophone) Don Pullen (piano)
これを書くと,数少ないファン仲間からすらも総すかんを食いそうで怖ろしい。しかし,正直なところプーレン=アダムス・カルテットのリズム隊って非力と思いません?微笑ましいけれど。「あのバタバタがエエんやないか,分かっとらんなお前」と言われようと,リッチモンドの太鼓は大味にもたつきますし,ベースのブラウンは音が軽すぎ,「これでもう少しグルーヴしてりゃなあ」と白人の限界を感じさせる場面もしばしば。1982年に珍しくもフロントの二名が吹き込んだこの録音なんかを聴きますと,リズム隊の限界を否応なく感じてしまいます。なまじアルバムの体裁がいつもと殆ど変わらず,ドシャメシャ,ロマンティックでブルージーなバラード,陽気なラテン乗りチューンが案分されているだけに余計,二名欠けたことで失われたはずの音数よりも,リズム隊の不在で飛躍的に増した,ピアノ伴奏の自由度のほうが目立ってしまう。いつもの四重奏で演っていたら,プーレンはかくも生き生きと多彩なアクセントを絡めて,のびのび弾かなかったでしょう。四人一組で捉えられがちな彼らとしては変則的ですし,前衛ものにしては打楽器もなく景気が良くないためか,あまり誉めている人を見たことのない本盤。勿体ないです。却ってニュアンスが細部まで良く聞こえ,「この人らB級扱いだけど,こんなに上手かったのか」と吃驚すること必定。こののち,彼らは急速に演奏が重くなっていきます。それだけに,弾けるような若さが光る当時の彼らの交歓は,メロディアスな楽曲と相俟って,実に微笑ましく貴重です。★★★★
Fabrizio Bosso "Fast Flight" (Red : 123287-2)
@fast flight Awoman's glance Bmy life express CGibraltar Dactor and actress Eminor mood Ftoo young to go steady Gbrother's song Hin walked Bud Ifamily blues Jfast flight - take 2
Fabrizio Bosso (tp, flh) Rosario Giuliani (as, ss) Salvatore Bonafede (p) Giuseppe Bassi (b) Marcello Di Leonardo (ds)
スケマから出た謎の六重奏団で有名になったリーダーは,1973年トリノ出身。笑いしか出ないほどの技巧は,ヴェルディ音楽院で積んだクラシックの鍛錬の賜物でしょう。本盤は1999年に出た彼の初リーダー作で,同年のムジカ・ジャズ誌で最優秀新人賞をもたらした作品。その後もハード・バップ一直線の彼だけに,中身は聴く前から予想可能。一聴,やはりの保守中道系のハード・バップです。1曲のスタンダード,2曲の巨匠チューンを除くと全曲を構成員のオリジナルで固めるなど意欲的。その意欲を反映してか,個々の楽曲はそれぞれ良く書けており,演奏陣の技量も充分高い。欲をいえば,録音が少し貧相なことと,アルバム全体の作りがややまとまりを欠くことでしょうか。テク自慢の向こうっ気満載な@と,それに続くメロウな爛熟期ハード・バップ・チューンのA以降の数曲は象徴的で,2曲目以降,オーソドックスな4拍乗りが全く出てこないまま,メロディックなスロー・テンポが続くため,完全に頭が浮いてしまいます。プロデュースの問題でしょうかねえ。とまれ,個々の楽曲の出来は決して悪くありませんし,演奏も十二分に乗れている。割と外れの多いロザリオ・ジウリアーニが意気軒昂なのも好材料。お求めになる価値は充分にあるでしょう。ちなみに,彼は最近,かのブルーノートに移籍したんだそうで。ご祝儀含みでなのか本盤もジャケ違いで再発され,平易に入手可能です。★★★★
Mark Turner - Tad Shull "Two Tenor Ballads" (Criss Cross : 1182 CD)
@a flower is a lovesome thing Aautumn in New York Bblue in green Cwhat's my name DI forgot to remember Ealone together Fvery early Gturn out the stars Hyou've changed
Mark Turner, Tad Shull (ts) Kevin Hays (p) Larry Grenadier (b) Billy Drummond (ds)
