暗愚楽月報
The Underground Disc Review
第63号

給料出たらばCD買おう」
窮々苦しみ食費をけちり
キュウリのQちゃんで済ませていたら
栄養失調で救急車

Editer's Note

今月の金賞(D'OR)


★★★★★
Andrew Rathbun "Jade" (Fresh Sound : FSNT 076CD)
@jade: I Ajade: II Bjade: III Cjade: IV Djade: V Ejade: VI
Andrew Rathbun (sax) Luciana Souza (vo) Taylor Haskins (tp) Helen Richman (fl) Chris Komer (hrn) John Stetch (p) Ben Street (b) George Schuller (ds)
リーダーのアンドリュー・ラトブンはトロント出身。高校ではモントリオールの木管奏者フランク・ロレンツォを始め,ジェフ・ヤングやパット・ラバーバラに学び,一旦はクイーンズ大学へ進んで政治学を専攻しますが,程なく音楽への転向を決意。1992年に渡米してニュー・イングランド音楽院へ進み,修士号を獲得。その後はブルックリンへ居を構え,メーン大学講師の傍ら地味に演奏活動をしています。ボストンでお勉強したとなれば,お師匠様は申すまでもなくロヴァーノとガゾーン。吹き手としても前者に多くを負っている模様。恩師のフレージングとリッチ・ペリーのダルネスを上手く折衷した,柔らかな音色がエキゾチック。いっぽうでは同郷の大先輩ケニー・ホイーラーがアイドルとかで,達者な作編曲流儀に漂う微かなECMの清明さは,彼の作品を聴き込んで咀嚼したものでしょう。本盤は2000年に出たリーダー第二作。分厚い4管編成で,ご本人の周到な作編曲力が存分に生かされている。題材を中国に求めつつも,極東旋法へ安直に依拠する愚を避け,ブルーノート新主流派の最も美味しいところを使って輪郭取り。本人曰くハービーの『スピーク・ライク・ア・チャイルド』が範らしい新主流派趣味の凝ったアンサンブルに,ホイーラー経由の清明な転調技法が好ましく色を足し,実に周到。跳躍が多く難しい主旋律を,エキゾチックな佇まいを保って歌うルチアナ女史も,やや苦しげながらもリーダーの意図を巧く現前。ユージン・マスロフを助けたリズム隊にカナダの名手ジョン・ステッチがハービー気取りの好演で華を添える。意匠と演奏が高次元で和合。ヒドイ表装からは信じられないほどの好内容盤です。お薦めです。






Recommends


Maurice Ravel "Bolero / Pavane pour une Infante Défunte / Concerto pour la Main Gauche / Rapsodie Espagnole / La Valse" (Zig-Zag Territories : ZZT 060901)
Jos Van Immerseel (cond) Claire Chevallier (p) Anima Eterna
ピリオド楽器を使って往時の音色に極力近い音場を生みだし,正しい作品理解に迫ろうとするブリュッセルの求道者インマゼールさんは1945年生まれ。故郷の王立アントウェルペン音楽院でケネス・ギルバートにチェンバロ,ダニエル・ステルネフェルドに指揮法を師事したそうですが,オルガンの師匠はかのフロル・ペーテルスさんでした。多芸多才な人らしく,1972年に母校でチェンバロ科の教授になったほか,パリ音楽院やアムステルダム・スウェーリンク音楽院などでも教鞭を執り,その傍ら古楽アンサンブル《コレギウム・ムジクム》を創設して指揮者としても活動。古楽器によるルネサンス音楽演奏の世界ではかなりの有名人。フォルテピアノ奏者でもあり,それほど素敵とはいかないもののドビュッシーの前奏曲集を録音したりもしてました。本盤は,そんな彼が1987年に創設した古楽アンサンブル《アニマ・エテルナ》による2006年盤。珍しくもピリオド楽器でラヴェルを聴かせる学究的な趣向の録音です。どーせガチガチのオタな演奏だろと半分タカをくくって拝聴したところ,意外なほどの高品質盤でびっくり。流れるようなスラーと速めのテンポ取りでフォルムを作る,良い意味で楽団の性能に寄り掛かった指揮。一聴,素っ気ないようでいて,クリヴィヌを思わせるたおやかな強弱表現と,要所に最低限置かれたテンポ・ルバートで巧みに変化を付けていく。細部に宿る美の力で,全体の相貌を形作ろうとした演奏であろうと思います。ブルージェの在住オーケストラになっているだけにアンサンブルの力量も高く,古楽器のもつ慎ましやかな音色が,現代のオーケストラにはない鈍い光沢を放つ。趣向の珍奇さにのみ寄り掛かることなく,演奏の質も揃えた録音は滅多にありません。既にラヴェルに私的名盤をお持ちの方も,一聴する価値は充分にあるでしょう。★★★★★
Gabriel Pierné "La Musique de Chambre Vol.2" (Timpani : 2C1111)
Haoxing Liang (vln) Aleksandr Khramouchin, Vincent Gérin (vc) Kris Landsverk (vla) Catherine Beyon (hrp) Markus Brönnimann (fl) Christian Ivaldi (p) Quatuor de saxophones de Luxembourg

