暗愚楽月報
The Underground Disc Review
第65号

イエスに負けじと貯金も降誕
一円残らずおろ師走れず
たくサンタっぷりCD漁り
見ごトナカイ物全額CD

Editer's Note

今月の金賞(D'OR)


★★★★★
Danny Grissett "Promise" (Criss Cross : Criss 1281 CD)
@moment's notice Aautumn nocturne Bpromise Cwhere do we go from here DCambridge place Eyou must believe in spring Fon the edge Geverything happens to me Heleventh hour
Danny Grissett (p) Vincente Archer (b) Kendrick Scott (ds)
寡聞にして初耳のリーダーは,名門ニュー・スクールの修士課程を2000年に出たのち,モンク研究院へ進んでバリー・ハリス,ハービー・ハンコック,ケニー・バロンらに師事した新人さん。ビリー・ヒギンズのサイドメンとしてプロ入りした当時は故郷のロサンゼルス界隈で活動していたそうですが,2003年からニューヨークへ拠点を移し,ヴィンセント・ハーリングのサイドメンとなって録音に加わるほか,トム・ハレルやジョン・ハードの脇で経験を積みました。現在懇意な面々には,マーカス・ストリックランドやニコラス・ペイトンら,伝承派の流れを汲む御仁がずらり。2006年に出たこの初リーダー作も,掉尾のHに注目すれば,彼のルーツは一目瞭然でしょう。何げに影響力のでかい御大マルグリュー・ミラーの流れを汲む,転調大好きモード・ピアノです。自作を4曲,演奏家の手すさびを3,スタンダード2で均衡を取った周到な作りのトリオ作。歌心も技巧もすでに新人離れしており,堂に入った仕立ての良さには驚きました。欲を言えば,自作が良く書けている反面,やや捻りすぎてしまう編曲に若さが滲むこと。歌ものや他者の楽曲の解釈には若干の課題が残りますか。それでも,これだけの腕があれば,まず大きな林檎界隈でも食いっぱぐれることはないでしょう。標題に偽り無し。メロディアスで端正なモード・ピアノがお好きな方は間違いなく目尻が下がります。お薦め盤。