最近,海外でのマーキング活動に忙しく,リーダーとしての活動がややお留守になってるマーク・ターナー。活発に録音をしていた頃,バラード尽くしのアルバムを吹き込んだことがありました。後ろの三人中二名がくだんのバラード集と被っており,『ヤム・ヤム』吹き込み当時の,大化けする前のターナーに同趣向の企画をやらせている本盤,発表こそ2000年ながら録音は1994年。その後一躍時代の寵児となったのを受け,版元がお蔵入り音源を引っ張り出してきたんでしょう。共演しているテナーマンは,1955年コネチカット州ノーウォーク生まれのタッド・シャル。1974年から1976年までニュー・イングランド音楽院で学び,1989年にコロンビア大学で政治学の修士号を得た中堅です。デイヴ・リーブマンがお師匠さんなのに,コールマン・ホーキンスを下地にレスターの香りを混ぜ込んだ古風なソウル・テナー。骨張った音色はベニー・ゴルソン風味ですか。どうやら,当初の企画はターナーのバラード集だった模様。録音の三日前までお互い顔も知らなかったそうですから,ジェリー・ティーケンスのプロデュース力の勝利です。本盤の聴きどころはやはり,ターナーの器用さと柔軟さになるでしょうか。ホーキンスの流れを汲むシャルを聴き,ティーケンスから企画を知らされてすぐ,自らに課せられた役回りがベン・ウェブスターで,作りたいのはヴァーヴの『エンカウンタ−ズ』だなと飲み込む彼の筋の良さと,自分の本分を守りながらその役回りを演じるその演技力ににんまりするCD。女性的なしなを利かせてスイスイと吹き抜け,コントラストを作りつつも,フレージングはいつになく具象的。サブトーンを織り交ぜてベンへの目配りもきっちりと見せる。吹き手としての教養の豊かさと幅の広さは,当時からただ者ではなかったということでしょう。欲を言えば,後ろの三人が完全に沈み込み,添え物なことですか(笑)。企画の性質上,仕方のないことですが。★★★★
Bert Dalton Trio "Got Jazz" (Trialog : MR546)
@conjunction junction Aeverybody wants to be a cat Bfigure eight Cbare necessities Dpink panther Epinball number count Fpure imagination Ghe's a tramp HLinus and Lucy Igot jazz Jma na ma na
Bert Dalton (p, rhodes) Rob 'Milo' Jaramillo (b, eb) John Bartlit (ds, perc) Children's Chorus of National Dance Institute, Santa Fe
主人公のバート・ダルトンは,ニューメキシコ州サンタフェを拠点に活動するローカルなピアノ弾き。北イリノイ大学でピアノを学んだのち,1995年にB.E.T.ジャズ・ディスカバリー競技会で優勝した人物です。奥さんは小説家のドリ・ダルトンで,夫婦揃って芸能人。恥ずかしながら寡聞にして初耳の彼も現地では有名人らしく,1998年から国立舞踏学院サンタフェ校の音楽ディレクターへと就任。本盤の標題でもある【ガット・ジャズ】なるイベントも主宰してるんだそうな。彼はもともとラテン音楽が得意分野らしく,アルバムもセサミ・ストリートをジャズ化したもんを出すなどお子様指向。サンタフェ中から1000人もの小学生を集めて合唱団を作り,本盤でもAを歌わせてたり,ピンクパンサーをやったりと,何というか子供だまし的な臭いは拭えません。ミディアム・ファスト以上にテンポが上がると指がもつれ馬脚を現すものの,中間派的なイディオムに立脚し,シアリング〜テディ・ウィルソンの流れを汲む上品なファンキー・ピアノ自体は魅力的。それだけに,しじゅうリズムやテンポを変え,ときにあざとくすらある過多なアレンジメントは勿体ないの一語です。彼には『ミッドナイト・カフェ』という,珍しく世間に色目を使って居なさそうなアルバムも発表している模様。この辺りの企画色の薄そうなトリオ作でなら,もう少し本領が聴けるかも知れません。あと星半分おまけしても良いかな・・とは思いつつ,左手の動きの単調さで割り引き,4つ星で我慢してもらいます。★★★★
Jae Sinnett "House and Sinnett" (Positive : PMD78020-2)
@house and Sinnett ASinnett-cal Bnight kiss CAbdu's fiesta Dsometimes I'm happy Esteak as she goes FWayne Gworkin' to work
Jae Sinnett (ds) Steve Wilson (as) Cyrus Chestnut (p) Clarence Seay (b)
たった400円で売られていたカワイソーな本盤は,ヴァージニア州チェザピーク出身の中堅ジェー・シネットさんのリーダー作。現在は生地ヴァージニア州にあるクリストファー・ニューポート大学でアンサンブル科の教鞭を執ってる教員さんです。失礼ながら始めて聞く名前の彼は,その実8枚もリーダー作を発表しており,8枚目にあたる最新作は全米ラジオ・チャートで一位にもなったんだとか。海向こうでは結構密かな人気がおありのようです。本盤は1994年に出た3枚目。良いときは素晴らしいけれど,駄目なときは無いテクを振り回してマッコイもどきに堕する巨漢サイラスをピアノに,テクは上手いんだけどフレージングが昼行灯なことの多いスティーヴ・ウィルソンをアルトに迎えた,ワケアリ臭満載の布陣で,D以外全てを自作。駄目パターンまっしぐら。400円じゃなきゃまず買わんかったでしょう。しかし,蓋を開けてみるとこれが意外にも悪くない。リーダーの太鼓はやや大味ながら,軽やかなスウィンガー・タイプ。自信に裏打ちされた作曲力はオーソドックスな転調ハード・バップで,成る程サイラスとも好相性なわけだと納得しました。太鼓はバタつきこそあれ良くスイングしていますし,無名のベースも地味ながらしっかりと下支え。演奏は意外なほどまとまっている。そのせいかサイラスさんが好調なのも嬉しいです。余談ながらリーダーは本盤と前後して,最近すっかり名前を聞かなくなったアレン・ファーナムとトリオを組み,現在に至るまで活動中。一度は聴いてみたい気もしますねえ。ただ,剃刀打鍵系のファーナムにこの人・・合わないような気がするなあ。★★★★