先にケクランとか録れるべき人はいるだろという気もする反面,二度とないであろう室内楽全集を,4枚組の大部で実現した男気には快哉を叫ぶしかないタンパニ。当然,貧しき購買者としては「取り敢えず一枚買うなら,どっち先?」が関心事になりましょう。ヒジョーに難しい選択です。何といってもあちらには,俗受けで有名な気がしないでもない『牧羊神』を除き,恐らく質的にも知名度から言ってもピエルネの代表作と呼んで差し支えない『ヴァイオリン・ソナタ』が入っている。もし貴殿がヴァイオリン奏者で,フランク永井な亜麻色髪のロマン派佳曲を探すなら,この時点でチェロがメインの第二巻は圧倒的に不利です。しかし,それ以外の皆様には,敢えてこの二枚目を先にお薦めしたい。その理由はまず,演奏。前半で出てくるチェロのクラムーシャンが上手い。『ヴァイオリン・ソナタ』のキャッチーさはない代わり,内省性においてはピエルネ畢生の名品ではないかと思われる単楽章の『チェロ・ソナタ』は,フォルベリの本命盤とも充分張り合える美演ですし,マルコの「?」な演奏しか記憶にない『三重奏』も冷たくしなやかな佇まい。『ヴァイオリン・ソナタ』もこちらにはフルート版で親切に採録され,翻案版で構わなければちゃんと聴けます(演奏は好演ながらもう一声)。もうひとつの理由は,なぜか本盤,大半を晩年の作が占めていること。二枚目に至っては,客寄せ色濃厚なハープ独奏の「即興曲」以外全て晩年。フランク門下の枠内で,やがてケクランにも似た透明な叙情性へと辿り着いたピエルネの,真摯敬虔なポスト・ロマンティストぶりを存分に味わえる。軽音楽的小品で名を馳せた彼も,最後には人知れず見事,作曲家になったんだ・・そんな,静かな感動が広がることでしょう。★★★★★
Claude Debussy "Préludes" (Talent : DOM 3810 04/05)
Daniele Callegari (cond) Royal Flemish Philharmonic
ガチガチのオリジナル信奉者ってわけぢゃないものの小生,基本的に編曲翻案にはあまり興味がございませんで。増してピアニスティック芸術の極致である『前奏曲集』の管弦楽配置なんて,どうせロクでもないだろうと本録音,買わずに過ぎておりました。それだけに,聴いてびっくり玉手箱とはまさしくこれ。ジャケットの表装に編曲ではなく《再作曲(Recomposition)》と自信満々,銘打つのも伊達ではありませんでした。この困難な事業を担当したのはリュック・ブレウェイズ(Luc Brewaeys)氏。1959年生まれの彼は,ブリュッセル音楽院でアンドレ・ラポルトに師事。一時はクセナキスとも交流したベルギーの現代音楽家です。ケクランかと見紛うほどの瞑想性を秘めた「雪の上の足跡」の緩奏部,『ラ・ヴァルス』も刮目する「西風の見たもの」の蠢動感,「沈める寺」を未知との遭遇に換えてしまう大胆なデフォルメは,編曲とは似て非なる創造的意志に溢れている。弦部を利して充分に音符を伸ばし,原曲のもつパーカッシブで異教徒的な音符の連なりとの齟齬をきたすことなく,極めて自然に管弦楽配置のレゾンデートルを主張。まさに再作曲の名に恥じない閃きです。編曲としても相当に完成度の高い部類に入るのではないでしょうか。演奏は2002年からカレガリさんを首席指揮者に迎え気を吐く王立フランドル管。レベルも高く言うことなし。翻案ものなんて所詮亜流だろ程度の認識しかないあっしふぜいも,本盤に関しては例外。お薦めいたします。良いです。★★★★★
Maurice Ravel "Alborada del Gracioso / Rhapsodie Espagnole / Daphnis et Chloé / La Valse / Pavane pour une Infante Défunte / Bolero" (World Wind Music : WWM 500.086)
Norbert Nozy (cond) Royal Symphonic Band of the Belgian Guides
ジョンゲンの吹奏交響曲を吹き込んでくれたアリガターイお方として鮮烈に脳へ刷り込まれたノジーさんと王室直属の吹奏楽団といえば,技量の高さもさることながら,艶やかなしなと抑揚が利き,ブラスバンドとは思えぬほど豊穣な響きで吹奏楽ファンを虜にしたもんでした。彼らの音源は大半がルネ・ガイーからリリース。ほんの数年前までは造作なく輸入盤店で買える,一種の定番ブランド品でした。ところが不幸にも,その版元が派手に倒産!煽りを食った彼らの録音は,大半が入手至難になってしまいました。それでも,世界屈指の技量を誇るバンドだけに惜しいと思った関係者も多かったんでしょう。数年もしないうちに,あちこちから雨後の筍の如く復刻盤が世に出てきました。2003年に出た本盤もその良い例で,もとは1998年に吹き込まれたルネ・ガイー盤を再発したものです(René Gailly: CD 87146)。いわば編曲ものなわけですが,聴いてみると,注意せずには聴き過ごしてしまうほど巧みに翻案されていてびっくり。それも,21世紀人による《呼吸の合わない》お手軽編曲ではなく,同時代人の(中にはラヴェルから誉め言葉まで頂戴した)由緒ある譜面を探し出した丁寧な仕事ぶりのなせるわざでしょう。豊かで精緻な和声感覚を誇るラヴェルの管弦楽作品だけに,ギド吹奏響の艶気たっぷりのリッチな鳴管も良く合っている。「道化師」や「ダフクロ第二組曲」の掉尾などに出てくる,舌の攣りそうな同音反復を,ここまで綺麗に吹き抜けるとは。聴くだに,アリガターイ気分になって参ります。管弦楽の劣化コピーに留まらず,音としても遜色ない。ラヴェル好きの方なら,買って損はしない名録音なのでは。お薦めです。★★★★☆
Magnus Lindberg "Clarinet Concerto / Gran Duo / Chorale" (Ondine : ODE 1038-2)
Kari Kriikku (cl) Sakari Oramo (cond) Finnish Radio Symphony Orchestra
作曲者は1958年ヘルシンキ生まれ。シベリウス音楽アカデミーでラウタヴァーラとヘイニネンに師事したのち,1981年にパリへ留学し,ヴィンコ・グロボカールとジェラール・グリゼイにも学んで頭角を表しました。サロネンやサーリアホとともに師匠の薫陶をモロに受け,《耳を開け!》なる,相当にヤバそ〜な同人会を組織。当初はかなり実験的な音楽を書いていたらしいのですが,やがて新古典的な傾向に回帰して穏健になった模様です。2005年発表の本盤は,いずれもその後の作。彼的には最も分かりやすい管弦楽曲が三品併録されています。フィンランド人らしく,彼のリズムにはより原始主義的なゴツゴツ感があり,旋律も激情的。ただ,それを除けば和声にはフロレンツ的な煌びやかさや晦渋なときのケクラン的な繊細さがあり,なかなかにカラフル。近いところを探すなら,同郷の無調作家(ノルドグレンとかの)目線から,やや穏やかになった晩年のオアナを見つめ直したような書法ですか。聴き手はかなり選びますけれど,デュティーユやオアナを聴いてマゾってる貴方なら大丈夫でしょう。本盤のもうひとつの魅力は優れた演奏と録音。1960年生まれのソリストは作曲者の音大時代の後輩。彼の作品を多く初演している盟友で,『クラリネット協奏曲』の被献呈者だそうな。のちイギリスに留学しアラン・ハッカーにも師事しました。現代音楽畑で活動しているせいか知名度は芳しくないですが,特殊奏法をてんこ盛りにした難しそうな譜面を,軽やかかつ円やかな音色で吹ききる技量に感嘆します。後ろの管弦楽陣も良く統率が取れていてお見事です。★★★★☆
Gabriel Pierné "La Musique de Chambre Vol.1" (Timpani : 2C1110)
Philippe Koch (vln) Aleksandr Khramouchin, Vincent Gérin (vc) Ilan Schneider (vla) Thierry Gavard (b) Étienne Plasman, Markus Brönnimann (fl) Philippe Gonzales (ob) Olivier Dartevelle, Jean-Philippe Vivier (cl) David Sattler, François Baptiste (bssn) Miklos Nagy (hrn) Adam Rixer (tp) Gilles Héritier (tb) Julia Knowles (p, hmn) Christian Ivaldi (p) Rémy Frank (recit) Quatuor Louvigny
ロパルツを山と録音し,デュポンに光を当て,着実に仏近代の穴を潰していくタンパニ。今度は何とピエルネの室内楽を二巻4枚に全集化。まさか,世間的には軽い扱いのピエルネを,ここまでまとまった形にしてくれるとは。弦人口の多い日本ですから,これで彼の評価も随分変わるのではないでしょうか。本盤はその第一巻にあたり,前半はヴァイオリンを中心に弦楽器のための楽曲集,後半は各種管楽器のための小品が集められている。有名曲を除き,私も初めて聴くものが多数です。さすがに高名な『ソナタ』の出来は傑出していますが,それ以外にもきらりと光る小粋な佳品が幾つか散らばっており,ウハウハしきり。「パリ社交界気質のサロン音楽を書く指揮者」イメージの陰に隠蔽されてきた姿を,正しく俯瞰できる。少しだけ惜しいところがあるとすれば,ごく僅か演奏陣に頼りなさが漂うこと。大半の曲でフロントを飾るのはルービニュイ四重奏団と,その第一ヴァイオリンのフィリップ・コシュさん。フレムも入れてくれた彼に文句言っちゃあいけないんですけど,ごく僅か各フレーズの入り抜けが毛羽立ち,ごく僅かフラット気味のためか,音色に僅かなくすみが入るのが勿体ない。四重奏団も大手のそれに比べると,少しピッチ不安定かも知れません。尤も,美演と呼んでも差し支えない水準でのことですから,贅沢なんでしょう。金賞をあげたディアパゾン誌の気持ち,あっしにゃ良〜く分かります。ここまでまとまって聴ける機会が二度と無いことだけは間違いない。ドビュッシー前夜のロマンティシズムを愉しみたい方は,資料としても充分お求めになる価値がございましょう。★★★★☆