Recommends


"Sérénade (Roussel) Prélude, Marine et Chanson (Ropartz) Sonate (Debussy) Introduction et Allegro (Ravel) Quintette No.2 (Koechlin)" (Atma : ACD2 2356)
Jennifer Swartz (hrp) Timothy Hutchins (fl) Robert Crowley (cl) Marianne Dugal Jonathan Crow (vln) Neal Gripp (vla) Brian Manker (vc)
1954年英ウィンチェスター州出身のティモシー・ハッチンスは,1978年からモントリオール響の首席フルート吹きとなり,デュトワを擁して最絶頂期へと向かう同オケを支えた名手。本業でフランスづいていたとはいえ,まさかあの手の大物さんが,近代べったりの室内楽曲選なんて作ってくれるとは思いませんでした。日頃この手の曲を演奏するのは,「お前誰や?」と目が点になる方々が中心。彼ほどの大物が録音したというだけで充分ニュースですし,近代ファンの購買対象となり得るでしょう。すらりとした脚線美は,スレンダーで都会的。そのイメージを壊さぬだけの高い技量で「できるOL」ぶりをアピールする。唯一,気になる点があるとすれば,技量というよりも曲解釈ですか。馴染みのロパルツを例に挙げますと,第一楽章は大きめのアゴーギクで,やや装飾過多。テンポ遅すぎで間延びしてしまういっぽう,第二楽章では無窮動に拘りすぎ,デュナーミクで洒落っ気を出そうとするため,冷たく鳴りすぎてしまう。ドビュッシーも,スラーの音圧に変化が無く,リズムの処理がやや硬い第一楽章や,速めのテンポがやはり一本調子なため,拙速にも聞こえてしまう第二楽章辺りは好みの分かれる余地を残すでしょう。それでも,はっちん御大を筆頭に,器楽アンサンブルとしての技量は最上クラス。それぞれに難を残した既往の録音のほとんどを軽々と超える美演ぶりに感嘆。「カナダの田舎に住んでる無名演奏家に,無名作家をディグさせる新大陸版まる子」な印象しかなかったATMAに,初めて良い意味で裏切られました。★★★★★
Frank Martin "Cello Concerto / The Four Elements" (Doron : DRC 3044)
Bernard Haitink (cond) Jean Decroos (vc) Concertgeboworkest Amsterdam
遅めのテンポをとり,構造をゆったりと掴む実直な指揮でピカイチの信頼感を誇るハイティンクさん。マルタンのCDなんて出していたんですねえ。しかも,嬉しいことに『四元素』が入ってる。外れのないハイティンクの指揮とコンセルトヘボウの弦でこんな演目を聴けるのは,充分購入動機たりえるでしょう。なにぶん1970年のライブ演奏。遠くで聞こえる咳払いはほとんど宿命です。ただ,客席はかなり静かでイラっと来る瞬間は少ないですし,何より曲構造に対する指揮者の見通しの良さが段違い。ぴかぴかのデジタル録音で録られたバーメルトの連続録音でも充分愉しめていたんですが,ひとたび御大の指揮棒で聴いてしまうと,やはり説得力が違います。珍しい『チェロ協奏曲』も美演ですねえ。チェリストのドクロースは1944年カレ生まれの仏人。パリ音楽院でトゥルトゥリエとナヴァラに学び,奥さんとデュオを結成。1951年のクライスラー=カザルス国際,1959年のジュネーヴ国際では,夫婦で出場して優勝した実力者。その後,1962年にコンセルトヘボウ管の首席チェリストとなってオランダへ移住し,アムステルダム音楽院で教鞭を執っているようです。音色は仏人とは思えぬほど高く鋭い独襖風。しかし,飴の光沢を充分に備え,聴き苦しさは感じません。オケともども,高名なロマンド管のより遙かに良く,さすがはオケ界のイチローことコンセルトヘボウ管。1970年代の時代を考えれば,ここまで美演な同一演目の録音は,ほとんどないんじゃないでしょうか。お薦めです。★★★★☆
Jean Wiener "Concerto pour Accordéon et Orchestre / Sonate pour Violoncelle et Piano / Concert pour Orchestre et un Piano Principal" (Arion : ARN 68186)
Gilbert Roussel (accd) Jean Wiener, Jacqueline Robin (p) Pierre Pénassou (vc) André Girard (cond) unknown Orchestra
歌曲集と自作自演のピアノ曲集くらいは存在を知っていたものの,まさか管弦楽曲が出ているとは思わなかったヴィエネル。おまけにこれがピカイチ君と来てはご紹介しないわけには行きません。フランセにプーランクの翳りを加えたような急速調と,ミヨー後年の叙情さながらの緩楽章の間に横たわる断層に,パリの浮き世の儚げなアンニュイが込められている。決して趣向の凝らされた譜面ではないものの,簡にして要はきっちりと押さえた管弦楽譜も和声芳醇で素晴らしい。アコーディオンとオケなんて合うのかと思ってましたが,これがパリの秋風を巧みに捉えて実にお洒落ですし,六人組を無調風にしたソナタも,近代と現代のバランス感覚が実に素晴らしい小傑作。嬉しいことにソリストの演奏も軒並み高水準と来ている。コンセールで自演を披露する作曲者は,確かに速いパッセージでは摩耗するところもあります。しかし,録音当時既に75才だったはず。到底それが信じられないほどふくよかで円みのある,リッチな打鍵に感嘆。チェロ・ソナタの二人も上手いうえ,録音が1970年代初頭にしては破格に澄んでいいですねえ。それだけに,唯一残念だったのは,なぜか具体名の書かれていない謎オーケストラ。決してドヘタではないと思うんですが,何というか意思が統一されていないというか,アーティキュレーションが揃っていませんねえ。寄せ集めだったんでしょうか。勿体ない。★★★★☆
Othmar Schoeck "Konzert, op.61 / Sommernacht, op.58" (Claves : CD 50-8502)
Johannes Goritzki (cond, vc) Deutsche Kammerakademie Neuss
シューベルトへの憧憬とシェーンベルクの時代性が,一人の中で組んず解れつ,不思議な具合に絡み合った人間くさい音楽が,シェックさんです。ドイツ臭い音楽は好みに合わないにもかかわらず,不思議とこの人の音楽は気になり,見つけると買ってしまいます。本盤はひと頃,同じ地場企業のジェックリンと並んで,シェックの主要作品を録音していたクラベスから出たもので,晩年の代表作とされる『夏の夜』を併録。同じクラベスから出たオケ付帯の歌曲では,オネゲルもびっくりの気難しい語り口に驚きましたが,別人の如く穏健なこの二編を聴いても,調性からの脱却を志向したのは,若気の至りだったのでしょう。しみじみとエレジアックに琴線に触れてくる主旋律は,紛れもなくシューベルト礼讃だった彼の美旋律フェチぶりを披瀝。しかし,明示的な反復フレーズをほとんど使わぬままどこまでも敷衍される主旋律と,次の予測が極めて困難な転調で支配される協奏曲は,ドイツ・リートを近代の目で再解釈する彼の視座を,まざまざと物語る。独ロマン派を出発点に,自らの語法を発展させた作曲家といえば,仏界隈にもルクーやマニャールがいましたが,やたら長大で感傷的,しかも掴み所のないほど長大な主題という点では,彼も極めて近いところにいたのでしょう。分けても『夏の夜』は,妖しくも儚げなサビの節回しが,まるで英国近代の作曲家かと思うほど情感豊か。甘さに流れるフランキストとは少しだけ距離を置き,壮麗なワグネリズムに阿ることもなく,より慎み深く禁欲的にロマンスを語るゲルマン風のロマン派美学が,色濃く出た佳品ではないかと思います。少しばかり,後ろの管弦楽の音癖と,細部の毛羽立ちが気になる瞬間もあるものの,演奏は総じて優秀。初耳のネウス室内アカデミーが,マルコ系のオケよりは数段優秀な演奏でゴリツキさんの艶々したチェロを支えます。★★★★☆
Claude Debussy "Sonate pour Flûte, Alto et Harpe / Sonate pour Violoncelle et Piano / Sonate pour Violon et Piano / Danse Sacrée et Profane / Rhapsody" (Pearl : GEMM CD 9348)
Marcel Moyse (fl) Eugene Ginot (vla) Lily Laskine (hrp) Maurice Marechal (vc) Robert Casadesus (p) Jacques Thibaud (vln) Alfred Cortot (p) Maurice Viard (as) Piero Coppola (cond)
ステレオ期以前の著作権切れ音源をデジタル化することに掛けてはぴかいちの英Pearlから出た本盤は,ドビュッシー録音史の黎明期を代表する銘演奏をこれでもかとカップリング。一度は通らなければならない壁ではありましたので,この機会に耳を貸してみることに致しました。成る程,玄人筋に一定のファンを持つのも道理。現代と流儀の異なる,速めのテンポ取りに違和感こそ感じるものの,器楽ものに関しては総じて非常にレベルが高いです。三重奏ソナタは,あからさまな等速ビブラートが鼻につき,現代のものに比べセカセカと拙速なモノラル期特有の癖はあるものの,要所要所で的確に挿入されるリタルダンドが曲にしなやかな曲線美を与えて緊張感を保持。恐らく遙かに有名で録音も良い,ランパルがフルートを吹いたエラート盤よりも,メリハリがあって宜しいと思います。高名なティボーとコルトーのは今回初めて聴きましたが,こちらはさらに大きくテンポを揺らしてダイナミックかつ艶やかな美演。半世紀以上も前に,これだけ洒落た演奏をやっていたとは,と目が点になりました。それだけに残念なのは,仕方ないとはいえやはり圧倒的に悪い録音。全編にジリパチが乗るモノラルの音環境は,それだけでドビュッシー入門者のほとんどを拒絶するに充分。到底万人にお勧めとは行きますまい。これもまた,各々の曲の「メタ表象」が脳内に形成され,存在論的な演奏の出来と経験論的な音の像とを区別して愉しめるようになった方向けの音盤ということになるでしょうねえ。★★★★☆
Arthur Honegger "Le Chant de Nigamon / Pastoral d'Été / Symphonie No.2 / Symphonie No.5" (Auvidis Valois : V 4831)
Charles Munch (cond) Orchestre National de France
個人的には,オケの不出来を除けば,オネゲルを最も上手く振っていたのはセルジュ・ボドだと思います。しかし,恐らく一般に,オネゲル交響曲の解題者として最も高い評価を恣にしているであろう人物はカラヤンか,本盤の主役ミュンシュさんでしょう。何故か存在しなかった彼のオネゲル全集。あるのは併録のばら売りばっか。イライラしつつ待ってみましたがとうとう我慢できず,バラで揃えようと諦めて買った次第。聴いてびっくり玉手箱,本オネゲル選集は全てライブ録音。2編の交響曲は各々スペインとフィンランドでの録音で,おまけにモノラル。1964年録音なのに古臭いこと。そりゃカップル成立せんわけですよ・・。『ニガモンの歌』や交響曲の演奏はボドよりもダイナミックで推進力があり,これは『交響曲第4番』の録音で持った感想と同じ。速めのテンポでありながら巧みにメリハリを利かせ,速さを拙速さに変えぬよう最大限配慮しながら,ぐいぐいと推進力を発揮して心を鷲掴みにする。極めて見通しの良い解釈に参りました。さらに驚いたのは『夏の牧歌』における,意外なほど良くこなれた歌い回し。相変わらずさっぱりと速めのテンポできびきびと振っているにもかかわらず,彫りが深く量感豊か。要所でピシピシっと拍を締めて緊張感と陰影を作り,音符がダレず拙速感を与えない。ボードの名録音以外で,初めて感心する演奏を聴きました。こうなると返す返すもヒドイ録音が残念。一応ノイズ除去処理は加えてあり,ジリパチ音はありませんけれど,音質面での不利はいかんともし難いです。これだけ振れるなら,なんで集中録音してくれなかったんだろ・・。ピアニストのリサイタル信仰にも似たものがあったんでしょうか。惜しい限りです・・。★★★★☆
Lucien Durosoir "Sonate en La Mineur / Oisillon Bleu / Cinq Aquarelles / Chant Élégiaque / Prière à Marie / Lucien Durosoir, en 1950" (Alpha : 105)
Geneviève Laurenceau (vln) Lorène de Ratuld (p)
恐らく世に出るのは初めてのデュロゾワールは,前世紀初頭に活躍した名ヴァイオリン弾き。パリ音楽院で学ぶも,演奏家としてはその後学んだヨアヒムの流れを組むドイツ肌。第一次大戦中はカプレとマレシャル,アンリ・ルモワーヌの4人で弦楽四重奏団を組んでいたそうな。すげ〜!戦禍のもとで独奏者としての道を諦めた彼は,トゥルヌミールやウジェーヌ・コールスに就いて作曲技法を修得。戦後はパリを離れて南仏に住み,作曲活動をしながら余生を送った模様です。彼は楽譜を出版する気はさらさらなく,息子のリュックさんにより,まさに「再発見」された形となりました。本盤はその貴重な復刻上演盤というわけです。書法的には完全にポスト・フランキスト。直輸入盤の帯がアジるほどドビュッシスト的でもトゥルヌミール的でも,カプレ的でもなく,むしろユニゾンとトレモロを主体とし意図的に薄められた和声の肉付けと,ロマンチックな主旋律の二軸が曲をなすところなど,ミゴの器楽に通じるところがあるでしょうか。フランキズムの流れを汲む,美旋律型の転調ロマン派ヴァイオリン曲集・・と思えば,愉しめる人は少なくないでしょう。本盤の美点は,演奏の美麗さ。初耳のロランソー女史は1977年ストラスブル生まれ。リューベック及びコロンヌ音楽院で学んだのち,ロッテルダム音楽院でカントロフに師事。国際的な受賞歴は乏しく,2001年にラヴェル・アカデミーから最優秀賞をもらい,翌年のアダミ財団コンクールで5位になっているくらいですが,そんなショボめの経歴が嘘のように良く歌った美演をなさっていると思います。★★★★☆