Max Vax Quartet "Duality of Life / The Music of Monk" (Max Vax)
@why? Aduality of life Btime delayed Cthink of one Dthe lost blues Ethink of one Fstraight, no chaser Gmedley Hwell,you needn't
Max Vax (p) Jens Heisterhagen (b) Volker Winck (ts) Ralf Jackowski, Christian Schönefeldt (ds) Uli Orth (as)*
1975年ゴーリキ生まれのこのロシア人を認知したのは,随分前に出た『パーソナル・タッチ』というトリオ作でした。ほとんど話題に上らなかったうえ,僅かに相手にしたサイトでも「この一枚で消える」と酷評されていたカワイソーな彼でしたが,オスピーやマッコイさながら,たっぷり余裕を残して急速テンポを引きこなす大排気量ぶりは爽快で,あとは上手に経験値さえ積めばいいピアノ弾きになるんじゃないかと思ったものでした。その後ぱったり見かけなくなり,やはり駄目だったか・・と思っていたところへ出くわしたのが本盤。2004年の作品で,自己のワンホーン・カルテットによるハンブルクとハノーヴァでの吹き込みを抱き合わせたものです。実は彼,消息不明の間に欧州でかなり男を上げていたらしく,2001年にトリオ第二作を発表したのち,2003年にはモナコ国際ソリスト・コンクールで優勝。本盤を発表した2004年には,自己のカルテットでグラナダ国際ジャズ・コンテストへ出場し,ここでも優勝していました。片方はライブ録音のモンク集ということで,テク一辺倒だった彼が次のステージへと登るための参考書として目を付けるには好材料。これは期待できそうだ・・,と思いつつ耳にしてみた次第です。弾けすぎちゃって仕方ないといわんばかり技巧へ寄り掛かったピアニズムは相変わらず。ある意味ゴンサロ的な演奏はまだまだこなれきれてはいませんけれど,数年の間に左手の宛ては色合い豊かになり,経験値の向上を感じさせる。もう少し熟成が進んだら,化ける可能性は残っていると思います。不器用なラーシュ・メラーっぽいテナーも悪くない。★★★★
Bill Risby "Stories" (Risbymusic : WAR 1001)
@when photogen met nycteris Atake notes Bturnaround Cpaper plains Dthe strong one* Elilith FNikki Gthe sleep Hit's who you know Ithe way you look tonight
Bill Risby (p) Simon Barker (ds) Craig Scott (b) Paul Mason (as)*
豪州で,どことなくジョン・コーツ風の吟遊詩人ぶりを披露しているビル・リスビーさん。寡欲なのか,腕は良いのに奥さんの歌伴をしながらのんびり活動。リーダー録音もほぼ全てを自主制作で済ませています。本盤は1994年に出た初リーダー作。オーネット・コールマンのブルースを1曲とスタンダード1曲を前後に案分し,残りを自作曲で固めた意欲作です。リーダーのピアノは,およそ10年後に出た名作『ルッキング・アップ』とそれほど大きな変化はなく,硬質な打鍵と,やや固いリズム感,少し小粒ながら端正な打鍵で,叙情性溢れる詩的なオリジナル曲を,訥々と弾く。決して悪い演奏ではありません。ただ,くだんの秀作を秀作たらしめた,あの隙間たっぷりの音場と,4拍乗りに頓着しないトーン・ポエマー的スタイルは,まだまだ未確立だった様子。パタパタしたスウィンガー・タイプの太鼓に煽られ,柄にもなくアップ・テンポで走るAでは,弱点であるリズム感の弱さと技量面での小粒さが隠しようもなく露呈しますし,妙に黒っぽくブルージーな演奏のBでは,持ち味との違和感大。尻上がりに良くなり,10年後のトーン・ポエム風情が顔を覗かせてくる4曲目以降の音世界と奇妙に分離して,アルバムを散漫にしてしまいます。ちょっと勿体なかったですねえ。サイドメンも技術的には悪くないんですが,オーソドックスなジャズ屋さんで主役とはやや不協和。特にベースのウニョウニョした音色はいただけない。脇が誰一人くだんのトリオで使われなかったのも,不満が残ったからでしょう。名盤と凡作は紙一重ですねえ。惜しい,実に惜しい。★★★☆