Florent Schmitt "Psaume XLVII / Suite sans Esprit de Suite / La Tragédie de Salomé" (Hyperion : CDA67599)
Thierry Fischer (cond) Christine Buffle (sop) The BBC National Orchestra and Chorus of Wales
シュミット没後50年はまだ一年先なのに,思わずフライングしたとしか思えない本録音。指揮者もオケもフランスとは全然接点がないウェールズ地方から,かくも本格的なシュミット作品集が出てくるとは,お釈迦様でもご存じなかったことでありましょう。競合盤多数の組曲版『サロメの悲劇』は,決定版だったパレーよりも流線型で,フォルム現代的。少し淡泊というか拙速なきらいもありますし,ちょっとアーティキュレーションの揃いきらないところがあるかも知れない。ホルストの惑星に同じモチーフが出てくる「前奏曲」は,もう少し芳醇さが欲しいなとの不満もあります。それでも,さすがウェールズ響の技量はマルコ盤とは比べもんにならず,入手難易度や作品集であることの有り難みを加味すれば,充分お薦めできるものにはなっておりましょう。それだけに惜しいのは,マルティノン独り勝ちの感がある『詩篇47』ですか。オケは性能がよろしいのに,何で同じ所属の合唱隊がこうも不揃いの林檎君なんですかねえ。どこの批評誌からも格付けシールもらえなかったみたいですけど,原因の大半がお粗末な合唱隊にあるのは間違いありますまい。そんなイマイチ君になぜ四ツ星半?ってアンタ,訊くだけ野暮ってもんよ。まともな演奏で聴いた試しのない珍曲『関連性のない組曲』が国家オケ水準の美演で聴け,おまけにシュミットならではの極彩色+異教徒変拍子満載でむちゃんこオイシイからに決まってるぢゃないですか。『協奏的交響曲』ほどのハイテンションではありませんけれど,彼の持つ優美な管弦楽法の粋が詰まった佳品。これを聴けただけで買った甲斐は十二分にありましたねえ。★★★★☆
Andrzej Panufnik "Sinfonia Sacra / Sinfonia Rustica / Sinfonia Concertante" (EMI : 0946 3 52289 2 2)
Andrzej Panufnik (cond) Aurèle Nicolet (fl) Osian Ellis (hrp) Menuhin Festival Orchestra : Monte Carlo Opera Orchestra
作曲者は1914年ワルシャワ生まれ。ワルシャワ音楽院へ進んだのち,1937年にドイツへ留学してワインガルトナーに指揮法を学び,キャリアの出発点はクラコウ管の指揮者。のちワルシャワ・フィルの音楽監督となり,ベルリン・フィルやロンドン管の客演指揮者として活躍しました。ほどなく1947年にシマノフスキ作曲賞,1949年にショパン作曲賞を受賞するなど作曲家としても評価された彼は,共産主義を嫌って1953年に渡英。王立アカデミー名誉会員のほか,1991年にはナイト称号までもらい,後半生は事実上英国人として生きることになりました(それで本盤の表装には「イギリスの作曲家」などと書かれているのでしょう)。東欧圏の作曲家に特有の資質なのかも知れませんが,この人も和声を軋ませるのが巧い作曲家だなあという印象。『春の祭典』から,やたら躍動的なリズムだけを除去して簡素化。操り人形の踊りにも似たぎこちない律動の反復に乗り,金管の倍音効果を駆使した軋み和声を執拗に繰り出して,古い戦記映画の如く悲壮感含みの勇壮さを滲ませます。鬱々した人当たりの悪さは,フランスならオネゲルの交響曲辺りにも似ている。しかし,東欧圏だけに彼のそれはずっと土臭く,共産圏特有の冷たく重い響きが特徴的。頑迷で洒落の利かない音と思えば,全てが不調法なんでしょうけれど,『田舎風』の第三楽章冒頭の威厳に満ちた叙情性は,フランスものにはまず聴くことのない重々しい趣があり,なかなかどうして悪くないです。ストラヴィンスキーが大丈夫な方なら,さほど違和感ないんじゃないでしょうか。四半世紀以上前の録音だけに,現代のものほどこなれてはいないものの,演奏も良質です。★★★★
"Messe en l'Honneur du Saint-Sacrement / Deus Abraham / Pie Jesu / Quid sum Miser? (Jongen) Missa Festiva (Peeters)" (Hyperion : CDA67603)
David Hill (dir) Paul Provost (org) Thomas Gould (vln) The Choir of St.John's College, Cambridge : London City Brass
さすがにジョンゲン・クラスこそ選択肢が豊かになってきたものの,宗教作品までは手が回らず,ベルギー近代の作曲家は今も大半が未発掘状態のまま。そんな状況を見かねてか,英国企業のハイペリオンが出張サービス。重鎮二名の宗教作品を録音しました。特にジョンゲンの宗教曲はまとまって録音される機会が滅多にありませんので,大変貴重。飛びついたのは申すまでもございません。温故知新の王道を行ったジョンゲンと,彼に被れる余りオルガン協奏曲を書いたペーテルス。曲が悪かろうはずもなく,残る問題は演奏のレベルに尽きましょう。合唱はセント・ジョンズ・コレッジ聖歌隊が担当。天下のハイペリオンだけに良く確認せず買ったものの,良く良く考えるとセント・ジョンズ聖歌隊って,ナクソスから出たフィンジの合唱曲集を吹き込んだところでしたねえ。ちなみにそれを耳に入れたときの印象は「大学サークルの合唱団レベルに留まっており,プロとして録音するにはキメが粗すぎる」でした。ヒドイッ(苦笑)!ハイペリオン効果で機材も御高級になったのか,その後頑張って練習したのか,少しは水準もましになっているものの,不揃いの林檎ぶりは隠しようもなく,せっかくの企画にやや水を差したのは残念でした。パヴァーヌ盤でしかジョンゲンを知らず,しかも名曲だと思っている人か,クララ盤でしかペーテルスを知らず,しかも名曲だと思っている人,申し訳程度に併録されたジョンゲンの宗教小品を聴きたい人(=わたし)以外は,敢えて血眼になるほどのもんではないかも知れないですねえ。★★★★
Lex Van Delden "Quartetto, op.58 / Sestetto, op.97 / Duo, op.27 / Introduzione e Danza, op.26 / Nonetto per Amsterdam, op.101" (MDG : 603 1317-2)
Viotta Ensemble
作曲者は1919年アムステルダム出身。母からピアノを学んだのち11才から作曲を始め,殆ど正規の教育は受けぬままプロになりました。1938年にアムステルダム大学へ進んだ際も,専攻は薬学。学業の傍ら,1940年にはプロの作曲家として処女作を発表しています。皮肉にも同じ年にナチがオランダへ侵攻。彼は2年後には学業の断念を余儀なくされますが,その後はレジスタンス活動に身を投じて終戦に。本名アレクサンダー・ズワープが,レックス・ヴァン・デルデンへと改名したのも,このレジスタンス活動の故でした。1948年に市音楽賞を与えた故郷を除き,最初に彼を評価したのが彼岸の北カリフォルニア・ハーピスト協会で,彼らが主催する作曲コンクールにおける二度の優勝だったのは,多分に政治的な意図含みだったのかも知れません。時代の割に,彼の書法は穏健。輪郭そのものはロマン派風でありながら,同じユダヤ系のシュールホフやウルマンらに通じる不穏な旋法表現とグロテスクな転調技法を挿入。そのグロテスクな黒雲が骨格となる宮廷情緒に不穏な影を落として彼らしさを演出します。響きはオネゲリスティックな陰鬱さが抜けませんし,フランス的な流麗さからも距離を置いていますけど,調性感はちゃんとあり,『弦楽六重奏曲』などは陰気な前期ロマン派様式と近代の和声が好ましく和合。なかなか面白く聴けました。演奏するヴィオッタ・アンサンブルは1992年に,コンセルトヘボウ管の団員が集まって創設。とろけそうに透明度高い弦部がトレードマークのコンセルトヘボウ団員さんにしては,やや風合いのざらりとした印象は拭えないものの,そこそこのレベルはキープ。この無名作家の音楽的キャラクターをざっと俯瞰するには充分なのでは。★★★★
Gustav Holst "The Planets" (Chandos : CHAN 6633)
Alexander Gibson (cond) Royal Scottish National Orchestra and Women's Chrous
1995年に惜しくも世を去ったギブソンさんは1926年スコットランドのマザーウェル生まれ。王立スコットランド音楽アカデミーを出たのち,1957年に史上最年少でサドラーズ・ウェルズ国立歌劇場の音楽監督になり,2年後には本盤でも共演しているスコット国立管の首席指揮者へ就任。1984年までの長期に渡って同オケを引っ張りました。スコットランド歌劇場の創設にも貢献し,最初の音楽監督もやるなど貢献著しかったのを買われ,1977年にはナイト称号。1979年にグラスゴーで吹き込まれた本盤は晩年の録音ということになります。わざわざ再発するんだからさぞエエんじゃろと愉しみに購入したんですが・・。正直申し上げて「そげん良え指揮者ですかねえ?」と疑問符しか残りませんで。四半世紀前の録音を割り引いたとしても,管部と弦部の入り抜けがいまひとつ揃っていませんし,特に管部が走りすぎといいますか,溜め不足。おまけにその管部を妙にでっかく録っちゃってるもんですから,しじゅう演奏が硬く前のめりになっちゃいまして。日ごろ運動不足のメタボリックなお父様がたが,子どもの前でエエかっこしようと,ろくろく準備運動もせず運動会の徒競走に出ては,ぶざまに足をもつれさせてすっ転んでる姿。ちょうどあんな感じの演奏になっちゃってます。それでも,天下のスコットランドの威信を懸けた国立響。技量は当時としては高いですし,走らなくても良い緩楽章ではさすが熟達の技。弦の低奏部を豊かに鳴らす「火星」の重厚な雰囲気作りに関してはなかなかどうして,見事なものです。惑星オタ以外の大多数の健全なファンが敢えて買うほどのもんじゃあないでしょうけれど,安く見かけたら拾ってあげるのも一興なのでは。★★★☆