Joly Braga-Santos "Concerto for Strings in D / Sinfonietta for Strings / Variations Concertante for Strings and Harp / Concerto for Violin, Cello, Strings and Harp" (Marco Polo : 8.225186)
Alvaro Cassuto (cond) Bradley Creswick (vln) Alexander Somov (vc) Sue Blair (hrp) Northern Sinfonia
ジョリー・ブラガ=サントスは1924年リスボン出身。あまり有名人を聞かないポルトガルでは,恐らく最も再評価されている人物の一人でしょう。何でも南欧のシベリウスと呼ばれているとかいないとか。そんな先入観を持ちつつ1951年の弦楽協奏曲を聴きますと,なるほど音符が空いた冒頭の緩奏部における叙情性は確かにそれっぽいかも知れない。新古典的な筆致をとりながらも,時代から信じられないほど穏健かつ保守的。南欧の作曲家ながらそれらしいポルトガル臭さはほとんどなく,紳士気質のスノビズムが希薄なことを除けば,英国近代の耳で聴いてもあまり違和感は感じないでしょう。しかし,1963年に書かれた小交響曲では,何を思ったか書法豹変。半音階基調の鬱々した拍動でぐっとオネゲル的になり,随所に民謡臭丸出しのオブリガードが付く。1967年の変奏曲になるとさらに現代音楽臭が濃くなり,半音階敷衍型無調病の罹患が明らかとなります。1960年辺りを境に,前と後ろでかなり作風が違うようで,注意が必要かも知れません。両者に共通しているのは,拍動をかっちり維持する新古典的な輪郭でしょうか。特に低奏部の肉付けは上手いですねえ。これが彼の音楽の基底を成す美意識だったんでしょう。指揮者が大らかなタイプなんでしょうか。現代風になった後年の作品を中心に細部の不揃いが散見されるものの,オケは透明度高くきびきびとした拍節構造を的確に再現前。「オオッ,マルコ離れしてる!」と感嘆しつつ良く見ると何のことはない,お馴染みのノーザン・シンフォニアでした。★★★★
Joseph Jongen "Sonate / Aria / Moto Perpetuo / Dans la Douceur des Pins / Caprice - Impromptu / Habanera / Feuille d'Album / Valse" (Phædra : 92030)
Karel Steylaerts (vc) Piet Kuijken (p)
「フランドルの大地に」と題し,ベルギー近代の無名作家発掘に奔走する素敵な地場企業フェードラ。その第30弾として2002年に出た本盤は,名曲打率が全ジャンルに渡って首位打者クラスの名匠ジョンゲンが書いたチェロ曲を全集化。ロマン派的旋律美にドビュッシー前期の和声感覚を絶妙にブレンドし,破壊と再構築からではなく,過去の語法の拡張から近代音楽のポジティブな発展を志向した作曲者の姿勢が,そのまま載った佳曲揃いです。曲に文句垂れる不心得者は本サイト閲覧禁止!そんな信者丸出しの暴言も口を衝く本盤,残る関心は演奏技量の一点でしょう。チェリストはブリュッセル音楽院でカルロ・シュミッツに師事し,室内楽とチェロの両課で賞をもらって卒業。その後コローニュでもお勉強したそうで,ベルギー国営放送主催のテヌート杯に入賞なさったこともあるんだとか。ソリストとしては知名度薄ながら,ハイペリオンに艶めかしいドビュッシーやラヴェルの三重奏曲集を吹き込んだフロレスタン・トリオのメンバーと聞けば,身を乗り出す方もおられるのではないでしょうか。本盤での音色はキコっぽさも漂い,速い無窮動で跳躍満載の弓弾きを強いられる「無窮動」では技術的にかなり辛そう。スラーが多めに処方される些かだらしのない演奏流儀にも若干の疑問符はつきますけれど,全集化の触れ込みで充分相殺。ド・グート御大に師事したピアノもペダリングがやや粗野で,運指も含め師匠の偉大さを感じさせる仕上がりとはいえ,充分に健闘なさっていると思います。むしろ本盤の場合,録音の処方のほうが演奏をショボく聴かせる要因として利いてるかも。フェードラさん・・も〜ちょっと録音,何とかしましょうよ?★★★★
Georges Auric "Orphée / Complainte d'Eurydice / Les Parents Terribles / Thomas l'Imposteur / Ruy Blas" (Marco Polo : 8.225066)
Adriano (cond) Vera Rasková (fl) Jacques Tchamkerten (ondes) Slovak Radio Symphony Orchestra
ジョン・ウィリアムス以下ごく一部の例外を除いて,クラシックの世界でも通用する腕を持った映画音楽の書き手がほぼ死滅した現代,六人組界隈がこぞって映画音楽を書いていた数十年前の楽界は,各界の才能が渾然と入り交じった面白い時代でした。ロックでいえばさしずめ1970年代ですか。楽壇の才人が惜しげもなく才能をつぎ込んだ曲を,背景音楽として流し聴きしていた往時の映画ファンは贅沢だったですねえ。六人組の中でも最もバカ度が高く,悪意と毒気に満ちた道化師を演じることに掛けては天才的な才能を発揮するオーリック。積極的に手を伸ばす気にはなかなかならない彼も,どういうわけか管弦楽,それも映画音楽になると別人の如く「まとも」な作曲家になるから侮れない。1998年に録音された本盤では,恐らく録音も多いであろう『オルフェー』を始め,彼の映画音楽5篇を収録。わざとやってるとしか思えない不協和音とすっとんきょうな跳躍で,聴き手のマゾ度を試しては高笑いする,あのでぶのフランス人と,ロパルツやラドミローの田舎情緒やドビュッシー的な繊細和声を巧みに織り交ぜて,しみじみとした叙情性を披瀝する本盤の彼が同一人物とは,到底信じられないでありましょう。なにぶん映画音楽ですので,起承転結構成の一貫性は希薄になり,悪く言えば背景音楽特有のパッチワーク臭さは拭えないんですが,それを割り引いても,彼がバカの仮面の裏に隠し持った熟達のオーケストレーターぶりは存分に。特に『オルフェー』は素晴らしく,代表作の名に恥じない小傑作と思います。残念なのは,やっぱり細部の肌理が揃わずモタついてしまうオケですか。これでもスロヴァク響よりはましですから。まあ,我慢です我慢(苦笑)。★★★★
"Suite (D'Indy) Quintet (Martin) Prélude, Recitatif, et Variations (Duruflé) Sextuor (Poulenc)" (Premier Recordings : PRCD 1032)
New Jersey Chamber Music Society
決して悪い演奏ではないが,良い演奏とも言えそうにないクラシコの録音でのみ認知しているデュリフレ唯一の室内楽作品『前奏曲,叙唱と変奏』。他に何か無いのかと思っていましたら,凄いカップリングで録ってる奇特なアンサンブルを発見しました。嘘かホントか,プーランクの六重奏以外は1993年に出た本盤が全部世界初録音だったそうな。バロック的な趣を湛えつつ,軽やかに転調する晩期ダンディは瀟洒な佳品ですし,マルタンはびっくりするほど調性感明瞭な保守的ロマン派書法と,無名抄二品も良い曲揃い。選者の見識眼の高さに頬緩むのを禁じ得ませんでした。ただ,その高い見識に腕が付いてこないこの皮肉。人生かくも哀しきものよ。演奏するはニュージャージー室内楽協会なる面々。州立議会の助成を得て活動しているそうな。マイナー人を掘り起こす気になるのは,やっぱり自分も浮かばれてない人というのは世の常でして。今どきウェブサイトの一つすら存在しないのも道理,ナクソスもびっくりの演奏技量。ピッチも足取りもおぼつかない,くすんだ弦のビブラート,時折掠れ気味のフルート,タッチは綺麗だけど細部摩滅気味のピアノと,貧乏くささ満点。にもかかわらず,熱意一つで小さな技量を結集し,売り物をひとつ築き上げるその心意気には感涙。講堂の向こう側から録ったような集音も貧相感をいや増して,勧進帳大好きな小市民たるあっしの琴線を刺激。泣きの涙がちょちょ切れます。ああデュリフレよ。こんなに良い曲書いたのに。何でロクな演奏すらしてもらえないのだ,君は。★★★★
Lodewijk Mortelmans "Dageraad en Zonsopgang / Mignon / Morgenstemming / Gelios / In Memoriam / Mythe der Lente" (Phaedra : 92033)
Nina Stemme (sop) Zsolt Hamar, Fernand Terby (cond) Flemish Choir and Flemish Radio Orchestra : BRTN Philharmonic Orchestra-Brussels
恐らく作品集を真面目に買うのは初めてじゃないかと思われるロドウェーク・モルテルマンスは,1868年アントワープ生まれ。1893年にベルギー・ローマ大賞を受賞し,1901年から1924年まで王立フランドル音楽院で対位法とフーガの教鞭を執るかたわら,1903年にアントワープの新演奏会協会を創設し初代指揮者となるなど,多方面に活躍しました。彼は「小編成が宝の山な作曲家」などという有難いのか有難くないのか良く分からぬ異名をもち,印象主義の影響が後期ロマン派語法に昇華されているらしいピアノ曲でのみ評価されている。つまるところ大編成の本盤は,いわば彼の最もダメなところをとりあげた作品ということになります・・という不穏な書き出しで気づいた諸君はさすが。伊達に月報を読んでませんな。ナクソス御用達の絨毯商人ラハバリ氏の影がちらつくBRTNな演奏陣も構わず,札びらを切ってみましたが,中身はといえば笑っちゃうほど独襖万歳。本家よりは多少デュパルク的な洒落っ気があり,比較的後年の『イン・メモリアム』辺りはポストになり切れぬロマンティストの枠で愉しめるものの,基本はシューマン,ブラームスにワグナーの大仰さをたたえた独ロマン派の嫡流。仰々しい文語調でロマンスを語るこの作曲家から印象主義の片鱗を嗅ぎ取ろうというのは,甚だ困難だったと白状せねばなりません。演奏はまずまず。統率不充分で肌理がやや粗いですかねえ。★★★★
Joaquin Turina "Sonata No.1 op.51 / Sonata No.2 op.82 / Sonata Espanola / Homenaje a Navarra, op.132 / Variaciones Clasicas / Euterpe, op.93" (Meridian : CDE 84430)
Roland Roberts (vln) Miyako Hashimoto (p)
スペインの作曲家が紹介されるとき,ギター曲は仕方ないにしても,ピアノ曲の需要が圧倒的に多いのはなぜなのか。ひょっとしてその所以は,打楽器の特質をもち,一台で伴奏も兼ねるピアノが,独奏の場合も左手で強靱なリズムを繰り出すことができるからであり,それが聴き手の期待するステレオタイプな「スペイン情緒」を最も容易く提供するからではないかなどと思わずには聴けないのが,このヴァイオリン曲選です。しじゅう弦をつまんでいるわけにもいかない弦が主旋律を奏でるからでしょうか。ところどころにジプシー臭い節回しが混ぜ込まれ,モーダルな主旋律と,時々豊かさを増す伴奏に彩りを添えるいっぽう,これ見よがしなフラメンコ・リズムは希薄で,驚くほどに穏健なロマン派音楽となっている。やや薄味ながら曲想はなかなかに魅力的。ドビュッシー前夜の仏ロマン派を,やや男性的にしたようなイメージを持って聴けば,外れることはそうないんじゃないでしょうか。ソリストのロバーツさんは1963年ノーザンプシャー州出身のイギリス人。王立音楽院を出たのち,フルブライトの助成を得てアメリカへも留学したそうで,サミュエル・アシュケナージやルジェーロ・リッチにも指導を受けたことがあるんだとか。国際的な受賞歴は見あたらないものの,1973年からロンドンに拠点を移して活動なさっているらしい橋本女史ともども腕は良く,適度な力感と確かなピッチ,光沢のある細めの音色は見事です。それだけに,妙に残響の多い録音がややお粗末で,充分演奏の良さを表現しきれていないのは残念ですねえ。★★★★
Hans Krása "Quartetto / Tanz / Three Songs / Thema mit Variationen" (Channel Classics : CCS 3792)
La Roche Quartet : Marat Dickermann, Sarah Paynes (vln) Jan Kokich (vla) Rudolph Grimm (vc)
1899年プラハに生まれた作曲家は,いわゆるテレジン収容所組の一人。弁護士の父のもと,プラハのドイツ音楽アカデミーへ進み,卒業後プラハ国立歌劇場の声楽指導職に就きました。面影はあまりないものの,この当時,同歌劇場の音楽監督だったツェムリンスキーから多大な影響を受けたのだとか。彼が1927年にベルリンへ戻った際はその後を追い,ここでルーセルとも邂逅して指導を受けたのだそうです。1938年には児童向けの歌劇『ブルンジバル』で既に大きな成功を手にはしていたものの,1942年8月10日にナチスによって捕らえられ送致された先のテレジン強制収容所で,作曲家としての最も輝かしい日々を迎えることになったのは皮肉でした。本盤はこの当時に残された4編の室内楽作品を併録。ドイツ,ニュージーランド,ロシア,英国と,メンバーの誰一人出自が被らない1988年結団のラローチェ四重奏団の演奏で聴けます。低奏域からじわじわと送り込まれる不穏な蠢動と,毒気を含んだコミカルな主旋律が,奇妙かつ素っ頓狂に絡みあうさまは,いかにもテレジン収容所組。しかし,他の作曲家に比べ,良くも悪くもコミカルな毒気は少なく,六人組におけるデュレ的な地味さと堅実さに支配されている。調性感を充分留め,重音を巧みに使って,三重奏とは思えぬほど彩り豊かな響きを得た『舞曲』や,絶筆となった『主題と変奏』のドイツ・ロマン派的な田園情緒は,頽廃音楽世代であることを危うく忘れそうになるほど。掻きむしるような不協和音のアイロニーも控えめで,その辺りがいまひとつテレジン組の中でも評価がぱっとしない理由なのかも知れません。しかし,個人的にはテレジン組では一番好きかも知れない。決して洗練されているとはいえない演奏も,各人良く強調してまとめあげていると思います。★★★★