Other Discs

Ull Möck "Labyrinth" (Balance : BAL-9519-1)
@funny Acenterpeace Blove light Cone in the universe I Done in the univerce II Eautumn (all alone) Fdistance Gscorlando Htristeza IC.I.T.Y. Jaugenstern Klabyrinth
Ull Möck (p, prog, key) Michael Kersting (ds, perc) Pearl Bretter (vo) Claus Stötter (flh) Max Herre (vo) Frank Kuruc (g)
ウル・メックさんといえば,隠れた名盤『ドリリング』が印象に残る,ワーナー風のパラパラ・ピアノ。マンハイム音楽院で学んだクラシックの素養を武器に,良く遂行の行き届いた理知的な変拍子チューンを書き,少し小粒ながら端正な打鍵でかっちりと弾く。一部,旧作からの転用を含むオリジナル曲は,コローニュ楽壇の美意識を取り込みつつ,ときにザヴィヌルやショーターを思わせる美的センスに溢れ,いい意味でクロスオーヴァー時代の音楽性を消化。電化ジャズの音楽性をうまくアコースティックなジャズに生かしている人なのだと再認識させる。ピアノ弾きの血は争えないのか,音色選定はがさつだったりするものの,音楽的な水準はそこらのフュージョンをゆうに超えているでしょう。ここまで書けば,懸命な読者諸君はもう,「じゃあ何で選外なんですか?」って疑問が脳裏を過ぎるのでは。そうです。曲良し演奏良し,アレンジもまずまず良しとなれば,残るのは脇役しかないぢゃないですか。本盤の素敵な音世界を全て台無しにしてしまうのが,前半を中心に参加して得意げにコブシをまわすヴォーカル。この御仁の音痴っぷりときたら,とてもプロとはおもえない水準。音程が取れないくせに気分出してコブシを回してるもんで,音痴を誤魔化してるみたい。聴き苦しいことおびただしいです。惜しいなあ。もう少しましな歌手入れときゃ及第点だったのに。調律に神経をとがらせるピアノ弾きが,こんな音痴と共演してて気持ち悪くならんのかなあ?ひょっとしてお友達か何かですか?★★★
Journey "Raised on Radio" (CBS : 32DP 423)
@girl can't help it Apositive touch BSuzanne Cbe good to yourself Donce you love somebody Ehappy to give Fraised on radio GI'll be alright without you Hit could have been you Ithe eyes of a woman Jwhy can't this night go on forever
Steve Perry (vo) Neil Schon (g) Jonathan Cain (key) Randy Jackson, Bob Glaub (b) Steve Smith, Larrie Londin (ds) Dan Hull (sax)
恐らくリマスター盤が出た関係でブクオフ流れになったと思しき本盤は,商用ロック全盛の1980年代に人気を博した米国のハード・ロック・バンドの1986年作。サンタナも神童と刮目した名手ニール・ショーンと,絞り出すような声質で天才的に上手くコブシを回すスティーブ・ペリーの両フロントは作編曲も達者で,良い曲を沢山書きました。バンドの人気がピークを迎えたのは,1981年発表の第8作『エスケイプ』から1983年作の『フロンティアーズ』にかけて。特に前者は900万枚売れる大ヒットとなり,ハード・ロッカーを手軽に売る手段としてのバラードを哀しい不文律とした,ある意味記念すべき作品でした。ジャーニーはもともと,西海岸のバック・バンドが母体の,ある意味TOTO的なグループでしたから,後から入ってきたペリーによってキーボード主体の音になっていくジャーニーは,ショーン的には決して快くはなかったでしょう。金銭的な不安が無くなった二人は各々ソロ活動へ。売れてすきま風が吹くのも良くある話。解散危機を経て吹き込まれた本盤は,リズム隊をスタジオ職人にすげ替え,シンセとコーラスは前にも増して分厚く処方され,密室制作色が増幅。ハードなAOR然とした音作りに。出た当時は「軟弱になった」とファンの多くに烙印を押されたもんでした。しかし,かのランディ・グッドラムがコーラスのアレンジを担当。満を持して作られただけに,出来そのものは相当に高密度。シングルが9位止まりにもかかわらず,アルバムチャートでは4位まで上がり,200万枚売った事実がそれを雄弁に物語っていました。もし第一弾シングルをCではなく,@かBにしていたら,きっともっと売れたでしょう。リアルタイムで本盤を知るあっしは,勿体ないなあ・・と溜息をついたもんでした。結局本盤を最後にジャーニーは空中分解。再結成は10年後になってしまいます。★★★☆