Other Discs

"Clarinet Quintet in G Major (Somervell) Clarinet Quintet in G Minor (Jacob)" (Helios : CDH55110)
Thea King (cl) The Aeolian Quintet
教育者として英近代の礎を築いたスタンフォード。長い教歴には,有名人も居れば無名人もいたわけで,本盤はかなり後者の部類に属する2名が書いたクラリネット五重奏2品を併録したものです。ヘリオスはハイペリオンの廉価版専科。1979年という時代に,こんなものを吹き込んでいたなんて,伊達に英国円盤業者の頂点を極めてはいませんなと感服させられた次第です。ソマーヴィルは1863年ウィンデルメール生まれ。ケンブリッジでスタンフォード,王立音大でパリーに師事し,1894年から同校教員。1901年からは教育審議会の視学官を務め,専ら教育畑でのみ名を残した人物。かたやジャコブは王立音大で1924年から1966年に引退するまで教鞭を執り,マルコム・アーノルドやイモジェン・ホルストらを育成。いずれも現代音楽まっしぐらの時代に背を向け,お堅い保守派の役割を堅持しました。本盤の採録曲も,前者は1913年,後者は1942年の作。にもかかわらずの調性指示が物語るとおり,書法はのんびりした前期ロマン派流儀。あくまでメインはブラームスやメンデルスゾーンの美意識です。特に前者は古めかしく,生真面目さ故に突き抜けないといえばそうなんでしょうが,音楽に前と後ろがなくなった現代は,人より後ろだったことで埋もれたこういう作品を冷静に評価できるという点では,いい時代なのでは。さすがに第二次大戦時に書かれたジャコブの第三楽章なんかは,モーラン風の異教徒趣味も加わり,近代ファンでも充分面白く聴ける。一定の美味しさは担保されておりましょう。ソロを取るキング女史は当時ギルドホール音大教授。ふんわり柔らかい音色の美演を展開し頬緩む。それだけに惜しいのは後ろの4人ですか。ジャケットそのまま長閑な田舎情緒で悪くない反面,特に第一ヴァイオリンのピッチがユルく,メンデルスゾーンさながらそれが目立つソマーヴェルの五重奏曲で垢抜けしない風情を醸し出してしまったのは惜しいですねえ。★★★☆