Other Discs

Claus Ogermann "Piano Concerto / Concerto for Orchestra" (Decca : UCCL-1024)
Claus Ogermann (cond, p) National Philharmonic Orchestra
ジョビンの代表作『波』の,涼しげで憂いに溢れた管弦楽譜によって名声を不動のものにした名アレンジャー,オガーマン。新境地を模索していたブレッカーに,ミステリアスなベールを纏わせてあげたのは彼でしたし,最近はダイアナ・クラールにもオケ譜を充ててあげていました。功なり名を遂げた1980年代以降からは,徐々にクラシック畑へと比重を移しているようで,本盤は彼が本格的にクラシックへ取り組んだ成果を刻印。1991年作の管弦楽のための協奏曲と,1993年作のピアコンを併録しています。北欧ジャズ風のもつ透明で繊細な情緒,憂いをたっぷり含みつつ精妙に鳴る和声は,ジャズ起源の彼の持ち味が良い意味で生かされており,積極的な美点として評価できる。その反面,これは彼に限らずジャズからクラシックへ来た人間のほとんどがそうなんですが,彼もまた体位法的な構成力が見劣りしてしまいます。名だたる彼の編曲作品を聴いても,どれも息の長い和声が美しいいっぽう,あまり多声的な動きはありませんでした。ジャズならそれでも様になるでしょうが,クラシックはそうはいきません。主部と副旋律,後ろの和声が分離してしまい,おまけに上物が動く反面,下物(伴奏譜やリズム)の変化が乏しいもんで,後ろが重く沈んでしまいます。一言でいえば,ダレ易くアマっぽい。センスは決して悪くないだけに,途中から鞍替えしたものの限界を見るようで,隔靴掻痒ですねえ。ちなみに本盤のオケは「ナショナル・フィルハーモニック」管というそうです。知らんなあ,どこのナショナルですかね。それとも松下フィルってことですか?あ,演奏は良いです。ピアノも同音連打で若干アップアップするものの,高技量なのではないでしょうか。★★★☆
"Violin Sonata in G Major (Lekeu) Violin Sonata in G Minor (Debussy)" (Philips : UCCP-3498)
Lola Bobesco (vln) Jacques Genty (p)
ピカイチに品があるグリュミオーこそ素晴らしいとばかり思っていたフランクのソナタで,とある人が「これぞ最高」と薦めていたのがこの女性,先ごろ2003年にベルギーで世を去ったローラ・ボベスコさんです。1921年クレオヴァ生まれのルーマニア人ですが,出身校はパリ音楽院。1934年に一等を得て卒業し,1937年のイザイ国際で優勝して世界的に知られるようになりました。イザイに心酔してか,後年はベルギーに拠点を移したようで,王立ワロン室内楽団を1958年に創設したのも,この人だったそうです。本盤はそんな彼女が,なぜか1981年に埼玉県の新座市民会館で録音したルクーとドビュッシーのソナタ集。どれほど上手いのか気になり,廉価に後押しされての購入となりました。成る程さすがはイザイ国際の覇者。音色には光沢と力感があり,抑揚豊か。フランコ=ベルギー楽壇らしい艶っ気のある演奏。歴史的名盤と持ち上げられ,再発されたのも一面,納得行くには行くのも確かです。しかし,少し注意すると,正確なようでいて微妙にずれるピッチ,ビブラートをふらつきに変える筋力の低下,光沢はあるものの,象牙の輝きに重くくすみの出た音色・・そして何より,細かいアクセント配置やリズム解釈に,老人特有の技術的アラや解釈の野暮ったさが乗ってしまう。特に,曲から綺麗さっぱり妖気の失せた,抜け殻のようなドビュッシーは哀しいの一語。別の意味で泣ける演奏といえましょう。昔は確かに相当上手かったのでは。しかし,録音当時もう60才ですから・・。早くから精力的に録音活動をしていたら,あるいは評価も変わったでしょうに。寄る年波が気力と肉体の衰えを露わにしてしまった残酷録音。下手じゃないものの,ピアノも印象薄。大したもんじゃありません。★★★