John Stetch "Bruxin' " (Justin'Time : JTR 8525-2)
@inuit talk Abruxin' Bcircus Cgreen grove Dthe girl in the hemp shirt Echord-free gord Fhow far is Callisto Gthe prairie unfolds Hsnark Iheavens of a hundred days Jrectangle man
John Stetch (p) Sean Smith (b) Rodney Green (ds)
内部奏法とハンク・ジョーンズが小粋に絡むソロ・ピアノ三部作を経て,ステッチさんがトリオのフォーマットに戻ってきましたの2006年作。中身のほうも,ソロの連作を通じて会得したピアニズムでトリオをやってみました,といった感じですか。ニコルズの捻りを織り交ぜながら,小粋なシングル・トーンでコロコロ軽妙に弾く。録音もノー・エフェクトで室内楽的趣き。彼を『グリーン・グローヴ』でしか知らない方はかなり面食らうことでしょう。ソロ作を連発した当時,いずれ変身完了時にはその路線を踏まえた形でトリオ盤を作るだろうと予想していたとおりでしたので,過去の自作をずらりと並べてコロコロ・ニコルズ奏法で再調理する本盤は,彼にとっても聴き手にとっても重要作。大いに期待しつつ耳にした次第です。で,結果なんですが・・。勿体ない!の一語ですかねえ。何しろ1993年のモンク・コンペ作曲部門準優勝者。楽曲は悪かろう筈もなく,彼の意図していることだけは充分に感じられるアレンジと演奏も及第点。しかし,サイドメンの人選で全てが台無しになってしまった。特にドラムのもたつき感ときたら尋常じゃありません。グレグ・オスビーやエリック・リードとの吹き込みもあり,ダイアナ・クラールのバック・バンドに居た人物ですから,決して下手ではないはず。しかし若僧の血は争えないのか,コロコロした小粋なピアノ・トリオを作りたい主役を,どう立てれば良いかが全く分かっていない模様。バッタバッタと無神経な彼のドラムと,タメの足りないベースに足を引っ張られ,思ったような合奏音を出せないでもがく主人公の哀れさに同情の涙を禁じ得ません。結果的に,同じく脇役で沈没した『カルパシアン・ブルース』の二の舞になってます。あゝ,彼のこの10年間は何だったのか・・。合掌。★★★☆
Bobby Brown "Forever" (MCA : MCAD-11691)
@intro Ait's still my thang Bfeelin' inside Cshe's all I need Dmy place Ebeen around the world Fgive it up Ghappy days Hforever Isunday afternoon Jheart and soul
Bobby Brown (vo) Alex Alessandroni (key) Tommy Martin (g) Bob Robinson (rhodes, p) Tim Kelly (ds, key) Kenny Finnel (key-prog) et al.
昨日の良い子と貧乏人の味方,100円ワゴンの荷台へようこそ。今日のおかずはバブル華やかなりし頃,【ボビ夫くん】を流行らせた張本人にして,ニュージャック・スイング・ブームの中心人物だったボビー・ブラウンの1997年作。この人の出発点は1983年に子タレとして参加したブラコン・グループ【ニュー・エディション】での成功でした。ラルフ・トレスヴァントの陰に隠れて日の当たらなかった彼は,1987年にグループを脱退。翌年に発表したソロ第二作『ドント・ビー・クルーエル』で大成功。チャカポコした打ち込みリズムに載せて達者なダンスを披露し,『ダンス甲子園』なる番組まで作られるほどの人気を博しました。かのホイットニー・ヒューストンを嫁にもらった1992年,彼はさぞ得意満面だったことでしょう。しかし,売れて天狗になるのは世の常。ここからの凋落は気の毒なほどでした。麻薬とDVの挙げ句,2006年には愛妻とも離婚。すっかり男を下げた彼の周りからは見る見るファンが去り,1997年に出た本盤ときたら,ほんの9年前1000万枚以上を売ったとは到底思えぬ全米61位止まり。これを最後に,彼はシーンから姿を消すことになりました。ちまたの寸評を読んでも「地味だ」と酷評の本盤,しかし聴いてみますと決して悪くない。前半を中心に被害妄想気味の力んだ歌詞と歌い回しで苦笑を禁じ得ないのは確かなれど,曲はなかなか粒ぞろい。ダンスが上手いセックスシンボル的な先入観を抜いて,淡々と曲の粒を数えれば,意外に粒の揃ったいいアルバムなのでは。絶頂期のような踊り子仕様の曲は少なく,ニュー・クラシック・ソウルを意識してメロウなR&Bに落ち着いた結果,逆に存在意義を失ったのが売れなかった理由でしょう。頑張ったのに勿体ない。100円棚の商品としてはお買い得の部類じゃないでしょうか。★★★