Recommends


Jeff Gardner & Gary Peacock "Alchemy" (Jeff Gardner-Universal : 983 765-6)
@alchemy Acoisa do Rio Bstories untold Cline for Tommy Flanagan Dwaiting for you Eangel Ffor Duke and Strayhorn Gcity at the bottom of the sea Hbetween our hearts Izero gravity Jdancarina KMaastricht LSelva
Jeff Gardner (piano) Gary Peacock (bass)
2002年からはブラジルに拠点を移し,音楽的にもブラジル被れの度合いが強くなったジェフ・ガードナーさん。エヴァンシストの高雅な叙情とボッサ経由の洒落た和声が和合したところに,この人の持ち味の多くがあるのはご承知の通り。演奏面でも三連符を並べたキラキラ奏法に特徴があり,モタリの利いたすっちゃか乗りを好むスインガーではありません。作曲センスも良い人なので,ブラジルに傾倒しようと良いには違いないんですけど,サイドメンから標題までブラジルまみれになった昨今の録音は,結果として彼のピアノから隙間を奪い,演奏をやや一本調子で陰影の乏しいものにしてしまっているのも確か。違和感を感じずにはおれません。本盤は1990年,まだ無名のガードナーが,御大ゲイリー・ピーコックを迎えて自主制作した二重奏。ラテン音楽への傾倒は味付け程度に留まっており,驚くほどエヴァンス的。一聴たちまち脳内にデニー・ザイトリンの名前が去来するのは私だけではないでしょう。ザイトリンは本盤に先立つこと7年,チャーリー・ヘイデンを迎えてECMに『タイム・リメンバード・・』を録音。掉尾に採録したルイス・エサの「ドルフィン」が,出来不出来を超えたところで年若いガードナーの心を捉えたであろうことは想像に難くありません。実際,ここでのガードナーはまんま,ザイトリン流儀。17年前に録音した自主制作のデュオ録音がこのタイミングで再発され,その再発に奔走したのがユニバーサル・フランス支社のダニエル・リシャールさん(お師匠さんと同郷)だったというのは,ある意味とっても意味深なのではないでしょうか。自腹を切った企画とはいえ,録音はクリントン・スタジオでジム・アンダーソンが担当。演奏ともども,彼の前半生を代表するに足る良質なデュオ作です。★★★★☆
Ivan Lins "Novo Tempo" (Odeon-EMI : TOCP-66066)
@arlequim desconhecido Abilhete Bsertaneja Cbarco fantasma Dsetembro Enovo tempo Fcoragem, mulher Gfeiticeira Hvirá Icoração vagabundo
Ivan Lins (vo, g, p) Gilson Peranzzetta (arr, key, acdn) Vitor Martins (lyrics) et al.
ぶっちぎりの大家ジョビンを除けば,ブラジルでも屈指の知名度を誇るイヴァン・リンス。1945年に生まれた彼は,12歳で士官学校へ進み,吹奏楽部で音楽と出会って人生大転換。独学でピアノを修得し,ボサノヴァを嗜むようになった彼は,工学を学ぶ傍ら作曲活動を開始。1969年にリオデジャネイロ連邦大学で工業化学の学位を得るいっぽう,エリス・レジーナに自作曲を提供して,最初の成功を手にします。翌1970年に第5回国際歌謡フェスティバル(FIC)で準優勝。1974年には『モード・リーヴリ』のヒットで人気を獲得しました。1980年代には,クインシー・ジョーンズから認められた「ヴェラス」で国際的にも名前が売れ,その後は米国に軸足を移して活躍なさっておいでです。本盤は1980年発表。まだ有名人ではなかった当時のものながら,アレンジ担当のジルソン,作詞のヴィトールと,世に言う黄金トリオの分業体制を確立していた時期の産物です。この時期の作品はどれをとっても捨て曲皆無。本盤も例外ではなく,とにかく異常に出来が良い。スティービーですらここまで続けて名作ってことは無かった。ジャズとボサノヴァを良いとこ取りした最良のポップス・・と聞いて触手が動く方に,これを聴いて「駄作」などと口走る人間が存在するでしょうか。天才とは,まさしくこういう人を言うのでしょう。残念なのは,演奏の陣容が良くわからんことだけですか。黄金トリオの産物ってことで,彼ら以外のことはどうでも良かったのかも知れませんが,ちょっと不親切。早々廃盤にするEMI商法も健在で,あっしも『或る夜』を買い逃しちゃったようぇ〜ん。★★★★☆
"Introducing the Thinh Nguyen Quartet" (TCB : 24702)
@codes: from the underground ABrooklyn BFaraos' wrath Cthe preacher Ddowntown chaos Ethen she looked... Furban lights Gcodes, pt.2 Hcodes, pt.3 Ilove is a strange affair
Thinh Nguyen (p) Till Grünewald (sax) Tevfik Kuyas (b) Raphael Ruimy (ds)
リーダーのシン・ニューエンは,ベルンを拠点に活動するベトナム系。詳しい経歴は不明なままですが,お師匠さんはかのアントニオ・ファラオだそうで,2002年に出場したモントルー・ジャズ祭では,クライスラー賞を受賞しています。彼のスタイルは伝承派以降の黒の奔流を巧みに消化したモード・ピアノ。ダークな色調とどろついた呪術性をとりいれつつ,ゴリゴリと凄むスタイルは,ケニー・カークランドに源を発し,なるほどケニーが「俺の流れを継ぐ男」と評したファラオ御大の流れを汲むものです。実際曲名を見れば彼のルーツは一目瞭然。@に「ブラック」を足せば,1980年代の伝承派の音を方向付けたウイントン・マルサリスの輝かしい秀作が出てきますし,Bには,彼にとってのファラオがお師匠様だとの意図も含まれておりましょう。さすがに先輩お二人と比べれば技術的には小粒ですから,ところどころ想いに運指技巧が及ばなかったり,少しばかりこぢんまりとしちゃったりもするんですけど,そこは聴き手への至誠と熱意でカバー。きびきびと撥ねる変拍子と適度にメカニックなオフビートでテコ入れしつつ,シンプルながら丁寧に準備された自作曲はどれも良く書けており,小粒ながらまとまりの良いアンサンブルも好印象。その後,2007年の現在まで目立った活躍はないようですけど,ちょっと勿体ないですかねえ。サイドメンで使うなら,充分美味しいんじゃないかと思うんですけど?★★★★☆
Eric Byrd Trio "Eric Byrd Trio" (Foxhaven : FX-70012)
@taken by force Aanother time, another place Bfall of light Cgoldie Dunder a blanket of blue Emaybe baby Fthe chant Gwhen you're smiling Ha WMC autumn Ijazz thing Jepilogue: blessed assurance
Eric Byrd (p) Bhagwan Khalsa (b) Alphonso Young Jr. (ds)
初耳のリーダーは1970年ジャージー・シティ生まれ。ウィリングボロ高校を経て西メリーランド大学(現マクダニエル大学)へ進み,1993年に卒業。翌年から同校で教鞭を執りながら2001年に修士号を得ました。同じ2001年にケネディ・センターからジャズ親善大使に任命され,南米ツアーを敢行。それが評価され,2002年には卒業生名誉賞を受賞しているほか,クリエイティブ教員賞なる学科賞を二度もらうなど,地元では名誉高々な模様です。演奏家としては,1990年からボルチモアのテナー吹きハワード・バーンズのコンボでサイドメンを務める傍ら,ウイントン・マルサリスやケニー・バレルとも共演を果たしました。2007年の時点で発表したアルバムは三枚あり,本盤は2002年に出た第二作。日頃脇を固めるテナーマンのロン・カーンズが,ご祝儀代わりにプロデュースを担当しているのが微笑ましく,また演奏家に信頼されている様子が窺えましょう。リーダーのピアノは,最近滅多に聴かないブルースやゴスペルに根ざしたグルーヴィな黒人ピアノ。時にラテン色の濃いオリジナルに乗って飾り気なくパリパリっと気っ風良く転がる労務者気質のピアニズムです。ボビー・ティモンズとラムゼイ・ルイスの間に垂直二等分線を引き,手数を増やしつつ少しモードの薬味を添えたような面持ちと言えば良いでしょうか。黒くゴツゴツと男っぽいスタイルでいて,あからさまにどす黒くはなく,からっと軽快に乗っていく分かりやすさは好ましいの一語。ローカルな面々の限界か,やや二枚目半で垢抜けしない技術面のアラも許せてしまう。楽曲はシンプルながらみな良く準備されており,ローカルなピアノ・トリオとしては相当に上出来。見かけたら摘んでも損はしますまい。★★★★☆
Dave Peck "Good Road" (Let's Play Stella : LPS 2005-01)
@yesterdays Alow key lightly Bgreen dolphin street Cthe first song of spring Djust in time Ethe star crossed lovers Fwhat is this thing called love Gshe was too good to me
Dave Peck (p) Jeff Johnson (b) Joe La Barbera (ds)
コーニッシュ音大で教鞭を執りながら,悠々自適の創作活動を続けてきたデイヴ・ペックさん。デビュー盤から地元誌【イヤーショット】の最優秀録音部門では常連と化しており,シアトルには敵が居ない状況が続いている模様。とうとうフリーランスでご飯を食べる決心をなさり,音大准教授の職も捨ててしまいました。本盤は2005年に出た第4作。2000年発表の『スリー・イン・ワン』に続いて自身二度目のゴールデン・イヤー(黄金の耳)賞を受賞しました。線の細さが先に立って,やや失敗した感も拭えなかったライブ録音の前作。案の定,彼は同盤で初めて無冠に終わります。反省もあったのでしょう。今回はか細い腕を無理に振り回して音を張り上げる必要のないスタジオへと立ち戻り,アップ・テンポで技量不足を露呈する愚も避けました。こうなると,彼の打鍵は充分に円みを帯びることができますし,線の細さも充分,繊細さとなって輝きを取り戻します。コロコロと心地良く転がる右手の単旋律と,控えめに宛てられるエヴァンス・ライクなコードの快いコンビネーションが戻ってきました。ベースが拍を伸ばすタイプに替わり,少し縦の振幅が弱くなったせいでしょう。左手による無意識の宛てが多くなり,気にならないといえば嘘になります。それでも,彼本来の持ち味はすっきりと甦り,ほっと一息。C以外は全てスタンダード曲で固め,マイペースで商売っ気希薄なのも相変わらず。こういう,自分の身の丈を弁えた《スモール・イズ・ビューティフル》のスタイルこそ,彼の真骨頂。この人にこれ以上を求めてはいけませんし,むしろそれは愚の骨頂でしかないでしょう。★★★★☆
Jeff Gardner Trio "Abraços" (Terramar : TMAR-0027)
@chameguenta Aum abraço na mantiqueira Bum abraço no Hermeto Co caminho dos olhos I Dum abraço no Guinga Ebarca das estrelas Fdonateando Gum abraço no zimbo Half tones Io caminho dos olhos II Jmisteriosa
Jeff Gardner (p) Carlos Balla (b) Alberto Continentino (ds)
『プレイズ・ポール・オースター』があまりに素敵なアルバムだったもので,外れても外れてもつい買ってしまうガードナーさん。パリ音楽院卒の毛並みも頷ける,自作曲の才能には惚れ惚れ致します。ドビュッシーとジョビンは「平行和音使いで親和性が高いよ」だからなのか,叙情派の顔と同じくらい前からラテン・ジャズにも傾倒。垢抜けのしない現地ジャズメンを従え,眉間にビミョーな皺が寄りそうな作品を次々発表するようになりました。かつてボサノヴァを生んだとはいえ,ジャズ的には残念ながら縁辺部といわざるを得ないお国柄。最初期の成果となった『スカイ・ダンス』は,特にリード奏者の貧相さにおいて目に余るものがあり,バタバタしたリズム隊も彼の繊細なデリカシーをぶち壊し気味で残念に思ったものです。本盤はそれから8年を経た,懲りないブラジル録音盤。耳馴染みのないご当地人を迎えたトリオ編成で,得意の三連符奏法をてんこ盛りにしたラテン・ジャズが愉しめます。さすが前年,『・・オースター』を吹き込んだ時期の録音。自作曲の出来に関しては文句なしのハイレベル。貧相さを助長する現地のフロントを加えなかったのも奏功しており,まとまりの良さは過去の自作の大半を楽々と上回っているのでは。ところがですねえ・・思慕の念とは裏腹に,彼のピアニズムがラテン・ビートとまるで合わないんですよ。得意の三連符を多用したキラキラ・ピアノは,規則的で縦の振幅のないボッサ乗りのうえではまな板の鯉。隙間の乏しいリズムのお陰で陰影を失い空フレーズ気味となり,音符の摩滅も相俟って手癖頼みの器用貧乏に響いてしまう。なまじ楽曲が良いだけに,隔靴掻痒この上ない。せめてNYの腕利きが伴奏だったら,もう少し隙間を空けて,彼に打鍵を丸く弾く余裕をあげられたんでしょうが・・。実に勿体ない。★★★★