Recommends


"Jazz in Britain '68-'69" (Vocalion : CDSML 8418)
@bouquet garni Ashepherd oak BBessie Ccircles on ice Dwinter song
John Surman (bs) Alan Skidmore (ts) Mike Osborne (as) Harry Beckett, Kenny Wheeler (flh) John Taylor (ep, p) Harry Miller (bg, eb) Tony Oxley, Alan Jackson (ds)
近年,復刻が進む英国ジャズ。この国のジャズ界の面白さは,何といってもプログレッシヴ・ロックを生んだ本家本元なことでしょう。現在でも活躍中のジャズメンの多くが,若かりし頃に一枚噛んでいたこともあり,ロック界の才人とジャズ界の才人が鍔迫り合いしていた1960年代から1970年代前半にかけての英国ジャズには,5年落ちで到達した彼岸の新主流派ムーブメントの杓子定規では計れない面白さがありました。本盤は,1960年代末の英国ジャズ・シーンをリードしていた2つのグループのセッションを集成した企画盤。前半三曲は,1944年タビストック生まれのジョン・サーマン率いるユニットの録音で,@では三管のみによる集合的即興,Aでは5管に通電系トリオを加えたカンタベリー色漂う新主流派ジャズ。いっぽうC,Dは1942年ロンドン生まれのアラン・スキドモアが率いる五重奏団の演奏で,よりオーソドックスな英国流の新主流派ジャズが聴けます。二部構成をとり,前半をサーマン,後半をスキドモアがリードするBを中間に挟んだ構成からも明らかなとおり,単なるセッションの寄せ集めではなく,読者投票のポール・ウィナーだった彼らにご祝儀半分,共同作業させることを最初から意図した,企画作だったのでしょう。フリーもこなすサーマンですが,本盤でそれらしいのは@くらい。全体にカンタベリーと新主流派路線で通しており,企画ものにありがちな散漫さも殆どなしに安心して聴けます。この顔触れからソリッドなモード・ジャズが聞こえる方には,問題なく手を伸ばして頂けるんじゃないでしょうか。★★★★☆
Joel Weiskopf "Devoted to You" (Criss Cross : Criss 1293 CD)
@beauty for ashes Adevoted to you Bgiving thanks CNovember DSt.Denio Ethe strongest love Fyou must believe in spring Gwondrous love Ha mighty fortress Ione bright morning
Joel Weiskopf (p) John Pattitucci (b) Eric Harland (ds)
気が付けばもうクリス・クロスからのリーダー作も4枚になるジョエルさん。「ウォルト・ワイスコフの・・」云々の枕詞はもう要りませんか。少し硬めのリズム感から繰り出されるナイーヴで端正な打鍵と,程良く捻られた転調が心憎いメロディアスな作編曲力は,この人ならではの持ち味。それがいまだご兄弟で演奏活動を継続する大きな所以にもなっておりましょう。2007年発表の本盤は,ジョン・パティトゥッチにブライアン・ブレイドが絡む超豪華なリズム隊をバックにした前作に続くもの。今や若手きっての腕利きさんになったエリック・ハーランドを太鼓に加え,リズムはいっそう小気味良く引き締まりました。そういえば,他の二枚も含め,彼の太鼓の人選は一度も被ることがありませんでしたねえ。ひょっとすると,この人の作品作りの中核には太鼓があり,そのうえに上物を並べる形で音楽を作る人なのかも知れません。そんな邪推もまんざらでもないと思わせる本盤,ラテン乗りのトラックが増えました。基本路線には変化無く,仕上げも盤石。軽々とその辺のトリオ盤を超えてくる作りの良さで信頼は裏切らず,人選も含め心配要素は殆どありません。唯一気になる点があるとすれば,このラテンへの奇妙な傾倒。ラテン乗りはどうしても,4拍乗りに比べるとリズムが硬く具象的になりますから,正直なところ,若干演奏が窮屈になってしまう。そのためか,いつにも増して太鼓が前に出て,主人公も引き立て役に回った感は拭えません。技巧派ではないぶん,太鼓に大きく寄り掛かったということなのでしょうが,少しばかり演奏の小粒さが目立つ結果になったのは勿体なかったですかねえ。★★★★☆
Rahsaan Roland Kirk "I, Eye, Aye: Live at the Montreux Jazz Festival" (Rhino : R2 72453)
@Rahsaantalk 1 Aseasons BRahsaantalk 2 Cbalm in gilead Dvolunteered slavery ERahsaantalk 3 Fblue rol No.2 Gsolo piece Hserenade to a cuckoo Ipedal up
Rahsaan Roland Kirk (reeds, winds) Ron Burton (p) Henry Pearson (b) Robert Shy (ds) Joe Texidor (perc)
口に数本のリード楽器を加えた風貌で知る人ぞ知るローランド・カークは,1936年コロンバス出身。南部のブルースやソウル・ジャズ,ゴスペルの土臭いフィーリングを満面にたたえつつ,屈託なく人懐っこくメロディアス。興に乗っては唸り声を張り上げ,鼻に笛を突っ込んで吹いたり,リードを複数加えて一人対位法をやったり。その強烈なキャラゆえに,サイドメンとしては数えるほどしか吹き込みをしませんでしたが,1956年の初リーダー作を発表後,リーダーとしては少なからず数の録音を残しました。本盤は1972年にモントルー・ジャズ祭へ出演した際の実況録音。わずか3年後に半身不随となり,5年後に世を去るとは思えないほど気持ちよく鳴る管楽器の生々しい音色と,ほどばしるエネルギーの風圧に瞠目します。ライブということも手伝い,やや間延びした演奏もちらほら。大阪のローカルな大道芸人を思わせる彼の芸風の妙味は,むしろ映像で見るほうがいっそう掴めるような気がするのも確か。ウソだと思ったら本盤を一聴したのち,映像付きで再聴すると良いでしょう。心の赴くまま鼻笛を吹き,無邪気に客席を浮遊する彼を,かいがいしく世話する周囲のサイドメンと,暖かく手拍子で迎える客席。会場を包む微笑ましい空気を追体験しなければ,人によっては頭があっちへとイッてしまわれた音楽バカのラクガキじみて聞こえてしまうことでしょう。目が点になってしまった貴方はぜひH,Iを。その気になれば真っ当なジャズも演れる人・・というのは,これを聴けば一目瞭然。星半分の減点は,そのIの無神経なフェード・アウトと,CDの限界を感じるという意味です。★★★★☆
Giuseppe Bassi Quintet "We'll be Together Again" (YVP : CD 3100)
@l'angelo che vola più in alto Alove walked in Bwe'll be together again Chaze Dparla più piano ERoma nun fà la studida stassera Fmemory of a dream Gbass tune Hgood morning heartache Ijehu
Giuseppe Bassi (b) Dado Moroni (p) Daniele Scannapieco (ts) Lorenzo Tucci (ds) Fabrizio Bosso (tp, flh) Guido Di Leone (g)
リーダーは1971年バーリの出身。同郷の先輩ロベルト・オッタヴィアーノに見出され,彼とともに1994年アパトリア・クインテットを結成。1997年にはスケマ・クインテットへの参加によって伊の保守派ジャズを好む好事家の間で話題を呼び,その後もファブリツィオ・ボッソ,エマニュエル・チージーら今様ハードバップの好きな面々の脇を固めている実力者です。本盤はそんな彼が,2002年に発表した初リーダー作。サイドメン時代に脇を固めて仲良くなったファブリツィオ・ボッソ以下,スケマ・レコード上がりの面々が豪華に助演しています。イタリアのジャズをお聴きになる方は,顔触れを見ただけで音が聞こえてくるでしょうから,最早余計な解題は要らないようなもんですが,実際円盤を鳴らすと,これ以上ないほど予定調和的な保守派ハード・バップ。腕利きさんが揃っているうえ,変に弄り回さない作編曲も好ましい。彼はこの後にも2004年に『マイ・ラヴ&アイ』を発表することになりますけれど,大物が揃ったこちらのほうが出来は一ランク上でしょう。殆ど目立たないギターに蛇足感は漂うも,急速調の@にも流れないファブリツィオ・ボッソのラッパは相変わらず素晴らしく達者ですし,どことなくバップ版のマルグリュー・ミラーみたいな老獪さを漂わせたダド・モローニのピアノもバランス良好。少しゆるフンなところのあるテナーも野武士的なソウルフルネスが勝ち,本盤に限っては好演奏。均整の取れた好内容作になっているのではないでしょうか。★★★★☆
Jimmy Greene Quartet "Forever" (Criss Cross : Criss 1245 CD)
@old rugged cross Ain many tongues Bcome sunday Cforever DNMG Eyou make me feel brand new Fpower Ghe is lord
Jimmy Greene (ts, ss) Xavier Davis (p) John Benitez (b) Jeff 'Tain' Watts (ds)
二枚目辺りまでは,まだ充分楽器をコントロールできず,洒落た楽曲とアレンジメント頼みの色が濃かったジミー・グリーン。あまり気に留めたことはなかったのですが,それから僅か1〜2年ほどの間に,みるみる腕が良くなり,脇役で参加しているアルバムで彼を仄聞していると,恐らくはアイドルにして居るであろうジョーヘンばりの肉感的な鳴管を,急速に会得しているようすが伝わってきました。「オオッ何か知らんが,妙に上手くなってる!どっかで見かけたら拾ってみるか・・」そう思っていたところへ,折良く手許に落ちてきたのが,2003年発表の本盤。くだんの第二作から3年振りのリーダー第三作で,堂々キャリア初のワン・ホーン・カルテット。さして興味を持ってはいなかった私が,ちょっとこれだけあからさまに進歩するヤツは記憶にないぞと思ったくらいですから,恐らく本人は一番良く自分の成長を実感していたんでしょう。メロディックなモード・ピアノを弾き,この手の伴奏には最適任であろうザヴィアー・デイヴィスが脇に回り,強面のリズム隊が後ろを固め陣容も万全。外れはないだろう・・との読みは6割方は正解でした。演奏に関しては長足の進歩を遂げており,充分主役として看板を張れています。少し残念なのは,ややまとまりを欠くアレンジと作曲。スタンダードはやや捻りすぎ,バップとモードの間でやや宙ぶらりんになったようなオリジナルの意匠も,惜しいといえば惜しいですかねえ。でも,同じテナーマンが次作までのインターバルにどれだけ大化けするかを,この人くらい露骨に証明した例は,ここ最近記憶にありません。前作を持っている方なら,二枚を聴き比べるだけでも充分に愉しめるかと思います。★★★★
Brian Lynch "In Process" (Ken Music : 011)
@four flights up Aflamingo Bin process Cdo what make you mad Dafter dark Ethe new arrival FI should care Gso in love Hbirdflight
Brian Lynch (tp) Javon Jackson (ts) Benny Green (p) Dennis Irwin (b) Anthony Reedus (ds)
1956年イリノイ州ウルバナ出身,気が付けば50代と,もはやベテランの域に差し掛かっているブライアン・リンチ。彼を日本で一足早く有名にしたのは秋吉敏子のジャズオケでしたが,実はその前からチャールス・マクファーソンとホレス・シルヴァーのコンボに在籍。白人ながら骨の髄までビ・バッパーなその姿勢は,分かりやすくて好感が持てます。本盤は日本人制作スタッフのもと,ブレイキー追悼盤として1990年に吹き込まれた,3枚目のリーダー作。ご多分に漏れず,保守中道系の伝承派ハードバップ・チューンがずらりと配膳されています。既に老獪ですらあるマルグリュー,ベニー・ゴルソン似の昼行灯ジャヴォン・ジャクソンら,当時の日本人スタッフの好みがそのまんま。伝承派第二世代の顔触れとなれば,出てくる音は聴かずとも予想可能でしょう。このアルバムの美点はソロ云々よりも,アルバムとしてのまとまりの良さ。楽曲やアレンジメントがどれも良く書けており,意匠が丁寧。最近まで出続けている彼の数多アルバムと並べても,恐らく相当に上位クラスなのでは。ソロについても,これだけの面々。そう詰まらない音の出ようはずもなく,各人とも及第点の出来で手堅く演奏をまとめます。今ひとつ歌いきれないソリストたちの中では,ジム・スナイデロの出来が頭一つ抜けていましょうか。スナイデロのアルバムで感心した記憶ってないんですけど,ここでは持ち前のキャノンボール好きを巧みに生かしながら,メロディックなフレーズへとまとめあげることに成功。好調だったんでしょうねえ。★★★★
Peabo Bryson / Roberta Flack "Born to Love" (EMI : CP28-1054)
@tonight, I celebrate my love Ablame it on me Bheaven above love Cborn to love Dmaybe EI just came here to dance Fcomin' alive Gyou're looking like a love to me Hcan we find love again
Peabo Bryson, Roberta Flack (vo) Marcus Miller (syn, b) Greg Phillinganes, George Wadenius, Richard Horton, Dann Huff, Paul Jackson, Jr., Tim May (g) Richard Tee, Mark Parrish, Paul Delph, Vance Tayler, Robbie Buchanan, Michael Boddicker, Randy Kerber (p, rhodes, syn, key) Carlos Vega, Buddy Williams, Jim Keltner, John Gilston, Andre Robinson (ds) Anthony MacDonald (perc) Leland Sklar, Nathan East, Abe Laboriel (b) Jai Winding, Jerry Corbetta (arr, rhodes, key) Felipe Mantine (fl) Gene Page (arr) Bobbye Hall, Charles Bryson, Paulinho Da Costa (perc) Bob Gaudio (syn, arr, rhodes, p, ds) Thaddeus Johnson, Dan Dillard (tp, flh) Pete Christlieb, Ron Dover (sax) etc.