脱稿:2008年5月31日 1:15:13

編集後記

御無沙汰なんてもんじゃございません。
不精を詫びるばかりです。

引っ越しが済みました。
誰もいない未明の自室で,
片づけが全て済んだのを祝って,ぱちりと一枚。
・・どう見ても仕事をする場所じゃないなこれは(苦笑)。

ちなみに,各方面から大笑いされ
翌日には撤収を余儀なくされました(ToT)
しかし,数日後には・・

死角の壁際に,ちゃっかり復活しているw
インシュレーターはガムテープを巻いた煉瓦です,貧乏くさっ!







これ・・ほんまかいな。
知らない女、天袋に住み着く!? 住居侵入容疑で逮捕 粕屋署
5月29日7時7分配信 西日本新聞
押し入れの中に、見ず知らずの女が住み着いていた!? 福岡県警粕屋署は28日、同県志免町の男性(57)宅に忍び込んだとして、住居侵入の現行犯として住所不定、無職堀川タツ子容疑者(58)を逮捕した。押し入れ内の天袋にマットレスを持ち込み、生活までしていたという。

同署によると、男性は1人暮らし。以前から家の食べ物がたびたびなくなることを不審に思い、人影に反応すると画像が携帯電話にメールで送られる仕組みの警報装置と監視カメラを室内に設置。この日午後2時すぎに外出すると、十数分後に不審者が写った画像を受信した。男性の110番通報で署員が駆け付け、天袋に隠れていた堀川容疑者を発見。午後3時10分ごろ現行犯として逮捕したという。いつから、なぜ住み始めたのか調べている。
(出典:http://headlines.yahoo.co.jp/

貞子よりほっぽど怖いと思います。
しばらく押入を空けたままでないと眠れない。
しかしもっと凄いのは
58才男性の異様な高スキルではないでしょうか。





このおめでたい特権意識はどこから来るんだ。

「音楽税」計画の詳細―訴えないでやるから金を払え
われわれは昨日(米国時間3/27)、世界第3位の音楽レーベル、Warner Musicがアメリカ居住者に月5ドルの音楽税をかけようとしている計画を知った。