Klaus Ignatzek Group "Day for Night" (Nabel : 4639)
@day for night Athree wishes Bnew surprise Cbeautiful colours Dblue energy Eballad for Ulli FMonks visit
Klaus Ignatzek (p) Joe Henderson (ts) Jean Louis Rassinfosse (b) Joris Dudli (ds)
ひと頃話題を呼びながら,最近あまり名前を聞かなくなった気のするドイツのバップ好きイグナツェクは,1954年ウィルヘルムシャーベン生まれ。バップのイメージが強いのですが,実はオルデンベルク大を出たのち,チャック・マローニクに弟子入り。さらに,一時はザルツブルクのモーツァルテウム音楽院でハービーの指導を受けた経歴も。本録音ののち,ベースのマーティン・ウインドと作った二重奏盤では,びっくりするほどリリカルなピアノを披露していました。決して技巧派ではないもののオールラウンドに一通りこなせる駆逐艦的な佇まいは,この辺りに所以があるんでしょう。1989年録音の本盤は,彼岸からジョーヘンを迎え,EU勢で助演する趣向。なぜにジョーヘンが?のわけは,御大が10日間に渡ってドイツでおこなった演奏旅行。全曲を自作したイグナツェク側が手配師となり,記念撮影的な意味合いでの録音だったようです。のちクリス・クロスで一旗揚げるベールマンさんが録音を担当。すでにこの頃からバップ好きが互いの引力で集まってきているのは面白いというか何というか。御大を囲み,暖かな雰囲気で録られたのが奏功。ときにあちこち色目を使うリーダーも,これまでになく素直な爛熟期バップ・イディオムに徹しており好ましいです。相変わらず頑固に使うラサンフォッセのぺろぺろベースは,やっぱり硬い乗りのリーダーとは合わない気がしますし,オリヴァー・ケントで開花する太鼓も少し細部のニュアンスが粗いか。腰砕け気味の演奏は,うねるようにしなやかなジョーヘンの主旋律を充分支えきれないもどかしさも漂う。リズム隊がもう少ししっかりしていれば,格段に良い出来だったんですが・・。それでも,過去に聴いた彼のリーダー盤のなかでは,恐らく一番良くまとまった好盤ではないかと思います。★★★★
Jef Neve Trio "Nobody is Illegal" (Universal : 06025 1716747 6)
@airplane Anothing but a casablanca turtle slideshow dinner Babschied Castra Dnobody is illegal Eunprepared Fsecond love Ggoldfish Htogether at last Iuntil now Jdelayed
Jef Neve (p) Piet Verbist (b) Teun Verbruggen (ds) Hans Verhilst, Simon Haspeslag (hrn) Fredrik Heiman, Pieter Kindt (tb) Berlinde Deman (tba) Nicolas Kummert (ts)
1977年生まれのリーダーは,レーメンス音楽院でメルドー君の薫陶を得たベルギー人。2000年の卒業後,クム・ラウデなる室内楽アンサンブルを率いて活動するなどクラシックにも力を入れ,両刀使いで活動中です。第二作『イッツ・ゴーン』は母国のジャズ・チャートで一位になるなど,国内ではかなり受けがよいようで,それが評価されたのか2006年度のフランドル歌唱・音楽家協会(ZAMU)賞のジャズ部門を受賞しました。本盤はユニバーサルへ移籍して作ったリーダー第三作。金管5本を加えた小器楽アンサンブルが3曲,アレクシ・トゥオマリラ四重奏団でハードボイルドな音色を出していたニコラス・クンメルトを迎えてのカルテット演奏が3曲加わり,トリオ演奏は残る5曲です。トリオではスヴェンソン・トリオやバッド・プラスらと同様,エフェクターを通して今風を気取りますが,冒頭モロに変拍子と両手弾きによるメルドー被れの@から,泣く子も黙る大スタンダードをメルドーのアレンジで頂くHに至るまで,核となるのは敬愛するお師匠様のピアニズム。愚直な思慕の念が,ジャズ演奏家としての彼の一里塚なのでしょう。管が分厚くオブリガードを付けるその後の数曲は,良くも悪くもクラシックとの両刀で活動するリーダーのキャラクターが色濃く出た反面やや統一感を損なう結果にもなっており,師匠の芸風をそのままなぞった意匠は,おのが多芸をまとめ切れぬ師匠のお悩みまで踏襲している。ご愛敬といえばご愛敬。借り物のジレンマをどう発展的に解消するのかが,次作以降の聴きどころ・・ということになるのでしょう。★★★★
Christoph Stiefel "7 Meilen Stiefel" (Neu Klang : NCD4009)
@seeking solid ground Adistant beauty B7 meilen stiefel Cstill Dcontinuum Eojémineh FNina Gthe girl from Ipanema Hthe boy from Ipanema Icaravan Jhome
Christoph Stiefel (p) Patrice Moret (b) Marcel Papaux (ts)
1961年チューリヒ生まれのスティーフェルは,10年前に出たソロ第二作『スウィート・パラドックス』で,鮮烈な印象を残したティエリー・ラング肌のピアノ弾き。北欧をやや甘口にしたような和声感覚と,非凡な作曲力を併せ持つピアニズムで,一時はそれなりに話題を呼んだものでした。チャカポコ名人アースキンが見事なばち捌きでネジを緩めていたため,顕在化せずに済んでいましたが,彼は結構,音楽を小難しく考えてやる方のようで。フリーやトーン・クラスター,内部奏法を援用して幅を広げたのが功罪半ばし,次作では派手に大コケしてしまいました。かつてのウイントンさながら,彼は律動の面白さで聴かせる試みを懲りずに続けている模様。曰く@ABIの4曲は同じ《アイソリズム》アプローチなる理論に基づいているとか。アルス・ノヴァに源をもつ由緒ある理屈なのだ・・そう力説なさっておられます。しかしその思惑が,却って彼の音楽を窮屈にしてしまっているのは皮肉というか残念というか。『スイート・パラドックス』の標題と,奇しくも全く同じポリリズミックな変拍子チューンのBはまさにその証左。同じアプローチゆえに,皮肉にもアースキンの役者が一枚も二枚も上なことが露呈してしまう。ここまでガチガチに硬い音楽をやるのなら,せめて即興はその殻を内側から突き破るくらい精気に満ちていなければ。ジャズである以上,単なる頭でっかちの窮屈な音楽でしかなくなるでしょう。前作でも太鼓に文句を言った記憶がありますが,本盤でも繰り返しましょう。こういう音にパポーでは力量不足。あと,ちょっと考えすぎの手を広げすぎじゃないですかねえ?決して気が抜けているわけではなく,悪い作品ではないだけに,何とも言えぬ隔靴掻痒の感が拭えませんでした。★★★★
Michael Davis "Trumpets Eleven" (Hip-Bone Music : M105)
@permit required Ac to z Bblue day Cbrass walk Dzona ESan Jose Fbig city Gcole henry Hschapa Ifamily tree
Michael Davis (tb) Eddie Henderson, Randy Brecker, Phil Smith, Chris Botti, Ryan Kisor, Bobby Shew, Scott Wendholt, Malcolm McNab, Tom Harrell, Chck Findley, Jim Hynes (tp) Alan Pasqua, Phil Markowitz (p) Dave Carpenter, Jay Anderson (b) Will Kennedy, Adam Nussbaum, Jeff Ballad (ds)
恐らくリーダー盤を買うのは初めてと思われるマイケル・デイヴィスは,カリフォルニア州サンホセ出身のぼんとろ吹き兼作曲家。イーストマン音大を卒業したのち,バディ・リッチ楽団を経てフランク・シナトラやローリング・ストーンズ,スティングなどのバック・バンドを渡り歩き,楽団歴が豊富です。どちらかというと俺が俺がタイプではない彼も,経歴に裏打ちされた作編曲にはそれなりの自信があるようで,自らのレーベル【ヒップボーン】を拠点に8枚のリーダー盤を発表。処女作『サイドウォーク・カフェ』は,全米ラジオ局のエアプレイ・チャートでトップ20に入ったそうな。本盤は2003年に出た8枚目で,標題にある通りラッパ吹き11人が参加した企画作。とはいえ,アンバランスな12管で吹奏するのではなく,曲ごとに1,2人のラッパを押し立てて,自らは後ろの4人伴奏に徹する奥ゆかしい趣向です。リズム隊はモーダルなマルコヴィッツ〜アンダーソン〜バラードのトリオと,ピーター・アースキンがウィル・ケネディに代わったバッドランズ2名によるトリオの2チームとなかなかに豪華。ケネディといえばイエロージャケッツな8ビート乗りのAで,パスカのモード弾きが本家フェランテを軽々凌駕。続くB冒頭でニューヨーク・フィルの首席フィル・スミスが取る,さすがクラシックと唸らずには聴けぬ澄み切ったハイ・ノートなど,役者揃いで演奏自体のレベルは充分に高いです。それだけに惜しいのは,ご本人の作曲が今ひとつ大味なこと。リズム隊が奏でるリズムとコードの平坦さに比して,リフ主体の主旋律が動きすぎ,後ろの伴奏が分離して重く沈んでしまうのはビッグ・バンド出身者の性?コンボ・ジャズのそれと少し違和感を醸し出しているのは勿体なかったですねえ。★★★★
Cyrus Chestnut "Earth Stories" (Atlantic : 82876-2)
@decisions, decisions Agrandmama's blues Bmy song in the night Cnutman's invention#1 Dblues from the east Ecooldaddy's perspective* FMaria's folly Geast of the sun and west of the moon HGomez Iwhoopi Jin the garden
Cyrus Chestnut (p) Steve Kirby (b) Alvester Garnett (ds) Eddie Allen* (tp) Steven Carrington* (ts) Antonio Hart* (as)
誰が見ても趣味が良いとは思えぬ,4つに割れた脳天ジャケットはサイラス・チェスナットのアトランティック第三作として,1996年に発表。彼は1985年にバークリー音楽院へ進みますが,それまでは故郷ボルチモアのマウント・カルガリー・バプティスト教会でピアノ伴奏を務めており,筋金入りのゴスペラーズ。その黒々した地の部分を,レイ・ブライアント流儀のアルペジオでオブラートに包んだ小粋なピアニズムが,この人の魅力の大きな部分を占めておりましょう。彼の評価を一躍高めたのが,ヴィレッジ・ヴォイス誌で批評家賞をもらった『リヴェレイション』なのは恐らく大方も異論がないことでしょうが,その後の彼が『リヴェレイション』超えを果たせぬまま,今日に至っているのは可哀相というか何というか。それだけあのアルバムは,彼にとっても神の領域に踏み込んだ瞬間の刻印だったちゅうことなんでしょう。彼のリーダー盤は少なからず聴いたと思いますけれど,技巧派ではない割に何でも小器用にこなす幅の広さが災いすることが多いようで。ある時は分不相応なマッコイもどきに走ってミスタッチの小山を作り,あるときはコテコテのゴスペルをなぜかジャズ・フォーマットで演ってメインストリーム・ジャズ好きをドン引きさせたりと,一貫性があるようで迷走が続いているようですねえ。本盤はくだんの最高傑作から三年後の作。Eを除き全てがトリオ演奏ということで,かなり期待しつつの購入でした。やや幅を広げすぎ,少しばかりまとまりに欠けますし,マッシブ気取りで自滅したり,ゴスペルに派手に転んだりは例によって例の如くか。それでも,充分に脇役にスイングさせ,レイ・ブライアントはだしのコロコロ芸が横溢する@,F,Gはさすが。もしこれで,脇の二名が『リヴェレイション』級の腕利きだったら,少なくとも上記の3曲くらいは幸福な瞬間が訪れたでしょう。脇の差分だけ,楽園から足が遠のいてしまった。比べるが故の贅沢ですが,惜しいことです。★★★★
Mike Longo "New York '78" (Consolidated Artists Productions : CAP915)
@New York '78 Athe party Bsand in your blues Ca point beyond Ddown under Ekeep searchin'
Mike Longo (p, ep) Randy Brecker, Jon Faddis (tp) Junior Cook, Bob Mintzer (ts) Slide Hampton, Curtis Fuller (tb) George davis (g) Bob Cranshaw (eb) David Lee (ds) Steve Kroon (cga, perc) Ben Aronov, John Hicks (synth, clvn)