ソロでは恐らく「優しく歌って」でのみ認知されているロバータ・フラックは,1969年のデビュー後,ダニー・ハザウェイと組んでヒットを連発。しかし,1979年に彼が飛び降り自殺してしまいます。失意の彼女が,後釜として白羽の矢を立てたのは,1976年にデビューしたばかりの新人ピーボ・ブライソンでした。本盤はその最初の成果で,クワイエット・ストームのはしりともいえるお約束の@でのみ認知されているヒット作。「名前は知らないけど曲は知ってる」の代名詞ともいえる@ですが,実は本国ではせいぜいビルボードで16位になった程度。アルバムも25位どまりってご存じでした?日本でバカ売れした理由は,一にも二にもブリジストンのタイヤと“タイヤップ”したからに他なりません。この手の“作られた名曲”が入ったアルバムは,客寄せの1曲以外は出涸らしのパターンが大半でして。肝心の@の大甘さ加減も好みに合わず,これまで本盤を真面目に聴こうと思ったことはございませんでした。先入観はいけません。たまたま250円で拾ったのを機に今回,真面目に聴いてみますと意外や意外,カットされなかった他の楽曲もなかなか粒ぞろい。わけてもバカラック夫妻の書いたAの美メロはさすが。シングル曲に負けないほど良く書けている。演奏も腕利きのスタジオ職人を交えての手打ち。今となっては少しサムいアレンジもありますけれど,同じ頃流行ったソフト・ロックやクワイエット・ストームの名盤群とも充分比べられる内容と思います。いや,お見それしました。★★★★
Jean-Pierre Como "Storia..." (Naïve : Y226136 AD 098)
@primavera Ale plus beau tango du monde Blungo mare Cestate Dgianno di festa FLéa Gallegria HSyracuse Ivalse du premia jour Jstoria... Kpost scriptum
Jean-Pierre Como (p) Thomas Bramerie (b) André Cecarelli (ds)
脇役としてはともかく主役としては初耳のリーダーは,1963年パリ生まれ。お察しの通りイタリア系移民です。ベルナール・モーリー,ミシェル・サルダビー,フランソワ・クチュリエのお弟子さんですが,大学時代までは音楽院で正規にクラシックも勉強していたんだそうです。1983年のデファンス国際を制したギターのルイ・ウィンブール,サックスのアラン・ドビオーサらと1984年に【シクスン】なるフュージョン・バンドを結成。その後の活動はほとんどがこのバンドと,自らのリーダー作の両輪で展開されているようです。5枚目にあたる本盤は,御大アンドレ・チェカレリが太鼓に座る豪華な編成で,2001年に発表されました。フランス生まれのイタリア系との出自からも読みようによっては読めそうな音は,甘い叙情性と,簡素な和声,小粒ながら丸い打鍵を併せ持った,イタリー・ロマン派の小粒な嫡流。ファウスト・フェレイオロや昨今のロベルト・シペリに通じる訥々としたピアニズムと作編曲流儀の持ち主です。違いがあるとすれば,フュージョンをやる移民の子らしく,4拍リズムへの執着が希薄で,作品作りの美学においてフランシス・ロックウッドらに一脈通じるものを持っていること。ジャケットに載せられたセピア色のお写真は,察するところ,別盤でトリビュートすることになる愛父と幼い頃の自分でしょうか。流れ流れてパリへ辿り着いた漂泊の記憶が,どことなくジプシーの臭いを漂わせる運指音型やアレンジメントのゆえんなのでしょう。そういえば,彼が懇意にしているウィンブールさんはフラメンコ・ギターの名手で,ジプシー・キングスの関係者だったですよね?★★★★
A.Pasqua, D.Carpenter, P.Erskine "Standards" (Fuzzy : PEPCD014)
@the way you look tonight Adear old Stockholm Bdeep in a dream Ccon alma Dit never entered my mind Espeak low FI'm glad there is you GI hear a rhapsody HI'm ld fashioned II could have danced all night
Alan Pasqua (p) Dave Carpenter (b) Peter Erskine (ds)
センスが良いかは意見の分かれるところであろうとはいえ,少なくともこのトリオの音を代表するとは思えない表装の本盤は,すっかり蜜月状態になった連名プロジェクトの新録音。ここに来て何を思ったか,スタンダード曲ばかりを並べて一枚作ってきました。どうやら日本盤も出ているようで,それを以て日本人制作のせいだと嘆く盤評を見かけましたが,少なくとも本盤のクレジットに邦人の名前はありません。もともとホールズワース人脈のパスカは,アースキン共々あどけなく抒情的な曲書きの才も豊か。確かに北欧情緒漂うDやFのアレンジは感心したものの,些か奇を衒った感すらする強引なリハモやリズム処理が目立つ編曲は,全体にやや「らしくない」印象で,正直なところこの三人に余所者素材は邪魔なだけだ・・と思わざるを得なかったと白状せねばなりません。日本人にスタンダード好きが多いのは周知の事実ですけど,折角マイペースでいい作品を作っていた演奏家の横面を札束ではたいてまで,それを強要するとしたら,やはり問題。くだんの盤評もその意味ではあながち的外れとも言えませんでしょう。「前作ふたたび」の期待を早々に捨てた聴き手としては,むしろ異様なほど良く録れた集音に拍手喝采。研究所と思しき建屋の大講義室で,たった二本の真空管マイクと2トラックの録音機のみを使用。徹底して原音を追求したとの触れ込みに違わず,アースキンのシンバル音の生々しさには肝を潰しました。2本しかマイクを使わない=音の位相が歪まないことが,これほど耳に心地良いとは。反面,2つの打楽器に挟まれたカーペンターのベースが少し沈んでいるのはご愛敬か。生録りの皮肉な限界も露呈してしまった・・というところでしょう。★★★★
Ben Schachter "The Missing Beloved" (Ben-Jam Music : bjcd 334)
@the missing beloved Avisitation Bsimultaneous CI know you hate me* Dbebrew* Enext
Ben Schachter (ts, as) Tim Hagens (tp) Jef Lee Johnson (g) Micah Jones (b) Erik Johnson (ds) Gary Bartz (as)*
リーダーは1962年ペンシルバニア州ノース・ウェールズ出身。現在はテンプル大学でジャズ科講師をする傍ら,フィラデルフィアを拠点に活動する中堅リード奏者です。デイヴ・ホランドやジョン・ゾーン,ジャマラディーン・タクマ,サム・リヴァースとの共演を経て,自主制作盤ながら数枚のリーダー盤を発表しています。本番は2002年に出たもので,1970年代の黒人先鋭ジャズメンの流れを汲むどろどろとした呪術性を,涼しいギターの和声とかっちりした拍動で,巧みに現代へと昇華。軸足は古き良き黒人音楽に置いたうえで,鋭角的な声部で味付けをしていくやり方は,古くはドルフィ,ドン・チェリー,オーネット・コールマン,最近ではトーマス・チェイピンやジョン・ゾーンらのそれに一脈通じます(そういえばリーダーさんの書く楽曲とバーツ風の音色は,どことなくトーマス・チェイピンに似てますねえ)。ウネウネと悩ましくのたくる2つのリフを,メン・モンデールにべったりブルースの脂を塗り重ねたようなジェフ・リー・ジョンソンのギターが下支え。敢えて二管をフロントに据え,絡み合う二声の黒っぽい不協和音を通して,怪しく喧噪に包まれた昔日のティンパンアレイを巧みに描出する。共演歴から予想される通り,ニッティング・ファクトリーの臭みがたっぷり詰まっています。即物主義的で調性感に乏しく,聴き手をかなり選ぶ晦渋な音ではありますけれど,曲者揃いで技術的には相当にハイ・レベル。南部訛りの気難しいジャズがお嫌でなければ,たまにはこういうのもいいかも知れません。★★★★
おくたばりなさい!Jan Lundgren Trio "Landscapes" (Sittel : SITCD 9297)
@dalvisa Aallt under himmelens fäste Bblekinge Cinbjudan till bohuslän Dfjäriln vingad syns på haga Ebrännvin är mitt enda gull Fsmåland Gslängpolska efter byss-kalle Hglädjens blomster Iden blomstertid nu kommer Jmedley Kjämtländsk kärleksmelodi
Jan Lundgren (p) Mattias Svensson (b) Morten Lund (ds)
彼の最高傑作が『スウェディッシュ・スタンダーズ』であることに異論のある人は,そうはいないでしょう。太鼓をいつものアレックス・リールやラスムス・シェルベリから,デンマークの俊才モルテン・ルンドへ入れ替えたこの2003年録音盤で,顔見せ興業がてら早速,かの最高傑作と同じご当地民謡集を制作する彼にも,きっとその自覚はあるんでしょう。太鼓の変化でリズムは歯切れ良くタイトになり,反面やや溜めが喪失。くだんの最高傑作に比べ三者の緊密な相互供応が薄れ,良くも悪くも「普通に良いトリオ」になりました。リズムが多彩になったのは企画色の裏返しか。鼻につくといえば鼻につく。タイトな乗りを多く処方したリズムのせいか,やや窮屈そうな彼の運指技巧に,ごく僅かの翳りが見え隠れするのも確かです。尤もそれは凡弱なピアニストよりも遙かに高い次元での話。丸く端正なタッチは相変わらずで,右手も良く歌い,音型も整って良くスイングする。オーソドックスなバラッドを,信頼のヤン印で愉しめる点では,充分お薦めできるレベルはクリアしておりましょう。そんな本盤で最も気に入らないこと。それは「何で今更?」のCCCD仕様。おまけにパソ子でも読める程度の弱いプロテクション。パソ子を使わない人は最初からコピーなんてしませんし,パソ子が使え,悪意をもってファイルを拡散する能力があれば,プロテクトなど苦もなく外すでしょう。結局損をするのは,違法ファイルを落とすこともなく真面目に現物を買い,リッピングもせず律儀にCCCDのまま聴く善良なエンドユーザーだけ。存在自体が無意味です。あれだけタッチに神経を配るラングレンがこれに同意したとは。ぶるうたすお前もかの心境でございますことよ。★★★★
The Jazz Couriers "The First and Last Words" (Tempo-Jasmine : JASCD 626)