計画の内容の一部は前の記事に書いておいた。業界のベテラン、Jim Griffinを雇って計画の受け皿となる新しい団体を設立させようとしていること、他のレーベルにも参加を呼びかけるらしいこと、などだ。Griffinのアイディアは、月5ドルの音楽税(インターネット・ユーザー全員のISP料金に上乗せされる)で年$20B(200億ドル)の金をかき集めようというのだ。Griffinは「これは強制ではない」とほのめかしている。彼はまた「〔音楽税というが〕実は税金ではない」として次ぎのように述べている。「われわれはこのプロジェクトを政府に運営させたり、あるいは一部でも介入させたりするつもりはまったくない」。 Griffinはまた料金を支払いたくないパートナーのために広告収入で運営される下部組織を設けることについても論じている。

音楽税を払ったユーザーはインターネットのあらゆ通常の経路(BitTorrent等のP2Pネットワークなど )から合法的に自由に音楽をダウンロードすることができる。

厳密な意味で言うならGriffinはウソは吐いていない。しかし事情に通じた情報源はいくつもの問題点を明らかにしている。そういった細部に加えて、Griffinの提示するあいまいな全体像は、まさに古典的な「みかじめ料」にそっくりである。われわれは昨日、Warnerの計画を描写するためにこの言葉を使ったが、 細部が次第に明らかになってくるにしたがって、手袋のようにますますしっくりと当てはまる。

これが連中の本音だ―金を払ったら訴えないでやる

この音楽税は、事実、強制ではない。しかしこれは誤解を招く言い方だ。一般ユーザーにインターネット接続を提供しているISPにとっては、この計画に参加するかしないかは任意である。しかしひとたびISPが参加すると決めたら、すべてのユーザーの毎月の料金に上乗せされて一括徴収されることになるだろう。

ではなぜ ISPはこの計画に参加を承諾するのか? 主として損害賠償の責任を逃れるためだ。この計画の核心は「金を払ってくれた相手は訴えないでやる」という約束である。Griffinはこの点について記事の中で次のように触れている。「ISPは自社のネットワーク上で起きるファイル共有に基づく責任の回避を求めている」。

この計画が実施に移されれば、大学や短大が真っ先に参加するだろう。料金を単に授業料に上乗せするだけで損害賠償訴訟に引っ張りこまれる危険が回避できるのだから。Griffinは次に一般向けISPに売り込む。ISPが加盟すれば、ユーザーとしては、たとえインターネットから音楽のダウンロードをしていなくても、音楽税を払わずにすますことはできない。だから音楽税が「任意」だというのは、大学に行っておらず、インターネットも利用していない限り支払いを強制されることがないという意味に過ぎない。

広告収入による運営云々に至っては批判をかわすための目くらましにすぎまい。計画が実現する頃にはどこかに捨てさられていると思う。音楽をBitTorrentでダウンロードしてiPodにコピーするユーザーを対象にした広告ビジネスが成立するはずがない。その過程のどこに強制的に広告を表示することができるというのか?

したがって結局、計画の核心はISPに対する「ユーザーから音楽税を徴収してわれわれに払えば著作権侵害の責任を問われることはない」という売り込みだ。政府が不介入であり、かつ捜査当局や裁判所が民事・刑事両面にわたって著作権侵害の摘発に熱心であることがムチとなってGriffinがISPの参加の説得に成功することも考えられる。これは政府が支援する強請だ。それ以上でもそれ以下でもない。

こんな計画が万一実現したら音楽のイノベーションに与える悪影響は測り知れない。絶滅の危機が目前に迫っている音楽レーベルとしてはこんなうまい話はないだろう。それ以外の全世界にとって、これは考えられうかぎり最悪のシナリオだ。
(出典:TechCrunch

コメントは必要ないでしょう。
貧すれば貪するとは良く言ったものです。







「誰やこのキモイおっさん」,
無礼者!控えおろう!

最新のCG技術で復元された
かのJ.S.バッハおじさんです。



似てる・・といえば似てるかも知れない。


それではまた次号,
しぃゆうあげぃん。

ぷ〜れん敬白 

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