先頃出たトリオ作『スティル・スインギン』で健在を示したベテラン,マイク・ロンゴさん。1939年シンシナティに生まれた彼は,西ケンタッキー大学を経てプロ入り。今でこそ名前を聞くことは滅多にない彼も,実はコールマン・ホーキンスのサイドメンを経て,1966年から1973年までの長期に渡りディジー・ギレスピーの脇を固めた御仁。ご覧の通り山城S伍も真っ青の風貌で,デカい顔をするのも伊達じゃございません。何しろ集まってきた面々が,ちょっと信じがたいほど豪華。演奏の出来の悪かろうはずもなく,長く脇を固めてきた御大ディジーの音楽性を如実に反映しつつ,当時としては最もお洒落な都会のムードを音にした,充実の大型コンボ作になっている。全編にコンガとパーカッションが鳴り,4拍乗りは皆無。後ろにクラヴィネットが入り,ベースはぺろりんちょの通電。もし貴殿が,これらの特徴に象徴される1970年代の臭みたっぷりのジャズ・ファンクに抵抗がなければ,隠れた好内容作として面白く聴けるのでは。ということでお薦めできるかどうかは,『刑事コロンボ』や『チャーリーズ・エンジェル(リメイクのじゃありませんよw)』,『バイオニック・ジェミー』あたりで掛かってそうな,洒落た転調のアフロ・キューバンな(或いはラテン乗りの)ルパンを受け入れられるかにかかっておりましょう。今となっては何ともレトロですけど,硬くぎこちないリーダーのシングル・トーンとウニョついたクラヴィネット音が,どことなく昔のジョー・サンプルやスティービーみたい。ということは電化ハービーぽいと言えないこともないわけで。わたくし的にはB級ファンク作として,充分「あり」です。★★★☆
David Newton "Return Journey" (Lynn : AKD 025)
@stolen time Aonly passing through Bwhile you're away Con the holizon Dhome from home Ereturn journey: on my own Fon the road Ginto somewhere Hgone forever
David Newton (piano)
紳士のように格調高くピアノを鳴らすことに掛けては,恐らく英国でもトップ・レベルではないかと思われるデヴィッド・ニュートン。見かけるたびに,つい手が出てしまいます。意外にもキャリアの出発点はバディ・デフランコのサイドメン。テディ・ウィルソンやジョージ・シアリングらの中間派的エレガンスを今風に咀嚼したピアノは,年季ものだったわけです。本盤は1994年に出た3枚目のリーダー作で,自身初めてピアノ独奏を試みた自作自演盤。彼は,本盤発表から三年後にも『12月12日』と題するピアノ独奏盤を作ることになります。同盤がシナトラゆかりのスタンダードを集めていたのに対し,こちらは全曲を自作。そのぶん彼の持つ音楽性が色濃く出ている点も,大きな魅力といえましょう。彼のピアノは,エヴァンス的な繊細さを和声のはしばしに織り交ぜつつも,ストライド奏法を駆使した古風な語り口がベース。悪くいえばそのストライド多様のリズム・パターンと控えめなエレガンスのゆえに,どれを取ってもやや似たような曲調となり,毒気が薄すぎるというのか,ウィンダム・ヒル的な引っかかりの無さが否めないきらいもあります。しかし,さすがにタッチの美しさと明晰さはくだんの丘録音群とは比較にならないほどに上。小綺麗かつ瀟洒にまとまった,どこか郷愁を誘うオリジナルは,どれもトーン・ポエム的な趣とデリカシーがあり,良い意味で「大人のBGM」と呼びたくなります。シュアな人ですねえ。たぶん彼は,何枚ソロ・ピアノ盤を作ってもこんな感じに仕上がっちゃうことでしょう。★★★☆