@the theme: through the night roared the overland express Aroyal ascot Bon a misty night Con a misty night (alt.take) Dcheek to cheek EMonk was here Flast minute blues Gif this isn't love Heasy to love Iwhisper not Jautumn leaves Ktoo close to comfort Lyesterdays Mlove walked in
Tubby Hayes (ts, vib) Ronnie Scott (ts) Jimmy Deuchar (tp) Terry Shannon (p) Phil Bates, Kenny Napper (b) Bill Eyden, Phil Seamen (ds)
当時根城にしていた【フラミンゴ】というジャズ・クラブのこけら落としを機に,1957年の4月に結成されたジャズ・クーリアーズは,1959年8月に解散。たった2年半しか持ちませんでしたけれど,幸運にも幾つかの優れたハード・バップ作を残していってくれました。彼岸のアル&ズートが,ズートの巧さばかり目立っていたのに対し,こちらの2人は腕のほうもバランスが良いうえ,適度にソウルフルで骨があり,穴のないチームでしたねえ。本盤はジャズ・クーリアーズ名義で残した最初(1957年8月)と最後(1959年7月)のセッションをカップリングしたもの。何だか前半の5曲は聴いたことあるような気がするんですけど,むしろ目玉は双方の息もぴったりな後半戦。気にしないことにしてしまいましょう。ロリンズやグリフィンなどの,ソウルフルで骨のあるテナーマンへ重度に被れたお二人のバトルはストレートアヘッドで実に清々しい。白人でもあり,鉄琴も弾く器用さが災いしてか,この当時のヘイズのリーダー盤の中には,鉄琴と過多気味のアレンジで興醒めを誘うものも少なくない。やや頭でっかちになりがちなヘイズさんを,テナーバトルの趣で適度に暖めておくところに,このチームの勘どころもあったんじゃないでしょうか。ちなみに本盤,澤野工房さんがLPで復刻した模様。それを見越して,首都圏ではCDが安価で投げ売りされてます。音質に偏執狂的拘りのない方は今がお買い得かも知れません。★★★★
"The Benoit / Freeman Project" (GRP : GRD-9379)
@reunion Awhen she believed in me Bmediterranean nights Cswept away Dthe end of our season Eafter love has gone Fsmartypants Git's the thought that counts Hmirage Ithat's all I could say
David Benoit (p, key) Russ Freeman (g, synth, key) Nathan East, Abe Laboriel (b) John Robinson, Tony Morales, Mike Beard (ds) Steve Reid (perc) Kenny Loggins, Phil Perry (vo) Jerry Hey, Gary Grant (tp, flh) Dan Higgins (as) et al.
いつもジャケットがエグくて,中古盤店に必ず落ちている【リッピントンズ】のリーダー,ラス・フリーマンさんと,グラミー賞5回を誇るイージー・リスニング界の代表格デヴィッド・ベノワが組んで,1994年に発表したコラボレーション作。250円と妙に安いのでつい買ってしまいましたが,実はベノワさんは随分昔,エヴァンスに捧げた『春を待ちわび』を聴き,神経質そうな硬い打鍵がどうにも受けつけなかった記憶がありまして。以来彼の中古盤には一度も手を出したことがなく,久々に聴くことになります。ギターとピアノ弾きが共同戦線を張る趣向に加え,ベノワは全編に渡ってアコースティック・ピアノ。ベースには,どこかで目にしたネイザン・イーストの名が。これだけ状況証拠が揃っていれば,プロジェクト発足にあたって,一足早くビッグネームの相乗効果を挙げた【フォープレイ】の成功が範となったとの邪推も,あながち的はずれではありますまい。10年後には続編も作りましたので,きっとご本人達にも,多少ならず思い入れを残した作品だったんでしょう。なにぶんベノワさんとボブ・ジェームスでは弾き手としての格は比べようもありませんし,リッピントンズは打ち込み風情も漂うノリノリのフュージョン。格落ち感は否めません。それでも,弦楽付帯でアコギを前面に出し,本家そこのけの西海岸的エキゾチズムと爽やかな叙情が溶け合うBを始め佳曲が並び,この面々だから出せる音だなあ・・と頬緩みます。個人的にはケニー・ロギンスの参加したAが白眉。サントラのイメージが強い彼も,元はAOR色濃い音で鳴らした通好みの才人。僅か1曲の参加で主役2人を綺麗さっぱり飲み込む,天賦の曲書き能力と歌唱力には目が点になりました。余談乍ら,期待したEのカバーは醜悪。特にナルシスズム丸出しの歌手にはゲンナリの一語です。★★★☆
Laura Fygi "Introducing Laura Fygi" (Mercury : PG 900/510700-2)
@goodmorning heartache AI've grown accustomed to her face Blet's get away from here Cwillow weep for me Djust one of those things Eimpossible Fdream a little dream Gmy foolish heart Hgo away little boy Idon't it make my brown eyes blue Jguess who I saw today Kgirl talk Lout of sight, out of mind Mstuck on you Ncan it be done
Laura Fygi (vo) Ruud Jacobs (b) Gwénaël Micault (key, accd) Phillippe Cathérine, Marcel Dorenbos, Francis Goya (g) Ferdinand Povel (sax, fl) Toots Thielemans (hmn) Peter Ypma (ds) Coen Van Baal (strings-arr)
1955年アムステルダム出身の彼女は,フィリップス社の重役だった父とエジプト人の母の間に生まれ,南アフリカで育った変わり種。元々の出発点は,1980年に結成した【テラ】で,その後も女性ばかりのグループ【センターフォルド】でヒットチャートを賑わせたポップ歌手。生粋のジャズ歌手ではないだろう・・というのは,鍛えた様子のない喉を聴けば即座に了解されるところです。1991年発表の本盤は,そんな彼女に舞い込んだ初のソロ作オファー。本国オランダでは5万枚売れ,エジソン賞まで受賞。日本でも7万枚売れる異例のヒット作になり,ソロ・キャリアの道筋をつけることになりました。ジャズとはほぼ縁の無かった彼女が,何を考えてこういうアルバムを作ったかは,場違いにも挿入された先駆者の佳曲Mで一目瞭然でしょう。クワイエット・ストーム的なべったり弦シンセと,良家の青江三奈風ながらお世辞にもコブシの回らない歌い手の組み合わせで,普通なら凡庸以下のムード歌謡に堕するところ。それを救ったのは場違いに腕の立つ助演陣でした。あのピム・ヤコブスのリズム隊がプロデュースを買って出たうえ,カテリーヌやシールマンスら大物を迎えて生楽器の核をしっかり形成。音をダレさせなかったのが成功の秘訣。グウェナエル・ミコーなるアコーディオン奏者のアレンジも達者ですねえ。なまじ看板がややお粗末だけに,周囲の助演の達者さが際だつこと。ムード歌謡と割り切って聴けば,これは確かにエジソン賞に値する佳作でしょう。★★★☆
Spike Wilner Ensemble "Late Night Live at Smalls" (Fresh Sound : FSNT 187)
@how am I to know Ahopscotch Ba gypsy without a song Cbrown penny Dthe intimacy of the blues Eif you are but a dream Fa blues of many colors Ggo ask Ellis Ha blues for another day
Spike Wilner (p) Ian Hendrickson Smith (as, fl) Yves Brouqui (g) Paul Gill (b) Joe Strasser (ds)
「おおっ,こんなところにヘンドリクソン・スミス君が!」とばかりに購入した本盤は,ニューヨーク出身の中堅ピアノ弾きが2004年に発表したスモールズでのライブ録音。太鼓のストラッセーはリーダーのニュースクール時代の同窓生でしたので,スミスの顔出しも旧クラスメート繋がりでしょう。購入動機は申すまでもなくいなせなアルトのほうだったんですが,一聴明らかにスイング期以前のスタイルをルーツに持ったリーダーのピアノにびっくり。幼い頃にスコット・ジョプリンをテレビで見たのがジャズの馴れ初めだそうですから,無理からぬことでしょう。高校ではピーター・マーティンに就いて手ほどきを受け,モダンなコンセプトも吸収。その後ニュースクール音楽院へ進み,ウォルター・デイヴィスJr.とジャキ・バイヤードに師事したほか,ジャズ文化センターでバリー・ハリスにも指導を受けました。ラグの名士ジョプリンを核に,周りを新旧のハード・バッパー教師陣が固める教育歴が,そのまま音になったスタイルです。1989年のモンク・コンペでファイナリスト,1993年にセミファイナリストになったくらいですから,下手な筈はなく,楽曲もハードバップとスイング期以前の意匠が巧妙にブレンドされた楽曲もまずまず面白いんですけど,技術的にもう一声ですか。リズム感が甘いようで。アップテンポの@やFでは,リズムの音型がしじゅう怪しくなり,「そういうところまで古き良き時代の辿々しいピアニストのマネせんでもええじゃろ」とこちとらも苦笑い。それにも増して頂けないのは集音。実際の会場をイメージしてのことでしょうが,細部の音像がもやつき,調律の狂ったピアノが極端に左へ振られ,「何だかなあ・・」って感じですか。ただ,これらを除けばスミス君のリーダー盤同様の今様ハードバップで快い。リーダーが後ろに回り,ピーター・バーンスタイン流儀のメロディックなギターといなせなアルトが活躍するクインテットの5曲は一通り安心して聴けます。★★★☆