Other Discs

Nnenna Freelon "Listen" (Columbia : CK 64323)
@Gaia's garden Adad's delight Bwill you still love me tomorrow CI'll be around Dballad for Aisha Ea hundred dreams from now Fcircle song Gsol cycle Hwaste not want not Ijourney of the heart Jsong of silent footprints Klost in the stars Llisten
Nnenna Freelon (vo) Bill Anschell, Bill O'Connell (p) Avishai Cohen, Ron Carter (b) Cecil Bridgewater (flh) Bill Fischer (vib, mba, bells) Alex Foster (ts) Earl Gardner (tp) Kathryn Kienke, Julien Barber (vla) Yusef Lateef, Dave Valentin (fl) Earl McIntyre (b-tb) Eugene Moye, John Reed (vc) Dick Oatts (as, ss) Stan Pollack, George Wozniak, Richard Hendrickson (vln) Scott Sawyer (g) Ricky Sebastian (ds) Warren Smith (perc) Scott Whitfield (tb)

1954年マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれの女流歌手ニーナ・フリーロンが,1994年に発表した第三作を拾いました。早くから歌に興味こそあったものの,シモンズ大学を出るまで音楽とはほとんど接点が無く,子ども三人を抱えてフツーの生活を送っていたんだそうな。そんな彼女をジャズへ引き込んだのが,本盤にも参加しているユゼフ・ラティーフ。その後,これまた本盤にも参加しているビル・アンシェルらとトリオを組んで活動を始めた彼女は,エリス・マルサリスに見出されて頭角を表し,1992年に初リーダー作を発表。現在まで10枚ほどをコンスタントに積みあげ,のちビリー・ホリディ賞なる歌唱賞も受賞したそうな。申し訳ない,全然知りませんでした・・。彼女はデビュー当時,サラ・ヴォーンのパクリだと書かれ,随分困ったそうで,確かにスキャットの素っ頓狂な音程外しやドスの利かせっぷりは意識しているところが少なからず。しかし,決定的に違うのが喉の太さでしょう。声量が乏しいため,サラの最大の魅力である放埒さが決定的に不足してしまう上,歌い回しが伸びず空々しくなり,即興的なコブシ回しも単なる音程のコントロール不足に聞こえてしまう。録音こそ貧相とはいえ,楽曲はまずまず準備されていますし,ご存じディック・オーツの素晴らしいサックスが核を作り,演奏もそれなりに乗れているだけに,肝心のヴォーカルがやや弱いのは残念ですねえ・・。ファンの方申し訳ない。仮にもグラミーに6度ノミネートされている人へこんな評価しかあげられなくて。★★☆
Ted Curson "Pop Wine" (Futura : GER 26)
@quartier latin Aflip top Bpop wine CL.S.D. takes a holiday Dlonely one
Ted Curson (tp, pcl-tp) Georges Arvanitas (p) Jacky Samson (b) Charles Saudrais (ds)

1935年フィラデルフィア出身の彼は5才でサックスを吹き始め,10才でラッパに転向。生地のグラノフ音楽院で学んだのち,ニューヨークへ出てジョン・コステロに師事。チャーリー・ヴェンチュラのグループでプロ入り後,程なくマイルスに見初められ,1959年にはミンガスのグループへ加入して一気に知名度アップ。ここで闘士系の先鋭ジャズメンと仲良くなった彼は,フリーの熱気とポスト・バップのどろどろ感を巧く折衷したスタイルを会得し,ドルフィの後を追うように,しばしば欧州との間を行きつ戻りつしながら演奏活動を展開していきます。本盤もその好例で,1971年パリ録音。ちょうど当時モード・ピアノへと脱皮して周囲を驚かせたジョルジュ・アルヴァニタを従え,フリー臭のムンムン漂う体力派ジャズをやってます。アルヴァニタはモードと前衛ができるようになったのが余程愉しかったのか,13分を超える@では主役を食わんばかりに高速運指を繰り出し,クラスター和音をガンガン叩いて怪気炎を上げるんですけど,それらが今ひとつ未消化。右手の回転頼みで急速調をやるので,どうしても打鍵は針の如く細く神経質になり,左右の手は和音と単旋律に分離してしまい,おまけにその左手の和声も平坦なため,そこから産み落とされる熱気も上滑りしてしまう。そこへカーソンのお世辞にも技巧派とは言い難いラッパが鳴るもんですから,気合いが先走る印象を拭えません。ジャズは気合いだな方は溜飲が下がるんでしょうけど,肝心の腕が充分に伴わないんでは本末転倒。無理して急速調にせんでも良かったのに・・。というわけで,その至らなさの気になるあっしは,今ひとつ感銘を受けられませんでした。目立つのは@なんでしょうが,個人的には後ろのドロドロしたバラッドのほうが「らしい」ですし,演奏もまとまっている気がいたします。★★★☆
Curt Smith "Soul on Board" (Vertigo-Phonogram : PHCR-1216)
@soul on board Acalling out Bbeautiful to me Cwonder child Dwords EI will be there Fno one knows your name Grain Hcome the revolution Istill in love with you
Curt Smith (vo, g, b) Jimmy Copley, Steve Ferrone (ds) Neil Taylor, Colin Woore (g) Martin Page, Alan Kamaii (b) Carol Steele, Paulhino Da Costa (perc) Billy Livsey, Martin Page, kevin Deane, P.J.Moore, Jeff Bova, Kim Bullard (key) et al.

あれだけ素晴らしいアルバムを作りながら,1991年に【ティアーズ・フォー・フィアーズ】の片割れオーザバルと喧嘩別れしてしまったカート・スミス。デビュー作だった『ザ・ハーティング』では,シングルの全てでリード・ヴォーカルを担当していたにもかかわらず,その後グループの方向性がシリアスになるにつれ,徐々にベース奏者としての役割に囲い込まれていきました。不満もあったのかも知れません。悪態をつきこそすれ,ローランドも真相は黙して語りませんでしたし,結局理由は分からんまんまでしょうけれど,あれが無ければなあ・・なんて思ってるファンも少なくないんじゃないでしょうか。本盤はグループを離れた彼が,1993年に作ったソロ名義の第一弾。しかし,本国ではほとんど売れなかった挙げ句,米国ではリリースすらされず,踏んだり蹴ったりだった作品です。仕上がりは,『シャウト』の音響機材で『ザ・ハーティング』を作り直したような感じ。スティング風の内省性も足されているのは,『シーズ・オブ・ラヴ』への郷愁だったのかも知れません。英国らしいノーブルな透明感を備えた音作りは,俄か出の売れ線ポップ・バンドとはひと味違い,さすがと思う反面,何と言いますか曲がどうにも薄味で・・(苦笑)。各々の原案は決して悪くないにもかかわらず,オーザバルに比べネアカで拘りのない彼の姿勢が,楽曲の追い込み不足にそのまま反映されていて惜しいの一語。結局その後『みんなハッピーエンドが大好き』で再結成?しちゃったところを見ても,この2人は車の両輪。どっちが欠けても二分の一なんだなあ・・。そう微笑ましくも哀しく思われた次第です。★★☆






(2007. 9. 1)
脱稿:2007年9月1日 2:50:41

編集後記



先日,ふと出来心で足を向けた
近所のラ●ックスで

ナショナル【ジョーバ】の隣に


【ロデオボーイ】を並べて売っているのを見た。

ジョーバ18万円,ロデオボーイ3万円。
売り場担当は 心底 鬼だと思った。



プールに深夜侵入、16歳とび職飛び込んで水死…水戸
19日午前3時30分ごろ、水戸市水府町の市青柳公園内にある水戸市民プールで、「友人がおぼれた」と高校2年の男子生徒から119番通報があった。

市消防本部の救助隊員が、飛び込み用プール(水深5メートル)の底に同市内のとび職少年(16)が沈んでいるのを発見し引き揚げたが、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は水死。

水戸署の調べによると、少年は友人の男子高校生2人と、鍵がかかっていた裏門のフェンス(高さ2-5メートル)を乗り越えてプールに入り、見回り中のガードマンに注意されたが、ガードマンが管理棟に行ったすきに、服を脱いで高さ10メートルの飛び込み台から飛び込んだという。
最終更新:8月19日13時21分 (毎日新聞 2007年5月20日 3時00分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070819-00000102-yom-soci

きっとこの記事を書いたヤツは
「とび職飛び込んで」
そう書きたかっただけだけなんだと思う。




ひょんなきっかけで,
野口健さんと名刺を交わした。

「野口健」と「アルピニスト」。
たった二行。あと真っ白


反則だろ。素敵すぎ。




こんなに月報休んだことないよ。
次はいつになるかなあ・・。



それではまた次号,
しぃゆうあげぃん。

ぷ〜れん敬白 

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