Other Discs

Jon Mayer "The Classics" (Reservoir : RSR CD 175)
@solar Aalong came Betty Blittle Melonae Csouvenir Drecordame Esolid Fvery early Gecaroh Hdon't misunderstand Ivoyage Jladybird
Jon Mayer (p) Rufus Reid (b) Willie Jones III (ds)
名前はちょくちょく仄聞するわりに,リーダー作を真面目に聴いたことのなかったリーダーは,1938年ニューヨークはハーレム生まれのピアノ弾き。マンハッタン芸術高校を出てマンハッタン音楽大学へ進みますが,1950年代半ばにはプロとなり,1957年にはマクリーンの『ストレンジ・ブルース』に参加。翌年にはトレーンの吹き込みにも参加して知名度を上げました。ビル・エヴァンスの伴奏で有名なクラリネットのトニー・スコットが,その後任に据えたのも,何を隠そうこの人物。腕はさぞ良かったんでしょう。1960年代以降はサド=メル楽団でピアノを弾いたほか,ディオンヌ・ワーウィックやサラ・ヴォーンらの歌伴を歴任。せっかくキャリアを積みながら,看板を掲げるのが難しい時代だったのかリーダー盤は皆無。その後13年ほど一線を退いてしまい,美味しい時期に何も残せなかったのは勿体なかったですねえ。ロスに居を構えて再出発したのは1991年。1996年にはようやく初リーダー作を発表し,その後は今までがウソのようにリーダー盤を連発。人生の終局に来て,漸く陽の光を浴びたわけです。本盤は2004年に出たトリオ作で,タイトル通り手垢の付いた楽曲を,飄々としたバップ・ピアノで演奏。一聴,レザボアの好みが良く分かる彼のピアノは,同シリーズで浮かばれた白人バッパー,ロブ・シュナイダーマンととても良く似ている。やや舌足らずで辿々しい,コテコテのバップ・ピアノです。和声が貧相だけに,余程右手が達者でなければ目も当てられないのがバップ。どんな老獪さを見せてくれるかと期待半分でしたが,結果は大きく外れ目でして。とにかくミスタッチ多く,リズムの輪郭はおっとっと系。聴き苦しいことおびただしい。特にアップ・テンポの@やB,Iは惨憺たる出来。出来ないなら無理すんなよ・・とため息しか出ません。録音時65ですからある程度は仕方ないんでしょうが,同じく老境のエディ・ヒギンズやキューン御大だってあれだけ巧く立ち回ってるんですから,言い訳は通らんでしょう。★★★☆
"Cyrus Chestnut" (Atlantic : 83140-2)
@miss thing Asummertime Bthe journey Celegant flower Dnutman's invention#2 Emy favorite things Fany way you can Gmother's blues Hgreat is thy faithfulness Istrolling in central park Jsharp
Cyrus Chestnut (p, rhodes) Ron Carter (b) Billy Higgins (ds) Anita Baker (vo) James Carter (as) Joe Lovano (ts)
もはや偶然と僥倖の産物としか思えぬ『レベレイション』の余韻だけで買わされている気がするサイラスさん。出るたびにサイドメンが変わるのを見ても,本人しっくり来ないんでしょう。「イヤそれはご本人の問題なんぢゃないの?」と,内心思いつつ手に取った本盤では,とうとう見るからに危なっかしい2名の大御所でトリオを組んでます。やっぱりと言うか何というか,相変わらずご本人はゴスペルからクロスオーヴァーまで手広く手を出して散漫となり,止せばいいのにマッシブ気取り。小粋な持ち味を殺してテク自慢をするご本人の心の問題にさえ気が付けば,すぐに名盤がポンポン作れる人だけに,隔靴掻痒はいや増すばかり。サイドメンもかなり難しい人を選んでますねえ・・。フリーキーでぼってり暑苦しいジェイムス・カーターは,ドスが利いて渋い反面(この手のフリー含みのリード奏者には多いですが)コントロールが雑で,音程も満足に取れません。長所が最大化されるJあたりでは,アトランティック初期トレーン奏法のロヴァーノと丁々発止。なかなか聴かせますから,一時日本でちやほやされたのは,良いときのプレイを聴いた人が多かったか,その人からの受け売りだったんでしょう。むしろ本盤の拾いもんはアニタさんですか。お休みしてた間に,こんなところでジャズ・ヴォーカルの練習をしてたのかと頬緩む。ブルーノートへの移籍の伏線はこんなところにあったわけですねえ。Eなんか,バカ売れしたクワイエット・ストーム時代より,余程スムーシーで伸び伸び歌えているのではないでしょうか。★★★☆
"Bird - Original Motion Picture Soundtrack" (Columbia : CK 44299)
@Lester leaps in AI can't believe that you're in love with me BLaura Call of me Dthis time the drea's on me EKo ko Fcool blues GApril in Paris Hnow's the time Iornithology JParker's mood
Charlie Parker, Charlie McPherson (as) Monty Alexander, Walter Bishop Jr., Barry Harris (p) Jon Faddis, Red Rodney (tp) Ray Brown, Ron Carter, Chuck Berghofer (b) John Guerin (ds)
これはヒドイ!(笑)のっけから失笑を禁じ得ない本盤は,ダーティハリーでお馴染みクリント・イースドウッドが,ついに趣味を映画にまでしてしまった監督作品『バード』のサントラ盤。息子のカイルくんまで洗脳し,ジャズ奏者にしてしまったくらいベッタリのジャズオタだった彼としては,この映画でゴールデングローブ監督賞を獲り,ハイソの仲間入りを果たせて本望だったんじゃないでしょうか。肝心の中身はほとんど覚えていませんが,本家にしては鶴瓶すぎ,妙にでかくて違和感を醸し出していたフォレスト・ウィテカーだけは印象に残りましたねえ。1955年に他界した御大が,その後出てきた本盤の面々と豪華共演しているはずもありません。パーカー役の影武者は誰かな?オリジナル音源のコンピかな?くらいしか関心もないまま買ったんですが,結果はといえば色々な意味で,こちとらの予想を派手に裏切るウルトラC!往時の音源からパーカーだけを抽出しておき,集めてきたジャズメンどもに伴奏させるという,スーパーサックスも真っ青の力業!伴奏を消しきれない元演奏は,上からサンプリングの歓声と拍手を無理矢理塗りたくってるぞ!今どきこんな詐欺をやらかすのはテレビのお笑い番組くらいのもんでしょう。酩酊気味の御大に,現代の伴奏陣がどうしてもタイミングを合わせられず,ナサケナイほどにずれていくCは,色々な意味で聴き手を哀し〜い世界へ放り込む負のオーラに満ちている。こうしてみるとジャズも立派に新興宗教だなあとしみじみ感動。端から見ると,偶像に群がる烏合の衆めいて滑稽かも知れませんねえ。もちろんこれを聴いて「時を超えた交歓!」と感動する人がいても,あっしはぜ〜んぜん否定しません。このアナクロ趣味に感情移入できるかで,聴き手を大きく選ぶ。これぞ「録音芸術」の粋でしょう。★★☆






脱稿:2007年12月23日 23:35:55

編集後記

皆に当日付けの月報を振る舞いたくて,
クリスマス・イブを目の前に
キリスト教でもないくせに
ひたすら時計を睨む自分。

・・ふと,我に返る。
−むなしい(笑)。
何をやっているのだ,俺は。






カンニング竹山「ネット利用実名公表義務」主張の是非 (11月04日 11時02分)
マニフェストを次々と提案し、現職議員やゲストを交えて討論するバラエティ番組『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』(日本テレビ系)で2日にカンニング竹山から提出されたマニフェスト「インターネット利用者に実名の公表を義務付けます」が話題となっている。

竹山の主張の趣旨は「ネットの匿名性が自殺サイトや犯罪請負サイト等の温床となっている」というもの。また誹謗や中傷の類も溢れており、この由々しき事態を打開するにはネット利用者は実名を公表すべし、と主張した。番組の主役である「太田光総理」は「権利を主張するには義務が伴う」などと竹山のマニュフェストに賛同。

また、ネットに書き込みをする3人が覆面をかぶって登場。彼らは「警察にマークされるような書き込みはしない」「“ゴミ芸人”とは書く」などと語り、そんな彼らに対して太田総理は「ここに出てきているのになぜ顔を隠す?」などと質問をした。

南海キャンディーズの山里亮太は、自身への批判の多い掲示板に山里を擁護する書き込みを“自作自演”。だが、書き込んだコメントに自分の実名が表示される携帯電話の設定にしていたため、恥ずかしくて仕方がなかったことなどを告白した。

スタジオでは「賛成」10で「反対」8となり、一般投票では11月4日8時現在で42%が「賛成」と答え、58%が「反対」と答えた。

ネットでは、「完っ全に賛成!!!!!!!です。だって、腐りすぎ、ネット。無法地帯過ぎ。犯罪、いじめ、いろんな悪の温床になってる」という賛成意見と、「個人情報の取り扱いが厳しさを増す昨今、ネット上で実名の公開など有り得ない」「家族に見られたりしたら、私の親には知られたくない部分とかも見られるのはちょっとイヤ」などの反対意見が見られる。

だが、この問題はスタジオでも投票でも議論が均衡したように、「実名にしたらネット犯罪減るし、変なコメントで荒らす人も減るし。多分。でも実名にしちゃったら、私の好きなサイトはほとんど閉鎖しちゃうよなー」と悩む人が多い問題でもある。

これに賛同した芸能人は即刻,
芸名を使うことを止めるべきではないでしょうか。





小麦相場史上最高値更新 世界的に需要ひっ迫
小麦相場が史上最高値を更新し、ついに一時1ブッシェル=10ドルを超えた。商品取引関係者は世界的な需給のひっ迫を懸念しており、国連は在庫縮小と価格高騰に苦しむ貧困国を助けるために緊急措置を講じるべきと呼びかけている。

AP通信によると、17日のシカゴ商品取引所(CBT)の小麦相場は、3月物が初めて一時10ドルの大台に乗せ(10.09ドル)、9.66ドルで引けた。1年前に比べると価格はほぼ2倍に高騰しており、ほかの穀物もトウモロコシが前年の約3ドルから 4.39ドルに上昇しているほか、大豆は過去30年間で最高に、乳製品やコメの価格も大幅に上がっている。

小麦相場高騰の理由としては、オーストラリアなど主要輸出国における悪天候、インドや中国などの発展途上国における急速な需要増加、米国の穀倉地帯でエタノール用のトウモロコシ栽培に充てる面積が増えていることなどが挙げられる。農務省(USDA)は米国の 07年度小麦在庫は60年来最低のレベルに落ち込むと予想しており、世界の穀物在庫も過去30年で最もひっ迫している。

食品小売り価格は今年、年率5.3%で上昇し、2006年の2.1%から大幅に加速、消費者も価格の高騰を感じている。米消費者は平均して所得の約10%を食費に充てているが、発展途上国など家計に占める食費の割合が高い国ほど価格上昇による打撃も大きく、このために暴動が起きている国もある。

国連食糧農業機関(FAO)によると、07年の食品価格指数は約40%と06年の9%から大幅に上昇している。FAOは、「最も打撃が深刻な国の農家やその家族は、何らかの支援がないと対応できない」と指摘し、発展途上国の農家により多くの穀物の種や肥料などを提供するよう、国際社会に呼びかけている。

最近,次々と食料品の値上げが続いてます。
石油やトウモロコシの高騰は燃料絡みでした。
牛乳の値上げもそうでしたね。

ローマ・クラブが予言した「成長の限界」は
四半世紀前でした。・・その序章でなければ良いですが。



今年の私は,色々と変化の大きい年でしたが
お陰様で,大きな成果を幾つか,手にすることができました。
しかしながらその余波で,月報の筆も滞りがちになり
読者の皆様には申し訳ないことを致しました。

来年は本業でさらに大きく舵を切る年となり,
趣味の領域でも,ひとつ大きな仕事が待っております。
月報もどこまで書けるかおぼつきませんが,
細く長くで,気負わず参りたいと思います。

いつもご愛読くださる皆様に,本年最後の感謝を。
皆様息災で,また新年にお逢いしましょう。




それではまた来年,
しぃゆうあげぃん。

ぷ〜れん敬白 

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